「まさか続きが読めるなんて…」人が家畜の《ニンゲン農場》を描く衝撃の“グルメ”ホラー『動物人間』。著者が参考にした料理人の知人の話《インタビュー》
更新日:2025/1/20

(※本稿には、人間への残酷描写に関する言及があります)
2023年2月、「ヤングアニマル」誌上でひとつの連載がスタートした。動物マンガを多数手掛けてきた岡田卓也さんの新作『動物人間』(白泉社)である。
物語は車が横転したシーンからはじまる。乗っていたのは一組の父子。その父親が目を覚ましたのは、立派なお屋敷のベッドのなかだった。しかし、娘の姿がない。慌てる父親のもとにやって来たのは、豚の顔に人間の胴体がくっついたような、まるで着ぐるみのような――動物人間だった。

やがて父親は、動物人間たちの食卓へと招かれる。供される料理はどれも美味しく、これまでに食べたことがないようなご馳走ばかり。こんなに良くしてもらえるなんて、と思うものの、どこか違和感も漂う。そうして明かされる驚愕の真実。動物人間たちが食べていたのは、家畜として育てた「人間の肉」だったのだ。
人間と動物との関係を反転させた本作は、衝撃的なホラーとして話題を集めた。2023年6月には単行本としてまとめられ、これにも大きな反響が寄せられたという。
そして、2024年10月、完結したかに思われた本作の第2巻が刊行された。その冒頭で描かれる残酷シーンは、1巻のそれを遥かに凌駕する迫力だ。

こんなにも恐ろしい本作はどのようにして生み出されたのか。岡田さんにお話を伺う。
エンタメ作品として、残酷描写を追求しようと思った
――本作を描くことになったきっかけから教えてください。
岡田卓也さん(以下、岡田):もともと動物が大好きで、『ワニ男爵』(講談社)や『愛しのアニマリア』(双葉社)といった動物が主人公の作品を描いてきたんです。それが自分の強みでもあって。そんななかで新作を描くことになって、これまでは割とコメディ寄りの作品が多かったので今回は逆転の発想でホラーをやってみよう、と思ったのがはじまりですね。
――既存の作品の読者は、『動物人間』の方向性にかなり驚かれたのではないかと思います。
岡田:ぼくはお笑いも好きですしホラー映画も好きなので、自分のなかでは無理をしているわけでもなく、表現する面を少し変えたというだけなんです。読者の反応も好意的なものが多かったですね。「ヤングアニマル」のTikTokの公式アカウントで『動物人間』を宣伝してもらったところ、何百万回も再生されて、若い人たちがとても面白がってくれて。ぼくがマンガ家をやっていることを特に説明しているわけでもない親戚の若い子からも、「このマンガ知ってる!」なんて言われました。

――これまでの作品で描かれてきた動物たちとは異なり、本作に登場する動物人間は表情も読めず、非常に不気味な存在です。
岡田:そこは意識していました。これまではデフォルメしていたんですが、今回はよりリアルな動物として描写しようと。だからあらためて動物図鑑なども見ながら描いていったんです。表情がわからなくて不気味だと思ってもらえたなら、それは狙い通りですね。
――第1巻の冒頭では、「人間が食料になる」という衝撃の展開が描かれています。とても攻めた内容ですが、そこに不安などはなかったですか?
岡田:特になかったんですよ。むしろ、より残酷な描写を追求しよう、みたいな感覚がありました。本作はあくまでもエンタメなので、ホラーとしてどこまで怖がってもらえるのかを常に考えています。
なので、強いメッセージ性も特にはないんです。「動物を食べるのを止めて、ヴィーガンになろう」といったことも考えていないですし、何ならぼくは肉も美味しくいただいています。ただ、人間たちが動物人間に殺されているところを描くうえで、勝手に何かを投げかけている部分はあるかもしれません。とはいえ、繰り返しになりますが、あくまでもエンタメ作品としてどう面白がってもらえるかを強く意識しています。