ハイスペック御曹司と箱入り娘の交際0日婚の行方は? 多幸感たっぷり! 結婚からはじまるラブストーリー

マンガ

PR 公開日:2023/10/20

最愛婚
最愛婚』(西ナナヲ:原作、考野とりこ:作画/スターツ出版)

 年々低下傾向にある日本の結婚率。もはや誰もが当たり前のように結婚する時代ではなくなった現在、結婚イコール幸せ、とストレートに捉えている人は少ないだろう。結婚したからといって必ずしも幸せになれるとは限らない。むしろ結婚してからの方が、なにかと大変なことが増えるだろう。人生が自分だけのものではなくなるのだから。

 女性向け小説レーベル、ベリーズ文庫の人気作をマンガ化した『最愛婚』(西ナナヲ:原作、考野とりこ:作画/スターツ出版)は、交際0日にして結婚したカップルが幸せを模索していく物語だ。

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 顔も憶えていないお見合い相手から「もう一度会いたい」と乞われ、2度目のお見合いをすることになった主人公・桃子。やってきたのは傲慢なイケメン御曹司・久人だった。皮肉まじりの言葉に、態度も俺サマそのもの。だけどそんな彼になぜか憎めないものを感じ、その直感を信じて桃子はプロポーズを受け入れる。

最愛婚

最愛婚

 かくして式の打ち合わせから結納の儀式、新居への引っ越しと、結婚にまつわる諸々が丁寧に綴られてゆく。

最愛婚

 作画を担当するのは、ベリーズコミックスの人気作『お気の毒さま、今日から君は俺の妻』の考野とりこ氏だ。柔らかな絵柄で描かれる桃子には大人の女性のかわいらしさがあり、一方の久人は、自信に充ちた立ち居振る舞いから大人の男の色気があふれている。

 原作小説の肝となるエピソードや会話のチョイスも的確、かつ絶妙だ。特に結納シーンで久人が緊張し、挨拶の途中で言葉を詰まらせるところは、完璧な男性のなかにある人間らしさが垣間見え、桃子ならずとも胸がときめいてしまう。

 結婚を機に転職しようと決めた桃子は、新たな会社の上司が久人であることにびっくり! プライベートでは夫婦として、職場では社長とその秘書として接するうちに、彼の様々な面が見えてくる。

 一見して傲岸不遜なようでいて、その実、誰よりも努力家で気遣いのある人だということ。男性経験のない桃子に、急がず、逸らずにスキンシップを深めてくるところ。そして自分のことをとても大切にしてくれることも。

最愛婚

最愛婚

 そんな久人にふさわしい女性になりたくて、仕事も家事もついつい頑張りすぎ、桃子は体調を崩してしまう。彼が優しくしてくれればくれるほど、なぜ自分を選んでくれたのだろう? という思いが膨らんでくる。

 お見合いで一度会っただけなのに、この人は私のどこを好いてくれたのだろう……と。

最愛婚

最愛婚

 そんな気持ちが出てくるということは、すでに桃子の内に彼への愛が芽生えているからに他ならない。そして実は久人には、誰にも明かせない悲しい秘密が隠されていた――。

 その秘密を共有したとき、桃子は真の意味で彼のことを理解できるようになる。彼の完璧さや自信の裏側にある孤独にふれ、この人を幸せにしたいと思うようになっていく。

 そう。幸せとは与えられるものではなく、互いに与えあうもの。

 結婚からはじまる恋愛を通して彼が自分の弱さに気づき、彼女が自分の強さに気づいていく姿が好感度&共感度たっぷりに展開する。タイトルにふさわしい多幸感が心に残るマリッジ・ラブストーリーだ。

文=皆川ちか