選挙エンタメマンガ『票読みのヴィクトリア』で知る選挙の裏側と駆け引き
更新日:2024/11/21

世間から「いまいちよくわからない」という印象をもたれがちな選挙。10月には解散総選挙が行なわれたが、昨今の選挙投票率は低値を維持している。確かに選挙と言われても、候補者の頑張りを常に見ているわけではないし、かかげている公約を見ても、結局誰に投票すればいいのかわからないのがほとんどだ。なかには「自分の一票に価値はないのでは?」と感じる人もいるだろう。ただ、『票読みのヴィクトリア』(原作:鈴木コイチ、漫画:オキモト・シュウ、原案・監修:鈴鹿久美子/講談社)を読むと、1票の大切さや出馬する人の裏側を楽しく知ることができる。きっと選挙に興味を持てるようになるはずだ。
登場人物の一人である、白根健造。彼は28歳という若さにして社会の歯車として漫然と生きていくことに疑問を感じ、自分の意思で世の中を変えられる政治家への憧れを抱く。まずは地元をよりよい街にするべく「市長選挙へ立候補する!」と意気込むのだが……、彼は「公職選挙法」そのものを理解していないような状態。そのため、スタートから「選挙期間外に自身の名前入り襷をかけて活動をしてはいけない」というルールを破ってしまう。
そんな彼の間違いを指摘してくれたのが、たまたま目の前を通りかかった本作の主人公・赤城翼だ。自称選挙マニアの翼は、当選に向けてひたむきに努力を重ねる健造を気に入り、ちょっとしたアドバイスを送ってくれるようになる。




実は彼女の正体は「選挙コンサルタント」。票の動きを読む能力を持ち、選挙の戦略を知り尽くしている彼女は、海外の選挙立候補者からも絶大な信頼を寄せられている。そんな彼女が現在、コンサルを担当しているのは、なんと健造が立候補している広塚市長選挙の立候補者・平沼文也氏なのだ。当然、健造はそのことを知らない。またライバル同士である2人と同時期に関わるのがご法度なのはいうまでもない。翼だってその道のプロである以上、そんなことはわかっているはず。しかし彼女は、健造の演説日やピンチには必ず顔を出し、彼に何かしらのアドバイスを送るのだ。そして選挙活動終盤、勝つ気満々の健造に翼は「勝利の女神がほほ笑むのは平沼です」と告げてしまう。
本当に翼の言う通りになってしまうのか。その真相はぜひ本書を手にして確かめていただきたい。




本書の魅力は「選挙」という堅いテーマを、事実に基づいてエンターテインメント化している点にある。例えば、選挙活動の裏側、選挙に勝つための戦略、駆け引きをちゃんと知っている人は少ないはず。本書は、笑いも含みつつ学ばせてくれるため、知識がない人でも楽しみながら学べるのだ。もちろん知識が豊かな人でも翼の戦略を通して「こんな戦略もありなのか」と楽しめるようになっている。読み終わるころには、選挙そのものにより興味が出てくるだろう。
投票結果次第では、私たちの生活を大きく変える転機にもなる重要なイベント、選挙。本書を通して、選挙に勝つための戦略や考え方の面白さに気付くことができれば、一票を入れることの大切さや、選挙に主体性を持って臨むことの大切さに気付くはずだ。
文=トヤカン