森田剛が選んだ1冊は?「植物と一緒に生きている、暮らしているような感覚です」

あの人と本の話 and more

公開日:2024/8/14

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年9月号からの転載です。

森田剛さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、森田剛さん。

(取材・文=松井美緒 写真=TOWA)

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「塊根植物や多肉植物、アガベなど植物ならなんでも好き」と言う森田さんは、家でさまざまな植物を育てている。最近惹かれたのが、『THE POT 現代植木鉢図鑑』だ。

「鉢にここまで特化した本ってなかなかないんですよね。鉢は植物好きが必ず通る道なんです。植物にハマると、どんな鉢に入れたらいいか考え始める。鉢によって植物の表情が変わりますから」

 森田さん自身も、もちろん鉢にはこだわる。

「お洋服みたいなものだと思うんです。この植物にはこの服=鉢を着せたいと。この本の中の陶工さんたちのインタビューを読んで、僕も鉢を作ってみたいと思いました」

 植物は決して“モノ”ではない。

「植物は生きていますよね。でも“モノ扱い”されてしまうことが多い。僕は家では、植物と一緒に生きている、暮らしているような感覚です」

 植物とともにいると、とても癒される。

「新芽が出てきた、かわいいな。今、水ほしいのかな。そういうちょっとした変化に気づくことが喜びだし、自分にとって大事な気がします」

 そんな森田さんの主演映画『劇場版 アナウンサーたちの戦争』が公開される。日米開戦の報と玉音放送の両方に関わった伝説のアナウンサー、和田信賢を演じる。

「アナウンサーが太平洋戦争のプロパガンダを担わされた歴史は、あまり知られていない。僕も知りませんでした。それを映画にするだけでも、意味のあることだと思います」

 和田らは国民の戦意高揚に加担し、結果戦地では多くの命が失われる。

「葛藤と苦悩を抱えた信賢さんの内面はぼろぼろでした。それでも自分の信じた言葉を何とか伝えようとする。僕はそういう彼の姿勢に心打たれました。痛みを知って、それを強さに変えられる年齢になった、今の僕だから信賢さんを演じられるんじゃないかとも感じました」

 和田の苦悩が最もはっきり表れるのが、学徒出陣のシーンだ。和田は、学生たちを勇ましく送り出す実況を任される。降りしきる雨の中、グラウンドの隅に倒れ込む和田の姿に胸が締め付けられる。

「すぐ近くを学生が通り過ぎる。でも信賢さんの声は彼らには届かない。『国民の皆様』と訴えるけれど、それも絶対に誰にも届かない。非常に象徴的で切ないシーンです。若い世代の方にも、この映画を観て何か感じていただけたらいいなと思います」

ヘアメイク:TAKAI スタイリング:松川 総 衣装協力:ジャケット2万900円、パンツ 1万9800円(リーバイス フォー エディフィス/エディフィス 新宿TEL03-5366-5481)

もりた・ごう●1979年、埼玉県生まれ。2005年、劇団☆新感線の『荒神〜Arajinn』で舞台初主演。主な映画出演作に『ヒメアノ〜ル』『DEATH DAYS』『白鍵と黒鍵の間に』など。主演舞台Bunkamura Production 2024『台風23号』が10月5日(土)より開催。出演映画『雨の中の慾情』が11月29日(金)に公開予定。

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『劇場版 アナウンサーたちの戦争』

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脚本:倉光泰子 脚本協力:山下澄人 演出:一木正恵 出演:森田 剛、橋本 愛、高良健吾、安田 顕、浜野謙太、大東駿介、水上恒司、藤原さくら、中島 歩、渋川清彦、眞島秀和、降谷建志、古舘寛治、小日向文世 配給:NAKACHIKA PICTURES 8月16日(金)公開。
●太平洋戦争中、アナウンサーたちがプロパガンダの先頭に立った。伝説のアナウンサー・和田信賢と若手の館野守男は、ラジオで開戦の第一報を伝えて国民を熱狂させる。やがて彼らは国の扇動に加担した現実に苦悩し……。
(c)2023NHK