紗名ちゃんも私たちも、もっと遠くへ行けますように。『アリスと蔵六』OP主題歌で“再デビュー”!【ORESAMAインタビュー】

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公開日:2017/4/29

(左)PONさん(右)KOJIMAさん

 少女とお爺ちゃんという異色の組み合わせで人情味溢れるファンタジーを描くテレビアニメ『アリスと蔵六』。そのオープニング曲「ワンダードライブ」を歌うのが、ボーカリストのPONとトラックメーカーのKOJIMAによる2人組ユニット・ORESAMAだ。2014年にリリースした「オオカミハート」(アニメ『オオカミ少女の黒王子』エンディングテーマ)以来、約3年ぶりの“再デビュー”となる。

 一旦メジャーから離れた3年間にも、アルバムリリースやライブなどの音楽活動を精力的に続けてきた彼ら。満を持して再デビューする姿は、作中で初めてこの世界に飛び出した主人公・紗名とどこか重なる。この“巡り合わせ”とも言えるタイアップに込めた大切な想いを2人が語ってくれた。

――ORESAMAの活動はいつから始まったんですか?

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PON:もともと私たちは高校の同級生で。その時は一緒にバンドを組んでました。高校を卒業してからはそれぞれ上京して、一緒にオリジナル曲を作り始めるようになりました。

――当時はORESAMAとしてどんな音楽を作っていきたいと思っていましたか。

PON:ポップスですね。明るい曲が好きで。

KOJIMA:僕も、明るくてちょっと踊れる曲を作りたいとずっと思っていて、歌詞についてはPONちゃんに任せていたので、自然とそういう風になっていきましたね。

――アニメソングを意識することは? デビュー曲はアニメソングでしたが。

PON:アニソンはもともと好きでした。私は両親が共働きで、姉の中学の部活が始まってからは家にひとりでいることが多かったので、CSのアニメチャンネルをよく観ていたんです。自然と曲を覚えてよく歌ってました。80年代、90年代のアニメが多かったですね。『タッチ』とか『うる星やつら』のラムちゃんの曲とか。

――今は“NEW DISCO POP”といわれる音楽を作っていらっしゃいます。プロフィールにある「渋谷を中心に活動中」というのは?

KOJIMA:結成してから初期のライブはずっと渋谷でしたし、その中で“渋谷系”っていわれる音楽を取り入れたりしてたんです。ピチカート・ファイヴさんとか。それで自然と“ORESAMAは渋谷系だよね”って、周りからもそういう声を聞けるようになったんです。

――一旦メジャーから離れて着実にファン層を広げてきたORESAMAが、約3年ぶりに再デビューを決心した理由は? PONさんはブログでも“メジャー”というフィールドにこだわっていきたいと語っていましたが。

PON:やっぱりもっとたくさんの方に曲を届けたいからです。今までいた場所でも少しずつ、一緒に楽しんでくれる人が増えたなって感じてたんですけど。もっと聴いてほしいし、届けたいし、一緒に楽しみたいっていう気持ちがすごく大きくて。

KOJIMA:僕は大きな決心というよりも、このタイアップのお話がきっと僕らのターニングポイントになるだろうなと自然と感じて。そんな気持ちから、原作を読んでから曲を作りました。現段階では“よし!メジャーデビューか!”っていうよりも、“すごくいい曲ができた!”っていう感動のほうが大きいです。再デビューの感動はこれから感じていくと思います。

――「ワンダードライブ」を制作するにあたって、まずは漫画原作を読まれたんですね。

KOJIMA:そうですね。その時に、音楽の具体的なイメージが広がりました。疾走感がある曲で、ドラムが4つ打ちで、キラキラしたシンセの音が上のほうでバーッとちりばめられていて…。サビでは、原作にもある大きな世界がガーッと広がるような。

――PONさんが作詞にあたって原作から受け取ったイメージは?

PON:物語の最初のほうにある、紗名ちゃんと蔵六さんが一緒にドライブするシーンをもとに歌詞を書き進めました。物語が動き出そうとするそのシーンに、今まさにメジャーデビューをして駆け出そうとしている自分たちの姿が重なって。紗名ちゃんも、私たちも、もっともっと遠くへ行けますようにっていう願いを込めて書きました。

――再デビューの楽曲にふさわしい巡り合わせだったんですね。苦労した点はなかったですか?

