明日海りおが選んだ1冊は?「さくらももこさんの描く世界はすごく身近で、他人事とは思えません」
公開日:2024/10/11
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年11月号からの転載です。

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、明日海りおさん。
(取材・文=松井美緒 写真=TOWA)
生まれも育ちも静岡という明日海さんは、同県出身のさくらももこさんの大ファンだ。
「『ちびまる子ちゃん』もこのエッセイも、さくらももこさんの描く世界はすごく身近で、知っている地名も出てきますし。他人事とは思えません」
中学生の頃に『もものかんづめ』と出合い、続く『さるのこしかけ』『たいのおかしら』も購入した。
「私、正直、本を読むのはあまり得意ではないんです。でもこのエッセイシリーズだけは大好きで。学習机に置いて、何度も読み返しました。今も帰省すると、寝る前に取り出して読んだりしています」
どのエピソードも印象的だが、その中に必ずさくらさんだからこその表現がある、と明日海さんは言う。
「水虫をお茶っ葉で治すお話は静岡だなあと(笑)。お祖父様が亡くなったときのエピソードも、ここまで思い切って書けるのは、さすがさくらさんだと思います。鈴虫を飼育するお話も、鈴虫の一生を切り取る視点が素晴らしいです。ただ面白いだけではなく、少し自虐があるんですよね。そこが一番好きです。自分をこれほど俯瞰して見られるのは、すごいなあと思います」
明日海さんは今、主演ミュージカル『9 to 5』のスタートを間近に控えている。米国音楽界のレジェンド、ドリー・パートンが音楽を手掛けた傑作コメディだ。
「魅力的なナンバーばかりですから、自分の内面を作り上げて、役柄として丁寧に歌っていきたいと思います。ノリノリで盛り上がれる曲もたくさんありますので、お客様と一緒に楽しめると嬉しいです」
物語の舞台は1979年、ロサンゼルスの大企業。明日海さんの演じるヴァイオレットは、同じ会社に勤めるドラリー、ジュディとともに、社長のハラスメントに対抗する。
「ヴァイオレットたち3人は、互いの足りないところを補い合ってチームワークを強めていきます。こういうお友達がいたら人生楽しいだろうなと、羨ましいです」
明日海さんにとって大切な仲間は、舞台の共演者とスタッフだ。
「舞台ならではの、カンパニーのつながりを本当に愛おしく感じます。みんなで手を取り合い、一心同体に千秋楽まで進んでいく。メンバーの個性を認め合って、それがカンパニーの味になるんです。今回は、皆さんとてもポジティブでパワフル。毎日、元気をいただいています」
ヘアメイク:中村未幸 スタイリング:大沼こずえ
ミュージカル『9 to 5』

音楽/歌詞:ドリー・パートン 脚本:パトリシア・レズニック 原作:20世紀フォックス同名映画 翻訳/訳詞/演出:上田一豪 出演:明日海りお、平野 綾、和希そら、別所哲也 東京公演:10月6日〜21日(日本青年館ホール) 大阪公演:10月25日〜28日(オリックス劇場)ほか ●ロサンゼルスの大企業に勤めるヴァイオレット、秘書ドラリー、新入社員のジュディは、社長フランクリンの横暴に悩んでいた。3人は意気投合し、ある計画を立てる。