あなたの“金銭感覚”大丈夫?『左ききのエレン』のかっぴーが描く『金子金子の家計簿』の「お金にまつわる金言」
公開日:2020/10/20

新型コロナによって、イベントや旅行の予定が立てられず、なんとなく時間を持て余す日々。やることもないし、とりあえず「普段、時間なくてできないことをやっておこう」と思い立った人も多いのでは? たとえば断捨離、筋トレ、凝った料理…そして、お金の管理。
普段自分が何にどれだけお金を使っているか、しっかり考えようと思ったら、それなりに時間が必要です。そんなわけでステイホーム期間は、家計管理を始めたり、保険や投資について勉強したりするのにもってこいだったと思います。
しかし、お金について考える前に、じつはやらなければならないことがあるのです。それが、“己の金銭感覚を客観的に見る”ことです。
というのも私たちは、自分では気づいていないだけで、一般常識からかけ離れた金銭感覚を持っている可能性があります。そんな状態ではいくらお金について考えも、良い貯蓄、良い資産形成、良い消費はできません。
そこで、金銭感覚を正すヒントになるのが、『金子金子の家計簿』。『左ききのエレン』の作者、かっぴー先生が描く、お金ギャグ漫画です。
主人公の金子金子(かねこ・きんこ)は、世界有数の大財閥の令嬢にして、お金の真理を探求する者。人呼んで“金勉家”。この世のお金にまつわるデータはすべて記憶しているという、恐ろしい女です。
デートや合コンでは、はじめて会った男性にまっさきに年収を聞くのがデフォルト。持ち物やファッションを見ただけで、相手の住んでいる家まで見通すことができる特殊能力を持っています。
男女問わず、勝手に人の金銭感覚をチェックしては、偏った考えを次々ぶった斬っていきます。つまり、この漫画を読めば、自分の偏った金銭感覚に気づくことができるのです。
金子がどのように金銭感覚をチェックしているか、気になりますよね? というわけで、金子のお金にまつわる金言集を少しだけご紹介したいと思います。
“ブランド三銃士”コンプリートするべからず
あるとき、大手広告代理店のクリエイターとデートをした金子。相手の年収を1000万円と言い当て、高くてオシャレ過ぎるファッションにもダメ出しし、相手をドン引きさせます。そんな金子が目をつけたのは、相手の持ち物。ロレックスの時計、ボッテガの財布、モンブランの万年筆を見つけた金子は「“ブランド三銃士”をコンプリートするな」と激高するのです。
いわく、どれも世界中で愛される素晴らしい名品ではあるものの、「3つ揃うとさすがに臭い」とのこと。なんとなくわかる気がします。
いくら月収が高いからと言って高級品ばかりを買っていたら、貯蓄は出来ません。良い金銭感覚とは、値段が高いものを揃えるのではなく、自分が好きなものを見極める力だということを、金子は教えてくれます。
お金のコトを考えるって、未来について考えるコト
医者とCAの合コンに、勝手にジョインした金子。場所は、銀座・青山あたりにある平均客単価3万円の高級店。「医者は見栄っ張り浪費が多そう」と分析し、やっぱりここでも相手をドン引きさせます。
特殊能力を使って家をのぞき見すると、高い家賃の家、移動はタクシー、飛行機はビジネスクラスと、いかにも高給取りな医者らしい暮らしが浮き彫りに。ところが彼らは「医者はずっとできる仕事だから」という理由で、貯蓄はそんなにない模様。するとまたしても金子は激高。「あんたが病気になったら、どうすんのよ」と言い放ちます。お金に余裕がある人は、お金に困ることを考えません。なので、いざというとき困るのです。人生何が起きるかわからないもの。お金に困っていない人も、最悪の状態を想定したうえで、お金を使うべきなのです。
男が近寄れない“お嬢の三大タブー”
金子がジャッジするのは、男だけではありません。久々に会った友人の奈子は、隠れお嬢さま。育ちが良すぎるあまり、合コンで男性を引かせてしまうと金子に悩みを打ち明けます。金子が奈子の金銭感覚をチェックしていると、奈子が、“お嬢の三大タブー”を犯していることに気づきます。
三大タブーとは、その1、ママとデートする女。その2、パパに甘やかされている女。その3、実家に住んでいる女。この3つが揃うと、完全なる箱入り娘と判断され、男は近寄れないんだそう。お金に苦労したことのない育ちの良さをアピールするよりも、金銭的にも精神的にも自立した女性であることをアピールしたほうが、恋のチャンスは広がるそうです。
もちろん、これらはすべて金子の偏見に満ちた言葉です。ブランド三銃士を持つことは悪いことではありません。なのでもし見かけても、金子のように突っ込んだりしては駄目です。
ただ、自分の身の丈に合ったお金の使い方って、やっぱり大事ですね。金銭感覚を正すことは、より良いお金の使い方ができるようになるだけでなく、人間関係や生き方まで変えてくれるということを、金子は教えてくれます。あなたも自分の金銭感覚が正常かどうか、この本を読んで一度チェックしてみてはどうでしょうか。
文=中村未来(清談社)