わかりみしかない……! 2.5次元沼の住人に捧ぐ“布教用”コミック『舞台追っかけ女子』
公開日:2018/7/25

この世には、2次元と3次元の間に、2.5次元という次元が存在している。現在では一般に浸透している言葉だと思うが、あらためてその定義を説明すると「漫画やアニメ、ゲームを舞台化した作品」のことである。
人気作品ともなればチケットを手に入れることすら困難をきわめ、グッズやブロマイドは連日完売。多くの女性たちが“2.5次元沼”にどっぷりとハマっていることがうかがえる。かくいう私も、その沼から抜け出せずにいるひとりだ。

そして私と同じく2.5次元沼の住人だという畑ヶ中あいこさんが、この度『舞台追っかけ女子』(双葉社)というコミックを上梓した。さっそく読んでみると、何度も「わかりみしかない……!」と思わずうなずいてしまった。

同書は、主人公のぽんさんが、アイコさんとゆめさんという2人の舞台おっかけ女子の影響で、2.5次元と出会い沼に落ちていくまでを描いたサクセス(?)ストーリー。
チケットを申し込む際の窓口の違いから、当日の会場での動き方、観劇中のポイントなど、2.5次元初心者が疑問に思うところを丁寧に説明してくれているので、ありそうでなかった「2.5次元の入門書」として、かなり重宝されそうだ。
私も2.5次元沼の住人ではあるが、これまでストレートプレイ専門だったため、ペンライトを使う作品についての紹介はかなり役に立った。

また「推しが元気だと生きるのが楽しい」「行きつく先に底がない」「今日の公演は今日しかないの」といった名言が随所に登場し、2.5次元沼の住人なら、絶対に心を揺さぶられること間違いなし。それもそのはず、同書に登場するエピソードはすべて、作者である畑ヶ中が体験した実話をもとにしているとのこと。
2.5次元沼の住人なら共感の嵐が吹き荒れること間違いなしの『舞台追っかけ女子』。もちろん、ひとりでうなずきながら読むのもいいが、同書は布教用としてこそ真価を発揮するのではないかと思う。
2.5次元の魅力を知らしめたい相手がいるなら、作品のDVDと一緒に『舞台追っかけ女子』をそっと忍ばせて渡してほしい。きっとその相手もいつの間にか沼にハマってしまっているはずだ。
文=近藤世菜
■作品紹介
『舞台追っかけ女子 推しが元気でごはんがおいしい』(双葉社)
LINEスタンプ「舞台追っかけ女子」が人気の著者による、舞台追っかけ女子たちの日常あるあるコミックエッセイ。頼まれてチケットを当ててしまったことから始まる2.5次元沼。当落メールに一喜一憂し、グッズ収集に命を懸ける2.5次元沼の住人たちの実体験をふまえたエピソード満載! 2.5次元沼の基礎知識コラムも収録。推しがいるから人生楽しい!
■プロフィール
畑ヶ中あいこ(はたけなかあいこ)
現実に疲れていたときに2.5次元舞台と出会い、そのまま沼の住人に。推しの姿に元気をもらっている。LINEスタンプ「舞台追っかけ女子」累計5万ダウンロード。
