“モジャモジャハウス”で暮らすのは大変? こだわりが詰まったお家を見学する、建築好き少年の一軒家探訪記!
公開日:2023/12/30

家には、そこに住む人のこだわりが詰まっている。そんな個性あふれる家を探訪するのが、『お家、見せてもらっていいですか?』(佐久間薫/KADOKAWA)。建築好きの小3の少年・家村道生が、自由研究のため、街の気になる一軒家を訪ね、家主に家の中を見せてもらうコミックだ。

ある日、道生が訪れたのは、外壁全てにツタが這うモジャモジャハウス。道生が「ツタがカッコイイ」と言うと、家主は興奮気味に、ツタの魅力と、家に込められたこだわりを語り出す。だが、突然「なのにミキちゃんてば…」と暗い顔をし始める家主。何でも、パートナーが出ていってしまったらしい。メリットばかりではないツタの家で暮らすのは大変なのかもしれない。

誰だって、自分の家にはこだわりを持ちたいものだろう。だけれども、その時に大切なのは、ともに暮らす大切な人への配慮だ。一番近い存在だからと、こだわりを優先するがあまり、相手を蔑ろにしてはならない。道生と話す中でそれに気づいた家主はある決断をするのだが……。家を覗けば、そこで暮らす人々の生活が見えてくる。建築そのものの楽しさを味わえるのはもちろんのこと、この本は、家主たちの人間ドラマも面白い。「将来はどんな家で、どんな人と暮らしているんだろう」——この本を読んで、そんな妄想を広げてみませんか?
文=アサトーミナミ