可愛い笑顔と言動に心がぽかぽか。“ばあさん”との愛しい日々を綴ったコミックエッセイ
更新日:2019/5/30

親と最後に話したのはいつですか? 忙しくてなかなか時間が取れなくても、もし離れて暮らしているのなら、少しだけ急ぐ足を止めて、話をする時間を作ってみてはいかがでしょうか。
『ばあさんとの愛しき日々』(なとみみわ/イースト・プレス)は、親と過ごす日々の何気ない会話や、くだらないと思える普段のできごとがどれほどかけがえないものかを思い出させてくれるコミックエッセイです。著者のなとみみわさんが、10年にわたって丁寧に綴ってきたブログ「あっけらかん」から、義母である“ばあさん”と暮らしたエピソードをまとめた1冊。
ばあさんは、いつも笑顔でかわいいけれど、ちょっぴりガンコなところがあります。すっとぼけた言動でなとみ家の人々を振り回すのに、最後は思わずクスッと笑顔になってしまう愛らしさを持つ、みんなの人気者です。本稿ではそんなばあさんらしさが全開の、3つのエピソードを選りすぐってご紹介します。
■ばあさんは息子想い

ちょっと忘れっぽくなってきて、明日の日にちも曖昧になっているばあさん。でも息子の誕生日はしっかりと覚えています。誕生日の夜、居眠りしている息子を見つけたら、風邪を引かないように、毛布をかけて……と思いきや、取り出したのはハンドタオル。明らかに大きさが足りないけれど、ばあさんの愛が大きいから、これでいいのですよね。
■ばあさんはコンビニで買い物をするのが好き

病院帰りにコンビニに寄り、両手いっぱいのお土産を買うのが習慣のばあさん。久しぶりのコンビニはなとみさんの2人で。ばあさんが買い物を楽しむ間、なとみさんはばあさんと仲良しの店員さんと談笑。ばあさんが、知らないところでなとみさんのことを褒めていたことを知ります。一方、かごいっぱいにお土産を入れるばあさんでしたが、自分のための買い物は「黒あめ」だけなのでした。
■ばあさんは食いしん坊

病院で食事制限をしてくださいと言われても、美味しいごはんやおやつを前にするとつい手が出ちゃうばあさん。なとみさんが作るごはんも大好きで、もりもり食べます。ある日、なとみさんが鍋いっぱいに作ったカレーが行方不明に! 床に点々とこぼれているカレーの跡を辿っていくと、ばあさんの元にたどり着きます。なとみさんの問いかけにばあさんが振り返ると、なんと口の周りにカレーがたくさんついています。それでもばあさんは「だから〜〜、ばあちゃん食べてません」と言い張るんです!
“なとみ家”のばあさんの話ではあるものの、どこか自分の母親や祖母にも重なるような……懐かしさすら感じるエピソードの数々に、心がほっこりと温かくなります。忙しさに追われてるな、大事なことを忘れている気がするな。そんなときに開いてみると、親への感謝や、周りの人への優しさを思い出せるかもしれません。
文=箕浦 梢