KOJIMA:じつは最初、すごく苦労したんです。再メジャーということで、今まで気にもしなかった部分が気になってしまって。この曲は本当にこれでいいのか、今の僕たちにはもっとできるんじゃないかと。周りの人からアドバイスをもらったりするうちに、今できることを最大限表現すればいい曲はできるっていう気持ちになりましたけど。

――何度も作り直したということですか。

KOJIMA:アレンジも変わりましたし、曲そのものも作り替えましたね。でも、最初に漫画を読ませていただいた時のイメージは一貫してあったので、それをどう表現するかっていうのを試行錯誤してました。

PON: KOJIMAくんが作ったいくつかの曲の中で、「ワンダードライブ」はいちばん自分たちの今の想いを乗せることができた曲でした。だから、『アリスと蔵六』のオープニングで新たなスタートを切らせていただくことになって、その結果この曲が生まれたことに運命的なものを感じます。

――KOJIMAさんはTwitterでこの曲を「これからの進化と新しい挑戦」と表現されていました。

KOJIMA:これから僕たちはメジャーというフィールドで活動していくんですけど、その場所でできる新しい要素を組み込みながら、ORESAMAの音楽とは何か、ポップスとは何かっていうのをより一層追求して、進化させていきたいと思っていて。それは“テクニカルに”ということだけではなくて、精神面でもっと訴えかけられるように音楽を強化していきたいという気持ちなんです。

――その進化の中でも変わらない、ORESAMAの音楽性の軸になるものは?

KOJIMA:良質であること、口ずさめるメロディであること。トラックに関しては、70年代、80年代のディスコやファンクの音楽が大好きなので、そこと現代のJ-POPを融合させるっていう。それを核として、そこからどう派生させるかを、いつも悩みながら曲を作っています。

PON:歌詞に関しては、KOJIMAくんの曲がポップなので、ダイレクトに伝わる言葉を選んでいきたいなとずっと思っています。

――5月24日の「ワンダードライブ」リリースの前に、『アリスと蔵六』の放送が始まっています。お2人がこの作品に感じている魅力を教えてください。

PON:最初に絵を見た時に、アリスと蔵六という2人の日常を描いたほのぼのストーリーだと思ったんですよ。でも読んでみたら不思議な世界の話で、そのストーリーとは対照的に蔵六さんというすごく人間味のあるキャラクターがいて。そのコントラストが、愛とか人の温もりをより強く感じさせてくれるのかなってすごく思います。

KOJIMA:僕は、漫画のイメージがほぼ曲のイメージで頭に浮かんでいたので、曲から感じていただけるそのすべてが、作品に対する僕のイメージです。

PON:少女の成長と愛の物語ですよね。

KOJIMA:曲のイントロの部分は、勝手なイメージで、紗名ちゃんが空をブーンって飛んでいくのをイメージして作ったんですよ。シンセサイザーの音が上のほうで長く伸びているところは、ピュ~ンって紗名ちゃんが飛んだ跡が残っているような感じで。

PON:ラムちゃんみたいに(笑)? ピュ~ンって。

KOJIMA:そうね。もうちょっとテンポが速いんだけど(笑)。

――この曲を聴いた方から、どんな感想を受け取れたら嬉しいですか?

PON:ワクワクする!って言われたいですね。初めて読む本を開いた時のようなワクワク感を感じてもらえたら本望だし、オープニングに選んでもらえた甲斐があると思います。

KOJIMA:シンプルに、ORESAMA良いよね? みたいな言葉がひとこと聞けたら、とても嬉しいですね。そのひとことが、曲を作っていていちばん嬉しいことかなって思います。

PONORESAMAの曲の中では今まででいちばんテンポが速いよね。今までの私たちを知る方々には、この疾走感の新鮮味を楽しんでもらえたら嬉しいです。

――これからORESAMAとしてどんな活動をしていきたいですか?

KOJIMA:これからもシンプルに“いい曲”を作り続けていきたいっていうのは強くありますね。新しくやってみたいのは、海外でのライブです。最近ライブで海外の方から「日本まで観に来たよ」って言ってもらえることが増えたので。オーストラリア、アメリカ、イタリア、中国、台湾…。YouTubeで「オオカミハート」を聴いたり、「乙女シック」のミュージックビデオを観てくれたりしているみたいです。

PON:私は、メジャーという新しい場所に飛び込んだので、もっとたくさんの人たちを巻き込んで一緒に楽しめる曲を作っていきたいですし、もっと一丸となって一緒に踊って遊べるライブを研究していきたいなと思います。こちらが提供するというより、“一緒に遊べる”音楽や場所を作っていきたいです。

 “再デビュー”という言葉にプレッシャーを感じながらも、今できることを精いっぱい楽曲に詰め込んだと語るORESAMA。迷いから解き放たれたそのサウンドは軽快で、聴く人の心を楽しい夢の世界へといざなってくれる。

 4月24日(月)にTSUTAYA O-WESTで開催されるライブ「TOKYO FLAT NIGHT」では「ワンダードライブ」も披露される予定だ。新たな世界に羽ばたいた彼らからにじみ出るワクワク感を、生身で感じてみてはいかがだろうか。

写真=山本哲也、取材・文=麻布たぬ

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