海渡翼「誰にも負けない強みを持ち、人の心に何かを残したい」【声優図鑑】
更新日:2019/12/3

キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第231回目に登場するのは、『あんさんぶるスターズ!!』の桜河こはく役や『DREAM!ing(ドリーミング!)』の浅霧巳陽役に決まり、今後の活躍が期待される海渡翼さん。撮影もインタビューも慣れておらず緊張したそうですが、地元・京都弁での演技のことや、歌やダンスといったパフォーマンスが自分の武器のひとつであると力強く語ってくれました。
――「翼」と書いて「たすく」と読むのは珍しいですね。初対面で「たすく」と呼ばれたことってありますか?
海渡:ないですね。間違いなく「つばさ」と呼ばれます(笑)。
――このような撮影は初めてとのことですが、カメラマンから何か言われたりは?
海渡:まばたきしすぎと言われました(笑)。自分では(目を)あけているつもりでも、シャッター音が鳴るとまばたきしてしまって……。今後の撮影では、しっかり意識して臨みたいと思います。
――そこは慣れですよね。では、どのようなきっかけで声優を目指したのか教えて下さい。
海渡:親が教育関係の仕事をしているので、子供の頃は僕もその方向に進むんだろうなと思っていたんです。でも、高校2年の進路相談で、改めて「自分のやりたいことってなんだろう?」と深く考えたんですね。もともと中学の頃からアニメが好きになり、声優の存在は知っていました。アフレコ現場の動画などを見て「格好いいな」「すごいな」って。キャラクターに命が注ぎ込まれているのを感じて、僕もやってみたいと思ったんです。それで、大阪の専門学校に通うことにしました。
――声優になりたいと言った時、親の反応はどうでしたか?
海渡:最初は反対されました。でも、専門学校の進級公演や卒業公演を見てもらい、そこでサポートしてもいいか判断してもらったんです。熱意をもって努力しているところを見て、親も理解してくれました。

――アニメは中学の頃から好きになったわけですが、それまではどんな子供だったのですか?
海渡:小学校の頃はアニメどころかテレビもそんなに見ていなくて。外でサッカーをしたり池に行ってザリガニ釣りをしたり、夏は神社でホタルやセミを取って遊んでいましたね。
――絵に書いたような子供ですね。そして中学でアニメが好きになったと。見ていたのはどんな作品を?
海渡:『ドラゴンボール』とかですね。朝にやっていた再放送で初めて見て面白いなと思って、そこから漫画を読んだりDVDを借りたりして最初から最後まで全部見ました。
――最初からというのはすごいですね。深夜アニメの方はどうですか?
海渡:ライトノベルが好きな友達に勧められて、面白いなと思ったのが『ソードアート・オンライン』でした。アニメもやっていると教えてもらい、それで深夜帯にやっているアニメを知ったんです。そこからは自分でもライトノベルやアニメのDVDを買うようになりましたね。
――声優の存在は認識していたとのことで、憧れた人はいましたか?
海渡:松岡禎丞さん(『ソードアート・オンライン』のキリト役ほか多数出演)に憧れました。日常から戦闘シーンまで複雑な人間の心を表現されていて、すごい方だなと思って、どんな方なんだろうと興味を持ったことがきっかけで、声優という仕事を本格的に調べていった感じですね。

