【ダ・ヴィンチ2017年9月号】Cover Modelは、松田龍平さん!
更新日:2017/8/5

Cover Model 松田龍平
絶望がやってきた。愛する人の姿で
――――映画『散歩する侵略者』9月9日公開
黒沢清監督が、前川知大の戯曲&小説『散歩する侵略者』を映画化した。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、高い評価を獲得。
松田龍平は、〝宇宙人に体を乗っ取られた男〟という難役をどう演じたのか?
試写を観て改めて、
愛の話なんだなあって。
「黒沢さんとやれるのは嬉しかったです」
本作のオファーがあった時、断るという選択肢はなかった。
しかし、脚本を読み込んでいくうちに特別な難易度を感じ始めたという。
「脚本を読んだだけでは
なかなかイメージしづらいところが多かったんですが、
人の“概念を奪う”って発想は面白いと思ったし、
奪われた人が、何か新しい自分に目覚めたり、
気持ちが楽になるというリアクションも面白かった。
あと、侵略者と人間、それぞれの目線で描かれていくって構成も
なかなかないんじゃないかなって思いましたね。
概念を奪うことで、宇宙人の側はどう変化するのか、
どこまで奪った概念による変化を見せたら良いのかわからないところはあったけど、
自分なりにその概念を想像しながらお芝居するのは面白かったですね」
宇宙人映画(侵略モノ)であることが、
タイトルの段階で宣誓されているこの映画は、
序盤であっさり大ネタを割る。
天野とあきら、そして真治は、宇宙人に体を乗っ取られていた。
彼らの目的は「地球侵略」。
地球を支配する人間という生物を理解するために、
町の人々から「概念」を奪い始める。奪われた人間は「概念」を失い、
彼らはその「概念」を理解する……。
松田が撮影現場に入る前、不安を抱いていたポイントが、
この「概念を奪う」アクションだ。
ここにリアリティを持たせなければ、
宇宙人による「侵略」の恐怖を、観客に印象づけることができない。
「台本にはただ、概念を奪う、ということしか書かれていなかったから、
テレパシーみたいなものなのかなと思っていたんです。
撮影当日に黒沢さんが、“相手のおでこを指差してみてください”と。
左手をゆっくり上げて人差し指で触れる動作をしてみたら、
“それでいきましょう”となりました」
■そんな松田龍平さんの選んだ一冊は……
『ヒミズ』(全3巻)
古谷実 講談社漫画文庫 各650円(税別)
中学3年生の住田は「普通の人間」でありたいと願っている。だが、母が蒸発し、離婚した父に対して感情の針が振り切れてしまった結果、取り返しのつかない事件を起こしてしまう。「特別な人間」になってしまった人生で、それでも「立派な大人」になれるんじゃないかと、必死の悪あがきを始める―。古谷実の代表作。
「『稲中』(デビュー作『行け!稲中卓球部』)からずっと古谷実さんのファンで、新作を楽しみにしてましたね。『稲中』は完全にギャグですが、次の『僕といっしょ』とその次の『グリーンヒル』は、笑いの中に人間の闇みたいな部分が少し見え隠れしていて。そのあとに『ヒミズ』がきたので、驚きよりも、そっちへ進んだんだなって納得のほうが強かったかもしれないです」。(松田龍平 談)
取材・文=吉田大助 写真=江森康之