悲劇の王妃が転生したのは現代の日本。マリー・アントワネットが教えてくれるファッションによる自己表現【書評】
更新日:2025/2/6

いつの時代も、女性たちは何を着るべきかという問題に頭を悩ませてきた。好みや流行、社会の常識や周囲の期待など、服にまつわる悩みは変わらない。
ファッションによる自己表現をテーマとした転生漫画『四畳半王妃~マリー・アントワネット 転生王妃のやり直し~』(96助:原作、花園あずき:漫画/KADOKAWA)は、悲劇の王妃マリー・アントワネットと現代の女子高生が織りなす物語だ。
フランス革命の最中、断頭台の露と消えた女性マリー・アントワネット。最期の瞬間に「誰も自分を知らない世界でもう一度やり直したい」と願った彼女は、少女の姿で現代の日本へと転生を果たし、ロリータファッションをこよなく愛する女子高生・栞と出会う。
ロリータ衣装に身を包んだ姿をクラスで嗤われた栞は、学校にも行けずふさぎ込んだ状態だった。そんな彼女に、マリーは持ち前の強さと気高さを示す。マリーの後押しもあり、栞は本来の自分を取り戻していく。ロリータファッションが好きなことを公言し、堂々と自分の道を歩み始める栞の姿はのびのびとして美しい。
一方のマリーも、周囲への優しさを忘れない栞に心を救われる。そして、マリーの転生がもたらす歴史のゆがみ。その背後に隠された真実が徐々に明らかになっていくのだが――。
ファッションを通じて、自分を肯定する勇気や新たな価値観を模索する大切さを教えてくれる本作。好みの服に出会っても、「あの人みたいに着こなせない」「スタイルが良くないから」と無意識に自分を低く評価してしまった経験は多くの人にあるはずだ。しかし、マリーに出会う前の栞のように、ネガティブな思いから自らの可能性を封じ込めてしまうのはあまりにももったいない。
マリーと栞が織りなす物語は、個性を受け入れることの大切さを教えてくれる。自分を肯定する第一歩を、この作品と共に踏み出してほしい。