――その後、実際に専門学校での勉強がスタートしたわけですね。
海渡:はい。最初はやっぱり難しかったですが、上手くできた時に先生やクラスメイトに「良かったよ」と言ってもらえたことがすごく嬉しくて。相手の心に何かを伝えられたような感覚がしました。声優は、何らかの形で人の心に触れられる職業なんじゃないかと感じて、声優になりたいという思いが更に強くなりました。
――お仕事としては『ファイトリーグ』で不知火焔を演じています。最初は緊張したのでは?
海渡:そうですね。学校や養成所で練習していた環境とは全然違い、緊張から思うような発声ができなくて。悔しさもありましが、なによりも楽しいという気持ちが大きかったです。収録後は、ゲームだけじゃなくアニメやボイスドラマなど幅広くやっていきたい、という思いになりましたね。
――そして、アイドル育成プロデュースゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、新ユニット「Crazy:B」の桜河こはく役として発表されました。
海渡:こはく君は京都風の言葉で話すキャラクターなので、(京都出身である僕の)地元の言葉を活かして作品に携われることがとても嬉しいです。関西から上京してきて知らない土地で頑張るところも自分とリンクしていると思いますし、親近感を持って演じさせていただいています。
――収録はどうでしたか?
海渡:普段よりもリラックスしてできたかなと思います。ただ、固有名詞のアクセントが自分でしゃべっていてわからなくなってきて、読みながらゲシュタルト崩壊を起こすこともありました(笑)。
――曲もすでにレコーディングしたそうですね。
海渡:はい。キャラクターで歌う難しさを実感しました。キャラクター性を崩さないようにしっかり気を付けていたのですが、やっぱり自分の歌い方が出てしまって……。何度も録り直しましたが、聴いてくださる方にこはく君らしさが伝えられていたら嬉しいです。
――ちなみに、子供の頃や学生時代はどんな曲を聴いていたのですか?
海渡:ジャニーズの曲をよく聴いていました。姉がジャニーズ好きだったので、KAT-TUNさんやNEWSさん、嵐さんとか。あとは、母親の影響で昔の「神田川」(かぐや姫)とか(笑)。
――まさか1970年台のフォークソングが出てくるとは。ゴリゴリのハードロックとかではないんですね。
海渡:聴くのはポップスが多くて、バンドの曲もあまり聴いてこなかったです。

――ゆめ見る男子のキズナ育成ゲーム『DREAM!ing(ドリーミング!)』では、浅霧巳影(CV:立花慎之介)の双子の弟である浅霧巳陽を演じています。こちらも京都弁のキャラクターですね。
海渡:そうですね。巳陽は、内面に想いを溜め込んでいるというか、ミステリアスなところのあるキャラクターだと感じています。なので、どこまで感情を乗せていいのか試行錯誤しながら演じています。
――双子の兄を演じる立花さんとのエピソードがあれば教えて下さい。
海渡:実は、大先輩である立花さんの方言指導をやらせていただきました。僕がやっていいのか不安だったのですが、立花さんは「違っていたら全然言っていいから」とフレンドリーに接してくださって。とても嬉しかったですね。
――今後はステージでの歌やダンスも増えていくと思います。そのような経験は?
海渡:ダンスとボーカルのレッスンはずっと続けています。体を動かすことが大好きなので、いただいた振り付けを自分なりにどう表現するか考えることが楽しくて。歌うことも昔から好きなので、いつかそんなステージに立つことが出来たらいいなと思います。
――特技が空手道とサッカーですからね。それぞれどの程度やっていたのですか?
海渡:サッカーは小学生から高校二年までやっていました。強豪校ということではなく2回戦敗退するぐらいでしたが(笑)。空手は父親が師範なので3歳ぐらいからやっていて、2段を持っています。ただ、上京してからはあまりやる機会がないですね。

――では、上京してきてからは、プライベートの休日をどのように過ごすことが多いですか?
海渡:外に出て体を動かさないとストレスを感じるので、たまに公園で走ったりしています。
――やっぱり体を動かすのが好きなんですね。プロフィールの趣味欄にある「色々な物で鶴を折る」も気になります。
海渡:きっかけはガムの包み紙で鶴を折ったことでした。「この小さい紙でも折れるのかな?」と思って、やってみたら折れたんですよ。そこから、もっと小さい紙でやってみたり、大きな画用紙でやってみたりして。ゴミ袋でもやってみましたよ(笑)。
――もうひとつの趣味がUFOキャッチャーということで、結構上手いのですか?
海渡:下手です(笑)。でも、練習のために通っていた時期もあって、今も部屋にはUFOキャッチャーで取ったぬいぐるみがいっぱいあって、ソファーの上に飾っていたりします。
――その感じだと部屋は綺麗そうですね。
海渡:そうですね。あまり汚したくないので、休日は部屋の掃除をこまめにしています。
――家ではテレビや動画なども見たり?
海渡:はい。ニュース番組を流していることが多いのですが、たまにバラエティを見たりもします。お笑い芸人さんだと、超新塾さんにハマっていてYouTubeのライブ配信を見たりしますね。
――改めて、目指す声優像を教えてください。
海渡:今はまだ自信を持って「これができます!」というものがないので、「これなら誰にも負けません!」と自信を持って言えるものがある、そんな声優になりたいです。そして、マルチな活動で人の心に残る作品を作っていけたらと思っています。応援よろしくお願いします!
――海渡さん、ありがとうございました!
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

海渡翼
◆撮影協力
撮影=山本哲也、取材・文=千葉研一、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト」