悪魔のような双子に弄ばれる大学生の顛末は……? グロテスクホラー『フロイトシュテインの双子』
公開日:2019/8/16

「ちょっかいや悪ふざけをするのは、その人への愛情の裏返し」なんて言葉をよく聞く。ただもしも、自分がこの物語のような愛情の裏返しを受けたとしたら……とてもじゃないが耐えられない。むしろ死を選ばせてほしいとさえ思ってしまう。
『フロイトシュテインの双子』(うぐいす祥子/集英社)は、まさにそんな死を選びたくなるような仕打ちの数々を描いたグロテスクホラー作品だ。
物語の主人公・桜井健司は、教師を目指すごく普通の大学生。彼は教師になる第一歩として古めかしい屋敷に住む双子・ミチルとカケルの家庭教師を務めることになった。桜井は、双子の可愛さにおもわず頬を赤らめるも、双子が浮かべた不気味な笑顔には恐怖を覚える。この双子が悪魔のような子らだと知るのはそう遠くはなかった。
その日から桜井は、呪いの人形の実験体にされたり、黒魔術で生み出された魔物に内臓を食われゾンビにされたりと双子の玩具として弄ばれる。双子の母曰く、それは桜井が好きゆえの仕打ちだという。しかし桜井の身体は日を追うごとに疲弊していく。
そんな毎日が続く中で、彼にも癒しを与える存在が現れる。同じ大学の遠野という女性だ。桜井は、遠野に双子に関する色々な悩みを打ち明け、遠野も桜井を励ます言葉をかけ続ける。そのコマはまるで恋愛マンガによくある描写だ。桜井と遠野はお互いに想いを募らせていく。
ある日、遠野は桜井を映画デートに誘う。おもわず浮足立つ桜井。しかしこの映画デートが、人類を揺るがす恐怖のきっかけになるとは、一人を除き誰も知らない。物語は予想外の角度から急展開を迎える。
本作は1巻完結作品である。しかし、読み終わった後なぜか続きが気になってしまった。ところどころに鏤められた愛情の裏返しという名の恐怖は、目を伏せたくなるほどグロテスクだ。同時に、双子は桜井を今後どのように弄ぶのか楽しみになってしまう。1巻読み切りで終わってしまうのはもったいない作品といっても過言ではない。
恐怖とグロテスク、双子の不器用な愛情(?)が描かれた本作。気軽にホラーマンガを楽しみたい人におすすめである。ぜひ手に取って読んでいただきたい。
文=トヤカン