平安時代の恋模様を現代に伝える「百人一首」の恋歌。和歌の背景にある切なくも熱いラブストーリーに触れる『新版 超訳百人一首 うた恋い。』
公開日:2025/1/11

この国に、数百年のいにしえから伝わる数多くの文学作品。とくに平安時代は「源氏物語」ほか多くの名作を輩出した時代だが、同じ頃に作られ今なお愛される作品に、優れた和歌・歌を100首集めた秀歌撰「百人一首」がある。
1人1首、100人の歌人の秀歌が集まった「百人一首」には、様々な題材の歌が収録されている。
その中でも、「百人一首」の選者・藤原定家が選んだとされる歌の中から、とくに恋にまつわる歌をピックアップし、それぞれの歌にまつわる恋のドラマを解説したマンガ。それが『新版 超訳百人一首 うた恋い。』(杉田圭:漫画、渡部泰明:監修/KADOKAWA)だ。
「百人一首」は当時歌の才人として名を馳せた藤原定家が、友人・宇都宮頼綱の別荘の障子を彩る和歌を選んでほしい、と依頼されたことが発端とも言われる。
作品に収録される100首のうち、恋にまつわるとされる和歌は43首。その中には、あまり「百人一首」に詳しくない人でも知ってる!という歌もあるだろう。
例えば、“ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは”という一首。
有名な某マンガのタイトルの由来となったこの歌だが、当代きってのプレイボーイとして後の世まで名を馳せた在原業平が、叶わぬ恋をもとにして読んだと言われている。
在原業平と、のちの皇太后となった藤原高子。ふたりの男女の間に、どんなやりとりがあったのか。そんな逸話を本作では、マンガでわかりやすく描いている。
作品最大の見どころでもあり、百人一首の恋歌の一番の魅力でもあるのが、当時の人々の切なくも燃え上がるような恋のエピソードだろう。
今とは大きく違う常識もあれば、中には現代の恋愛にも通ずる話も盛りだくさんだ。
念願叶ってようやく成就した恋。
たった一夜だけ、けれど生涯忘れぬような記憶に残る熱い恋。
今はもう遠い昔のこと。だけど確かに存在した、幸せで儚い恋。
本作では、「百人一首」の恋歌を通してそんな数々の恋物語に触れることができる。
胸の痛くなるような切なさを感じ、秘められた恋に思わずドキドキしてしまうこと間違いなし、のコミックだ。