「超人」ヒーローが助ける見返りに金を要求! 『グレイプニル』著者新作は、力の「格差社会」をビターに描き出すヒーローアクション
PR 公開日:2024/11/30

ヒーローは見返りを求めない。善意で人を助けてくれる存在。我々はそんな思い込みをしていないだろうか。『ガーディアン』(武田すん/少年画報社)は、既存のヒーロー像に一石を投じる作品だ。
人間を遥かに超える力を持つ“超人”が現れる世界。欲望のまま暴れ、都市を破壊する彼らに立ち向かうのは、同じ超人のヒーローたちだ。主人公のロケットマンも、そんな超人のひとり。巨大な怪物でさえも一撃で倒すことができる力を持つロケットマンだが、ヒーローとしてではなく、ただ自らの目的のために動き続ける……。
『グレイプニル』の作者・武田すん氏による新たなヒーローアクションが幕を開けた。安定の画力を誇る本作の主人公は、我々が想像するような正義の味方ではない。市民に見返りとして金を要求する“悪徳ヒーロー”だ。

颯爽と現れ超人を倒し、法外な料金を請求するロケットマン。「被害者から金を巻き上げるなんて!」「嫌なヤツ」と非難を浴びても、どこ吹く風という顔だ。そんな彼の昼間の顔は、職業安定所の職員。超人に家も職場も壊されて路頭に迷う人に寄り添う、優しい青年として描かれる。好青年が、なぜ悪徳ヒーローをやっているのか? どうやら彼には、金が必要な理由があるらしい。そしてそれは、ロケットマンの誕生とも深く関わっているようだ。

人助けではなく、あくまで己の目的のためだけに金で動いているロケットマンだが、非情というわけでもない。助けた子どもに渡された100円を見て「しけてんなー」と笑ってみせたり、町の人の善意を足蹴にする超人を「よかったぜ お前がクソヤローで」とぶっ飛ばしたり、隠しきれない人情味が出ている。そこが主人公としての魅力のひとつだろう。

1巻に登場するヒーロー側の超人は、ロケットマンを入れて3人。DVDプレイヤーの超人「ミア」は、“自分大好き承認欲求モンスター”。彼女も主人公と同じく、授かった能力を自分のために使うヒーローだ。だがミアには彼女なりの信念があるようで、読者にも刺さるようなキツイ一言を怪物に投げかける。

そしてもうひとりのヒーローが、最強と称される「スパーク」だ。電柱を操る能力を持ち、神罰を下すかのように雷で敵を一刀両断。その姿は、まさに正義のヒーローそのもので、ロケットマンとは対照的な存在として描かれる。1巻の最後では、彼らが対峙する展開となり……!?

都市を蹂躙する超人たちも個性あふれる面々ばかり。マンション男やタンカー男、電動ドリル男など、バラエティに富んだ敵たちが登場する。欲望のままに暴れ回る彼らとのバトルシーンは圧巻で、爽快感すら覚えるだろう。
本作では随所に、超人たちの存在が社会に与える影響が描かれる。力を持つ者が台頭し、持たざるものは食い物にされる、弱肉強食の格差社会が進んだ世界。その中で主人公やヒーローたちはどう生きるか。『ガーディアン』の物語は始まったばかり。ロケットマンはなぜ、その能力に目覚めたのか? スパークとの関係はどうなるのか? 今後の展開に注目したい。
文=倉本菜生