とにかく「お皿を洗う」だけ!片付け下手な私を救った小さな習慣/『どんなずぼらさんでも「これなら絶対! 」片づく技術 』⑤

暮らし

公開日:2020/3/4

今までの「片づけ本」では片づかなかった人、 家事が苦手で「どこから手をつけていいのか」途方に暮れている人…必見! 世界中の「ずぼらさん」を感動させたベストセラーが、ついに邦訳。「お皿を洗う」――たったそれだけの小さな習慣が人生を変え、 家事・片づけが絶望的に苦手なわたしを救った――。ずぼらあるあるが、ちょっとしたコツでスッキリ解消!

『どんなずぼらさんでも「これなら絶対! 」片づく技術 「たった1つの習慣」で人生が変わる』(ダナ・K・ホワイト:著、大浦千鶴子:訳/マガジンハウス)

「小さなこと」から始める

幻想

やらなきゃいけないことが多すぎて、パニック。そうだ、リストをつくろう。細かいリストを。

現実

そのリストを紛失。

スタート地点で必要なこと

「どこから手をつけたらいいのかもわからない」

 よく耳にする言葉ですし、その気持ちも理解できます。

 家事はプロジェクトじゃない、とわかってはいても、わたしみたいな人間は、家じゅうが手のつけようのない散乱状態ですから、それはもう大仕事になってしまいます。

 どこから手をつけたらいいかなんてさっぱりわからないけれど、「今まで自分がやってきたことは、うまくいかなかった」ということだけはわかります。

 わたしも以前はなにをやっても元どおり、いつまでたっても進歩しませんでした。

 そこで決心したのが、小さなことから始めること。

 できるだけ小さくて、できるだけ手軽な家事。

 まず、なにはともあれ食器を洗うことにしました。キッチンをきれいにする作業のなかで、食器洗いにいちばん時間がかかるし、それさえすめば、ほかの片づけもスムーズにいくだろうと考えたのです。

 小さなことから始める。

 とにかく食器。毎日かかさず食器を洗うだけでも、わたしにとってはものすごい進歩でした。

「家のなか全体を」なんて思わず、「キッチンだけでもとにかく」とも思わず、「ただ食器のことだけ」考えて、ひたすら洗いました。

 2日目も、わたしは食器を洗いました。

 3日目? また洗いました。

 とにかく目標は、食器を洗うことだけ。

 とりあえず、できそうな小さなことをくり返したんです。

 すると、思いもよらないことが起きました。食器洗いをしているうちに、食器の洗い方がわかってきたのです。

 それ以前に洗い方を知らなかったというわけではありません。でも、「1つの習慣として」食器をどう洗うかは知らなかったのです。

 1つには、どこに手を伸ばせば洗剤をつかめるか謎だった、ということがあります。きちんと洗剤の置き場も決めていなかったからです。

 そして、たとえばシンクにちょっとお皿が置いてあったとき。たかだか2、3枚の皿を洗う意味があるのか、という問題があります。子育てでめちゃくちゃ忙しいときに、流し台にかろうじてできた食器の小山をどうすればいいのか問題。

 パパッと洗う? このまま放置する?

 もちろん今までのわたしは迷わず放置していました。

 幼いころからお芝居の才能があったわたしは、前述したように、自然と演劇の道に進みました。ところが大学に入ると、演技について学ぶことがどんなにたくさんあるか思い知らされショックを受けました。

 もって生まれた一定の才能を活かして活躍する人もいますが、じつは演技力とは多くの人にとって自然に身につくものではなく、がんばって習得すべきものだということです。

 このとき、スキルを身につけるべく懸命に努力していた仲間の姿が、わたしの目に焼きついています。最初はギクシャクしていた彼らもみるみるうちに、優秀な役者へと変わっていきました。それは、彼ら自身がスキルを習得したからにほかなりません。

 ギターを手に取ったり、ピアノの前に腰かけたりしたら、すぐにメロディを奏ではじめられる人もいますが、それはごくまれな人たち。

 たいていのミュージシャンが、毎週、何時間も練習し、それを何年も続けてやっと、世間に「本物だ」と認められるスキルを身につけます。

 練習を積んでスキルを身につけると、いとも簡単にできるように見えてしまうもの。でも、なにかを簡単そうに見せるには、ちょっとした努力が必要だということです。

 このことに気づいたわたしは、自分自身の背中を押すために、以前、演劇学校の生徒たちやわが子に向けて語った「はげましの言葉」を、そっくりそのまま自分に向けて語りかけました。

「人が簡単そうにやっていることのほとんどが、スキルなの。才能だけじゃない。スキルは、何度かやれば習得できるものなのよ」と。

 そうこうしているうちに、毎日かかさず(汚れた皿がほんの少ししかない日も)食器を洗っていると、だんだん、ぎごちなさを感じなくなりました。

 食器洗いにかかる手間を計算できるようになり、何時間どころか、ほんの数分間でできるとわかり、いちいち始める前に「ヤだなー」とため息をつかなくともよくなったからでしょう。

 今やるべきことは、食器を洗うことだけ。

 ところで、うちには食洗機がありますから、実際には、きれいになった食器(前日使った分)を食洗機から出して食器棚にしまい、いったん食洗機を空っぽにして、汚れた食器をまた入れるという作業です。

 すると、最初の1週間が終わるころ、まだ「食器洗いなんて余裕でできる」とまではいかないものの、完全に手のつけられないタスクではなくなってきたのです。

<第6回に続く>