山本千尋「香取さんは舞台に立った瞬間、お客さんの心をわしづかみにされる」――Amazon オリジナルドラマ『誰かが、見ている』に出演
公開日:2020/9/23
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載「あの人と本の話」。今回登場してくれたのは、三谷幸喜さん脚本・演出のAmazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』に出演する山本千尋さん。必ず手に取るという池上彰さんの著作について、三谷組の魅力についてお話を聞いた。

やまもと・ちひろ●1996年、兵庫県生まれ。世界ジュニア武術選手権大会などでの優勝歴多数。2013年に女優デビュー。14年『太秦ライムライト』では映画初出演でヒロインを演じ、15年ジャパンアクションアワードベストアクション女優優秀賞を受賞。「『キングダム』連載10周年実写特別動画」(16年)の羌瘣役の剣舞や『ウルトラマンジード』(17年)のヒロインを務め話題に。
池上彰さんが大好きで必ず著作は手に取るという山本さん。今回紹介してくれた『世界を変えた10人の女性』は、今年初めに読んだそう。
「全然知らなかった人が多く取り上げられていて、とても面白かったです。サッチャー元イギリス首相とナイチンゲールというように、同じイギリス人ながら非常に対照的な人物も並べて書いているんですね。でもどちらが優れているということはないんです。10人すべてが、偉大なところ、人間としての意外な側面、欠点ともいえるところ、多角的に描写されている。歴史的位置づけも含めて広い視野で彼女たちを捉えることができて、そこが池上さんの著作のすごいところだと思います」
山本さんは、9月18日からAmazon Prime Videoで独占配信される『誰かが、見ている』に出演している。脚本・演出は三谷幸喜さん。香取慎吾さん演じる主人公・舎人は究極の想定外の行動をとるキャラ。彼を覗き穴から見つめる隣人の親子・次郎とあかね。山本さんが演じるのはこのあかねだ。お客さんの前に2つの部屋をつなげたボックスのような舞台が作られ、それをカメラで撮影する。画期的方法で作られたシットコムだ。
「香取さんが演じている間、映ってはいないんですけど、お父さん役の佐藤二朗さんと私は、実はお芝居を続けているんです。ちょっと穴を覗いてみたり、休んでみたり。一生懸命日常のお芝居を考えて、こっちのほうが辛かったかも(笑)。でもすごく勉強になりましたし、お客さんを楽しませ続けるという三谷さんの心遣いを感じました。
香取慎吾さんの印象は?
「香取さんは舞台に立った瞬間、お客さんの心をわしづかみにされるんです。みんな香取さんのものになっちゃう。それくらい魅力的な方です。キャストやスタッフの心もわしづかみですよね。見えない優しさというか、女子が一番キュンとしそうなさりげない思いやりで接してくださるんです。私は、香取さんの背中を見てついていくという感じでした」
共演の佐藤二朗さんとは、リアルな親子のような関係が築けたという。
「いっぱいコミュニケーションとってくださって、アドバイスも細かくくださって。『アドバイスいただいて感謝してますみたいなこと、絶対言うなよ』って、佐藤さんおっしゃっていたので、今私、約束破っちゃってるんですけど(笑)。でも本当に、約束破っても言いたいくらい心からありがたく思っていて。佐藤さんだから私は、わがままな娘のあかねでいられましたし。いつも作品全体を見て、私の気付かなかったところを教えてくださるんです。
そして三谷組で過ごした撮影期間は、とても貴重なものだった。
「三谷さんの温かい人柄に吸い寄せられるように、キャストもスタッフも温かくてユーモア溢れる方ばかりでした。撮影はもちろん大変ですが、それを感じさせないくらいみんなが楽しんでいて。それはやっぱり三谷さんが誰よりも楽しんで、誰よりも一生懸命作品に打ち込んでいたからだと思うんです。だから私にとっては、三谷組ではなく“三谷ファミリー”という存在だったと思います」
取材・文:松井美緒 写真:干川 修
Amazon Originalドラマシリーズ『誰かが、見ている』

脚本・演出:三谷幸喜 出演:香取慎吾、佐藤二朗、山本千尋、長野里美、宮澤エマ 配信:9月18日よりAmazon Prime Videoにて独占配信 ●とある部屋に住む舎人真一は、何をやってもドジばかりで予想もしない失敗を繰り返す。隣人の粕谷次郎は彼の面白さの虜になり、書斎の壁に開いた“穴”からの覗き見がやめられない。次郎の密かな楽しみに気づいた娘のあかねはやはり覗き見に夢中になり、YouTubeに動画をアップしようと言う。
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