アダルトグッズ常備は当たり前!? 実務経験アリの作者が描く、エロゲー制作会社のチョイエロな日々

マンガ

更新日:2019/5/15

『えろげっつ!~めいのエロゲー会社いろどり妄想日記~』(永緒ウカ/KADOKAWA)

 世の中にはさまざまな職種や業種がある。なかには、多くの人たちが働き方を全くイメージできない業界もあるのではないだろうか。『えろげっつ!~めいのエロゲー会社いろどり妄想日記~』(永緒ウカ/KADOKAWA)もそんな業界を描いた作品。とある女子専門学生のインターン生活を描いたコメディマンガである。

 主人公の高梨めいは、ゲーム専門学校に通う、乙女ゲームが大好きな20歳の女の子。就職活動を翌年に控えた春、憧れの乙女ゲーム制作会社でのインターンが決まり、期待に胸を膨らませていた。しかし、インターン初日に彼女の前に現れたのは、“裸に毛皮のコート”という過激なファッションに身を包んだ女社長。「あなたのフェチや萌える体位は?」「好きなキャラを攻略できると、股間がトキメク」などの衝撃的な会話が繰り広げられるなか、めいはここがエロゲー制作会社であることを知り、驚愕する。

 めいの、とんでもない勘違いから始まるセキララなインターン生活を描いた本作は、妄想力豊かな主人公とキャラの濃い同僚たちとの絶妙な掛け合いが魅力。「社員寮はネオン街にあるラブホテル『愛♡らんど』」「会社にアダルトグッズの常備は当たり前」など、ユーモア溢れる設定にも精一杯対応するめいの奮闘っぷりに思わず笑みがこぼれる。本作は、各話8~10ページ完結のオムニバス形式。“ちょいエロジャンル”のマンガとしては珍しい、穏やかでほのぼのした新感覚の笑いのおかげでテンポよく読み進められる。

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 また、ふいに出てくるエロゲー業界の常識や豆知識も非常にリアルで興味深い内容が多い。実は、作者である永緒ウカさんは漫画家としてキャリアをスタートさせる前、エロゲー制作会社での勤務経験あり。あとがきにも「エロゲー会社のお話ですが、ほぼほぼ実録といいますか…(中略)改めて『現実は小説より奇なり』ではないですが、濃い日々だったな~と思います」と記載している。

 作者の実体験であることを踏まえてもう一度読み返してみると、同僚たちの仕事へのひたむきさやエロゲーへの熱い想いに命が吹き込まれる感覚を覚える。各話の最終ページに掲載されている「社長語録」も楽しみに、本作で“ちょっぴりエッチ”なエロゲー業界の常識を勉強してみてはいかがだろうか。

文=山本杏奈