元セクシー女優で男性タレント・大島薫が教える男女の人間関係の作り方/『モテたいと思っている男ってなんであんなに気持ち悪いんだろう』①
公開日:2020/2/9
男性はどうすれば女性に気持ち悪がられずにモテることができるのか。職場や家庭でスムーズな人間関係を築くにはどうするべきか。男女の人間関係の作り方を「男性と女性の両方の気持ちがわかる」大島薫が教えます。女性は顔よりも服をほめて欲しいし「かわいい!」より「面白い!」と言って欲しい。全女性共感! 全男性必読!の1冊。

まえがき
新宿の片隅にゴールデン街という古い飲み屋街がある。昔は気難しい店主ばかりの薄暗い裏通りだったのだが、最近は外国人旅行者の観光スポットになっていてテレビの取材でも取り上げられるようになり、一見(いちげん)さんの若者もよく訪れるようになった。
その日、僕がゴールデン街のとあるバーで飲んでいると、酔っぱらった2人組の男女がやってきた。2人組は僕の席の隣に座り、男性はハイボールを頼み、女性はショートカクテルを頼むとお決まりのように半分くらいこぼしながら口元に運んでいる。2人とも年齢は30前後だろうか。
「私はー、けんちゃんのこと嫌いではないよ」
「だろう? みゆきは俺と絶対相性いいんだって」
その前からの会話の流れはわからないが、そんなような話をしている。たぶんけんちゃんというのがそこにいる男性のあだ名で、みゆきが女性の名なのだろう。
「おねーさん、すっごく色気ありますね」
突然みゆきのほうから声をかけられた。男に口説かれている女性というのは、よく周りの女性を男の前で褒(ほ)めてみせる。
「あはは……そうですか?」
はしゃぐのもバカらしいし、そんな年でもないので軽く返した。
「俺ら初めてくるんスよ。おねーさんはよくここ来るんですか?」
続いて、けんちゃんも話しかけてきた。
「ええ、まぁ……」
これも適当に相槌を打つ。話を振られたからといって、男女の会話に入るほど無粋でもない。それと、彼らの会話に参加するととてつもなくめんどくさそうな気がする。
「むぅ……おねーさん綺麗だから、あんま見ちゃダメ」
女性がカウンターに乗った男性の片手を軽く掴み、小声でそう伝えるのが聞こえた。おうおう、やってんなやってんな。
「おねーさん、聞いてくださいよー。彼ったら彼女がいるのにアタシとキスしたいとかいうんですよー」
知りません。とも言えずに、ちょっと苦笑して
「それは良くないですよね――」
と僕がいいかけたとき、突然けんちゃんがみゆきの唇を奪った。ショートグラスの中のカクテルは静かに水面を打っている。
「俺は……本気だから」
唇を離したけんちゃんが、真面目な顔をしてそう告げた。
みゆきは驚いたままだった顔をゆっくり伏せ、けんちゃんのTシャツの袖を掴んでこう返した。
「もう……ダメだよ」
そのときの僕の目は、虫の死骸を運ぶ蟻の行列を見るときと同じようにうつろだったと思う。
他人のラブゲームに突然巻き込むのを処罰する法律を作って欲しい。本当に切にそう願った。
ご挨拶が遅れました、どうも、大島薫です。まず初めに僕が遭遇した悲しい出来事のお話をさせていただきましたが、皆さまもイヤな気分になられたでしょうか? 不幸のおすそ分けができたのであれば幸いです。
とはいえ、自分たちが恋愛をしているときも似たり寄ったりかもしれませんね。恋は盲目。燃え盛る2人の愛で周りまで大火事に! あの2人ももっと円滑なコミュニケーションをしていれば、こんなことにはならなかったのに。
男女の認識の違いってものは2人のすれ違いを生み、だけど、そのすれ違いに「なんでわかってくれないの? こんなに愛しているのに」とさらに愛を加速させます。でも、それも度を過ぎると「あ、こいつダメだわ」なんて見切りをつける原因にもなったりしますね。
「男と女は別の生き物! だから、わかり合えないのはしょうがない」
そう割り切ってしまうのは簡単ですが、本当にそうでしょうか?
僕は23歳のころに、男性の見た目から女性の見た目に生活を変えて生きてきました。見た目だけで身体は男性のままですし、恋愛対象は男女両方です。とはいえ、実際に生活してみると、見た目の立場が変わっただけでまるで別世界に来たような体験を色々としてきました。
例えば電車に乗っていて痴漢をされるなんてことも初めて経験しましたし、飲み屋で男性に口説かれたりするのも初めての経験です。その中で、昔女性たちがいっていた「男性にはわからない感覚」というのもいくつか体感することができました。
なぜ女性は「セックスレスで寂しい」というのか、なぜ女性はセクハラに敏感なのか、なぜ女性は口喧嘩になるとすぐ黙るのか。男性の僕が長年謎だった数々が、ちょっと立場を変えて見方を変えれば存外納得のいくものだったのです。
これはつまり、生理のような身体のつくりの話を「見た目が変わっただけで理解できた」ということではないということなんですね。そう、僕らが「男性の特徴」「女性の特徴」みたいに呼んでるものは、生まれたときからそうだから一生わかり合えないものってだけではないんです。
問題は「わかろうとしないこと」だったんです。
この本では僕が見た目の変化を通じて感じた「女性のここがわからない」の謎解きをご紹介していきます。なにも僕のように女装して生活なんかしなくても、ちょっと見方を変えてわかりやすい言葉で伝えれば、きっと多くの男性たちも理解できる内容と信じていますので、ぜひこの本を通じて先のような『加速する男女のすれ違い』で僕と同じ被害者を出さないことを願っております。