「女はおごられて当然」はもう古い!?アラサー女子が婚活で知る昭和的価値観の終焉【書評】
更新日:2025/2/6

ここ数年の「昭和ブーム」で、若い世代から昭和の音楽やアニメ、ファッションなどが幅広く注目を集めている。しかし、価値観を昭和のままにしておいていいのだろうか?『「女はおごられて当然」と思ってる昭和引きずり女が、婚活した話』(コニシナツコ/KADOKAWA)は、アラサー女子がぶつかる婚活における価値観の違いを鋭く描いた痛快なラブコメディである。
34歳の主人公・脇田アイコは、昭和的価値観を引きずる典型的なアラサー婚活女子。彼女には、典型的な「おごられて当然」「男性に養ってもらうべき」という、昭和の恋愛観が根付いている。しかし、マッチングアプリで出会った好条件の年下ITエンジニア・こうきとの出会いが、彼女の昭和的価値観を根本から揺さぶることとなる。
「おごってもらうこと=大事にされること」という価値観で生きてきたアイコは、はじめてのデートで1円単位までワリカンにされたことにドン引きする。一方で、こうきは『ワリカンと好意は関係ない』ときっぱり言い切る。2人の価値観のぶつかり合いが本作最大の魅力である。
周囲の結婚ラッシュに焦り、漠然と婚活をはじめたアイコが、こうきとの出会いを通じて自身の内なる偏見や思い込みに気づき、徐々に自分自身をアップデートしていく姿は、同世代の読者に強く響くだろう。「普通」と思い込んでいた価値観を疑い、自分自身を客観的に見つめ直す勇気の大切さを、ユーモアと鋭い洞察力で描き出している。
恋愛の延長線上に結婚があると思いがちだが、恋愛相手と結婚相手に求めるものは違うのかもしれない。こうきが語る「結婚相手とは対等であるべき」という価値観は、アイコだけでなく同世代の女性たちへ、結婚や恋愛における本質的な問いを投げかける。
「大事にされる」ことの真の意味とは何か、自分自身を見つめ直す大切さを教えてくれる本作。2人の関係はどうなっていくのか。アイコの価値観はどう変わっていくのか。本作を手に取って見届けてほしい。
文=ネゴト / Ato Hiromi