30歳以上の女性3~4人に1人は発生しているといわれる子宮筋腫。気になる治療法は…?
更新日:2019/4/19
女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

子宮筋腫があっても、治療が必要になるケースは限られています。治療は行わず様子を見ていいかどうかの判断は、
*自覚症状がない
*筋腫の大きさが10cm未満
*筋腫の大きさの変化がほとんどない(あまり大きくなっていっていない)
などのポイントでチェックします。
逆に、何らかの治療を検討した方がいいのは次のようなケースです。
*月経量が多くて貧血になっている
*月経量の多さや月経痛が日常生活の妨げになっている
*筋腫の大きさが10cmを超えている
*筋腫の大きさがどんどん大きくなっていっている
*筋腫による圧迫で頻尿や排尿困難がある
*妊娠を希望していて筋腫が子宮内部にできている
*妊娠を希望していて筋腫のサイズが7~8cmを超えている
特に、月経量が多すぎて重度の貧血を引き起こしている場合や、筋腫の圧迫のせいで尿が出せなくなってしまっている場合は、直ちに治療をした方がよいでしょう。
主な治療法は次のようなものがあります。
1)対症療法
痛みに対して痛み止め、貧血に対して鉄剤、便秘に対して便秘薬、といった症状を和らげるだけの治療です。筋腫に対して根本治療を行わず、出ている症状に対して必要なお薬を使っていきます。根本原因を治療していないので、症状が悪化すると対症療法だけでは追いつかなくなることもあります。
2)ホルモン療法
ピルやホルモン付加子宮内避妊具(ミレーナ)で月経を軽くする方法と、女性ホルモンを抑えて閉経の状態を作る方法があります。
ピルは毎日服用することで排卵を抑え、子宮内膜を薄くする効果があるため、月経量が多い場合や月経痛がひどい場合に有効です。また、ホルモン付加子宮内避妊具も、子宮内膜を薄く保つため、月経を軽くすることができます。いずれも、筋腫のサイズを小さくする効果はないため、サイズが大きいために出ている症状には無効です。
女性ホルモンを閉経状態に抑える治療は、「偽閉経療法」と言って、注射・点鼻・内服のいずれかで、女性ホルモンの分泌を抑える治療法です。月経が完全に止まるため出血による貧血もなくなりますし、女性ホルモンがなくなることによって筋腫のサイズも小さくなります。ただし、更年期のような症状が出たり骨密度が下がる場合があるため、通常は6カ月間までしか連続して使えません。
3)外科的治療
筋腫に対する手術は、「子宮全体を摘出するか筋腫だけをとるか」と、「開腹するか腹腔鏡にするか」で分類されます。また、子宮のお部屋の中にある筋腫だけを削る場合は、子宮鏡手術という方法を選択する場合もあります。
手術ではなく、子宮動脈塞栓術という比較的新しい方法もあります。筋腫に栄養を送っている血管を特殊な医療材料で詰まらせて筋腫に栄養がいかないようにする治療法です。栄養が来なくなるので、筋腫は徐々に小さくなっていきます。
筋腫があるから必ず治療が必要なわけではありません。どの段階で、どのような治療を行った方がいいのかを相談できるよう、定期的に筋腫の状態をチェックして、その都度主治医と相談するようにしましょう。