畑芽育が選んだ1冊は?「優しさのある最果さんの言葉に、少しだけ生き方が楽になりました」
公開日:2024/12/14
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年1月号からの転載です。

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、畑芽育さん。
(取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)
「普段は楽しいことが大好きですし、明るい性格でもあるんです。ただ、一度悩み出したら、ネガティブな思考に陥っちゃうこともあります」
自らを、「ひねくれた考えをするときもあって、そこが自分でも少し面倒」と分析し、苦笑いする畑さん。そんな彼女が2年前に出合い、感銘を受けたのが最果タヒのエッセイだ。
「最果さんが日常で感じたことや思ったことを、ときには独り言のように、ときには語りかけるように綴っている。少し言葉が強かったり、棘のある表現をされているところもあるのですが、不思議と優しさに包まれているような気持ちになります」
特に強く心に残ったのが〈人間は、人間ですらちょっと消耗品として触れている所があると思うよ〉の一節。
「人って一人では生きていくことができないかもしれないけど、誰かとずっといることがすべてじゃない。例えば、友人と離れていても素敵な思い出があるだけで人は幸せな気持ちになれる。最果さんに“人間関係にそんなに必死にならなくていいんじゃない?”と言ってもらえてるようで、生き方が少し楽になりました」
ただ、エッセイの全部に共感したわけではない。なかには「これは私には分からないな」と感じたものも。
「でも、最果さんがなぜその考えにいたったのかがロジカルに描かれていて。そうした、表側からは汲み取れない人の内面の描写は、私が普段、初めて挑む役について考えるうえですごく役に立つなと感じました」
現在公開中の『うちの弟どもがすみません』。初の映画主演、初の長女役を務めたこの映画にも、畑さんにとっての多くの挑戦が詰まっている。
「私自身は末っ子なんです。ただ、今回演じた糸ちゃんは、親の再婚を機に突如4人の兄弟のお姉さんになるという役でしたので、新たな環境に飛び込んでいくという意味では、自然と気持ちを作ることができました。糸ちゃんはまわりが見えなくなって突っ走ってしまうところがあって。そうした不器用だけど人間らしいところがすごくかわいいです」
作間龍斗や那須雄登らが顔を揃え、イケメンでクセ強の弟たちを好演。
「作間さんも那須さんもすごく自由で(笑)、まるでお家にいるような雰囲気を現場で作ってくださいました。また、織山(尚大)さんはいつも(内田)煌音君にちょっかいをかけて、それが本当の兄弟みたいで。ラブコメ要素だけでなく、そうした家族愛も詰まった作品ですので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです」
ヘアメイク:菅長ふみ(Lila) スタイリング:平田雅子 衣装協力:ワンピース、ブラウス(Sea New York/ブランドニュース)、イヤリング(Jewel tree/ロードス)、ゴールドリング(タラッタ/ロードス)、スクエアリング(Moixx/ロードス)
映画『うちの弟どもがすみません』

原作:オザキアキラ『うちの弟どもがすみません』(集英社『別冊マーガレット』連載) 監督:三木康一郎 脚本:根津理香 出演:畑 芽育、作間龍斗、那須雄登、織山尚大、内田煌音ほか 配給:松竹 全国公開中 ●母の再婚によって、突然イケメンだけどクセ強な4人の弟たちとの生活が始まった女子高生の糸。少しずつみんなとの距離を縮めていった糸だったが、いつしか彼女のなかで、長男の源が気になる存在に。果たして糸と4人の弟たちの運命は――? (c)2024「うちの弟どもがすみません」製作委員会 (c)オザキアキラ/集英社