あなたはどのタイプ? 自分に“合う味”でラクやせ!
公開日:2018/4/12

食事制限をやったことがある人なら多分共感してもらえると思うのだけど、ダイエットには自分の体質に合う方法と合わない方法がある(ような気がする)。たとえば流行の糖質制限を取り上げてみよう。「糖質制限をしたらやせて体調も良くなった」という人は確実に存在する。しかし一方で糖質制限では思ったようにやせられない人、体調を崩す人もいるのだ。
どんなダイエットも成功できる人は成功する。ただしそれが自分に合ってさえいれば。
健康や美容に良い食生活だってそうだ。糖質控えめの生活が性に合っている人もいれば、糖質を摂ったほうがハッピーに過ごせる人もいる。
それではどうしたら自分にとってベストな食生活を見つけることができるのだろう。
ひょっとしたらその答えになってくれるかもしれない1冊を見つけた。『あなたの味覚にピタッと合う味ダイエット』(庄島義博/かんき出版)だ。
バランスの良い食事をとるのはよいことだ、というのが定説になって久しい。しかし本書によれば、人によってそもそも「バランスの良い食事」の内容が異なる可能性がある。それを見つけるためのヒントとなるのが「味」だ。
代表的な味覚といえば、甘味、酸味、苦味、塩味。そしてそれぞれに合う、合わないがあるらしい。その反応は具体的には筋肉に現れる。筋肉の動きが明らかに良くなる味とそうでない味があるというのだ。
私たちが味を感じられるのは、口の中にある味蕾に味の成分が触れ、その刺激が脳に伝えられるから。著者によると味覚とは身体にとって必要な栄養を知らせるセンサーであるという。合う味とはつまり自分の身体が求めている栄養素を補える味。だからそれを摂取したとき、身体に好ましい反応が起こる。ちなみに合う味は片足立ちや手を上に上げるといった簡単な動きでチェックできる。
逆に「合う味」を避け、「合わない味」をたくさんとってしまったらどうなるのか。身体にとって必要な栄養素が不足するのでいくら食べても満足感がないし、あまり必要ない栄養素が大量に入ってきたせいで身体に悪影響を与えることもあるかもしれない……。
その例として著者はグリーンスムージーをあげる。著者の顧客の1人が、葉野菜が苦手なのにもかかわらず「健康や美容によいから」とグリーンスムージーを無理して毎日飲んでいたそうだ。すると健康になるどころかどんどん体調が悪くなっていったという。
このように、健康と美容のために始めたはずが、味覚に合っていなければ、それが体に影響し、逆に悪くなることもあります。
そのうえで著者はこう結論づける。好き嫌いこそダイエットの基本、だと。
嫌いなものは食べずにストレスから解放されるほうが、ダイエットはうまくいきます。
必ずしも好きなものイコール合う味とは限らないが、合う味は身体が元気で過ごすために必要な味である。それを適度に補充すれば無理なく食事の内容・量のコントロールができるのではないか。その発想こそがこのダイエットのユニークな点である。同時に著者は味覚を磨くことで、食べ物をより美味しく味わえるようになるだけでなく、食事量のコントロールもしやすくなる、とも言っている。そこで本書では味覚を鋭くするためのコツについても紹介されている。
もっともこのダイエットには1つ重大な注意事項がある。それは「合わない味を避け、合う味だったらいくらでも食べてもよい」というトンデモなダイエットではないということだ。そこはよくできていて、いくら合う味のものであっても食べているうちにだんだんそれが美味しく感じられなくなってくる。それは「すでにこの栄養素は足りている」というサインなので、そのあとは別の味のものを食べるべきだ。
本当に美味しく感じるもの、自分の身体が求めているものを美味しく味わえるだけ食べる。本書のコツはいたってシンプルであり、ガマンとは無縁だ。自分の味に対する感性を上げ、その感覚に素直に従っていけば自然と食事のバランスはとれる。
「本当?」と思った人は、まずは合う味のチェックから始めてみてはどうだろうか。
ちなみに筆者に合う味は「甘み」。糖質制限が苦手で悩んでいた筆者にとって恐ろしく納得できる結果が出たのだった。
文=遠野莉子