新人への電話教育が意味をなさない/SE女子の日常
更新日:2020/6/24
ほとんどの会社が新入社員に学ばせる「電話の取り方」。新人は電話取次が仕事、という会社もあるかもしれません。しかし、エンジニアの場合は事情が少し異なるようで……。元エンジニアの漫画家ぞえさんが紹介します。

わたしの勤めていた会社では、部署に配属されたあとの新人教育の一環として、「近くの電話が鳴ったら優先して取ってもらう」という方針を取っていました。
基本的なマナーは入社後の会社主導の研修で学びますが、実際に電話応対を経験するのは配属されてからです。
あくまで社会人としての経験を積むのが目的で、ある程度電話に慣れたら教育は終わり、という方針でした。
電話をかけてくるのは、一緒にプロジェクトを進めている、見知っている人からがほとんどで、SEの仕事に完璧な電話応対など求められていないからです。

しかし、私がいた職場では、あまり電話がかかってこないのです。
連絡手段としてメールもあり、チャットもあり、本当に困ったときは席に直接やってくる。
電話はあくまで連絡手段の一つであり、それ以上でも以下でもありません。
それで普段は何も問題はないのですが、新人さんが配属された直後だけ少し困ります。
取ってもらう電話がかかってこないのです。経験を積もうにも、電話がかかってこない。
あまりにもかかってくる電話が少ないので、近くの席から新人さんの席の周りに電話を3〜4個かき集める、という事態も発生しました。
電話に囲まれている新人さんというのは、はたから見ていると何とも不思議な状況です。はじめの1ヶ月ほどの辛抱です。
電話がかかってきても担当者に取り次いだり、不在であればその旨を伝え、折り返し連絡が必要か聞くだけです。
「ここまで電話がかかってこないならば、新人教育としても必要なのか…?」と思うこともありましたが、経験として積んでおいてもいいかな、とも思います。
電話に慣れている人ならば、不要な教育でしょう。
SEの世界でも、「電話」という連絡手段をよく使うかどうかは人によります。
私は相手の時間を強制的に奪ってしまうのと、やり取りがどこにも残らないのが好きではなくて、最終手段扱いでしたが、一緒に仕事する人も同じ方針だと、本当に電話がかかってきません。
電話がなくても、仕事はできるのです。
ぞえ

ぞえ
週3勤務でシステムエンジニア、残りは漫画家・イラストレーターとして働いていた元・パラレルワーカー。2019年1月よりフリーランスに。体力がなく、疲れやすい自分でも好きなことをするための方法を探求している。2020年4月に『SE女子の日常』(ふりにちブックス)を刊行。
Blog:「ふりにち」