「違う誰かを『好きになろう』とする恋は恋じゃねえ。拷問だ」『好きな人を忘れる方法があるなら教えてくれよ』【連載第2回】
公開日:2018/7/20

Twitterで55万人が共感するニャンの処女作『好きな人を忘れる方法があるなら教えてくれよ』発売翌日に大重版が決まり、今注目を集めています。「共感しかない!」「立ち読みで泣いた!」という声続出の本作。重版を記念して一部原稿を少しだけ特別無料公開。つらいけど、やめられない。作品の世界に触れてみてください。
とする恋は恋じゃねえ。拷問だ
心にずっと居座り続ける意地悪な人がいる。
「出てってよ」。何度そう願っても、心から出ていってくれない。
本当は出ていってほしくないのかもしれない。
本当は納得がいっていないだけなのかもしれない。
「あの時、ああ言ってれば」「ちゃんと会いに行ってれば」「意地を張らなければ」…。
納得がいかないって、そういう後悔に踏ん切りをつけられていないことだ。
失恋した時、バイトの先輩にこう言われた。「女の傷は女で癒せ」。失ったら代わりを探せばいい。その時は楽観視してたし、なんの意味もないとわかってたけど、微かな希望(忘れさせてくれるという)を抱いて、何人かと関係を持った。でも、ごはんに行って、帰り道に「楽しかったね! また行こうね!」なんてラインが来るたびに違和感が生まれる。何か違う。人を忘れるために違う人にすり寄る行為の虚しさに嫌気がさしてくる。
「多分これじゃ、余計に忘れられなくなるだけだなぁ」
寂しいってこのことか。自分が求めてるのに相手は返してくれない。エゴの塊の感情が「寂しい」だ。
振られた直後の記憶はあまりない。何をしてたんだろう。何をすれば正解だったんだろう。いまだにわからないけど、違う誰かで傷を癒そうとするのは違う。
失恋した人を忘れようとするのは無理。
違う誰かを「好きになろう」とする恋は恋じゃねえ。拷問だ。