知っておきたい「避妊」の方法。低用量ピルについて
更新日:2019/7/5
女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

日本人が選択している避妊方法で最も多いのは男性用コンドームですが、実は避妊率を見るとかなり不確実な方法であると言わざるを得ません。その避妊法がどのくらい確実かを表す指標として、パール指数(PI)という数値が用いられます。これは、その避妊方法を1年間継続した時に、100人中何人の人が妊娠するかを示した数値です。下の表をご覧いただくとわかるように、コンドームを一般的な使用法で使った場合、つまり、途中で外れたり破れたり、気づかずにずれてしまったりといったケースも含めると、18%もの「避妊に失敗するケース」があるということです。
避妊方法 |
一般的な使用(PI) advertisement |
理想的な使用(PI) |
---|---|---|
無避妊 |
85 |
85 |
コンドーム(男性用) |
18 |
2 |
コンドーム(女性用) |
21 |
9 |
IUD(銅付加) |
0.8 |
0.6 |
IUS(ミレーナ) |
0.2 |
0.2 |
低用量ピル |
9 |
0.3 |
周期認識法(基礎体温法) |
24 |
3 |
手術法(女性) |
0.5 |
0.5 |
手術法(男性) |
0.15 |
0.1 |
それに対して、より確実に避妊する方法として、低用量ピルの服用や子宮内避妊具の挿入があげられます。どちらも正しく使えば、避妊に失敗する確率は1%以下です。
ピルとは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが混ざったホルモン剤のことを指し、含まれている卵胞ホルモンの量によって、高用量・中用量・低用量・超低用量に分類されています。現在日本で「避妊用のピル」として認可されているのは、低用量ピルです。避妊用ではありませんが、月経痛の治療薬として発売されているものには超低用量ピルもあります。避妊用のピルは自費なので、病院によって値段が異なります。大体、1シート(1カ月分)2000~3000円に設定している病院が多いでしょう。保険適応のピルは、種類によって1シートの値段が異なり、1100円~2500円くらいの価格帯です。
ピルの主な作用は、1)排卵の命令が出ないようにする・2)子宮内膜を薄くする・3)頸管粘液を減らして精子が入りにくくする、という3つの機序からより高い避妊効果を得るというものです。定期的にホルモン剤を飲むことで、体の中のホルモン量を一定に保ち、脳に「もう十分なホルモンがありますよ」と勘違いさせるので、排卵の命令が出なくなるのです。
主な副作用は、吐き気・嘔吐・むくみ・頭痛・不正出血などですが、これらは「マイナートラブル」といわれ、飲み始めに見られることがありますが、多くのケースでは1~2カ月で徐々に治まっていきます。注意が必要なのが「血栓症(血の塊が血管に詰まってしまう異常)」であり、喫煙者や肥満の方など血栓症リスクが高い方はピルは服用できません。
ピルには、高い避妊効果以外にも、月経痛が軽くなる・月経量が減る・月経周期が整う・月経前の不調が軽減する、などのさまざまな副効用があります。血栓症リスクがない、確実な避妊が必要な人にとっては、副作用のデメリットより服用するメリットの方がはるかに大きいと言えます。
ピルを処方するにあたって必要なのは、詳細な問診と血圧及び体重の測定です。月経痛などの症状がなければ、処方のために内診を行う必要はありません。ピルを試してみようかなと思ったら、まずは婦人科で相談してみるとよいでしょう。