カッときたらどうぞ! 3秒で怒りを抑えてくれるアノ食べもの/「もう怒らない」ための本①
公開日:2020/10/19
「ああ、また怒ってしまった」と自己嫌悪している方は、ご安心ください。怒りは3秒で収められるんです! 精神科医・和田秀樹氏著『「もう怒らない」ための本』(アスコム)より、精神医学に基づいた「怒らない」メソッドをご紹介します。

イタリアンジェラートで怒りがクールダウン
→甘さと冷たさが副交感神経を優位にする
◇ ◇ ◇
怒りの応酬は「恨み」を生む
他人を怒らせてしまうことを、よく「地雷を踏む」といいます。家族、まわりの人間の態度や言ったことが気に入らなかったりすると、火山の噴火のように、怒りが込み上げてきたりするわけです。多かれ少なかれ、誰でも身に覚えがあるでしょう。
「もう一度、言ってみなさいよ!」
「何なの、その態度は!」
瞬間的に怒りを露わにすることもあるかもしれません。これは宣戦布告になります。
「あなたこそ、おかしいでしょ!」
相手も反撃に出ます。
火花を散らしながら口論すれば、余計にカッカするだけです。どんどん、より過激な言葉の応酬になってしまいます。仮に相手よりも破壊力に勝る言葉でいったんは勝利したかのようになっても、嫌な気持ちを引きずってしまうことになります。打ち負かされたほうは、怒りの種が心の中で芽を出して、花を咲かせます。それは「恨みの花」です。どちらも、それを望んだわけではないのです。
さてさて、こんなときにはどうしたらいいのでしょうか。
口や胃への刺激で怒りモードをオフにする
まずは、怒りモードになってしまいそうな脳を鎮静化する必要があります。
おすすめしたいのは、怒りの言葉がある口と、ムカつきはじめた「腹=胃」への栄養補給です。イタリアンジェラートなどのスイーツを食べたり、冷たいものをぐっと飲むことです。
イライラしたときには、甘いものが欲しくなることがありますよね。甘いものを食べると、血糖値がすぐに上がります。すると、満足感を覚えたり、元気になったりする作用があります。
それに、甘いものを食べることで、子どものころに親からお誕生日ケーキを買ってもらったときのことが、意識の深い部分でよみがえってきたりします。いわゆる子ども返りといいますが、瞬間的に無邪気な気持ちになれて、心に余裕ができてきますから、怒りのモードがいったんオフ状態になるのです。
聞いた話ですが、イタリア人は怒りを感じたら実際にジェラートを食べるそうですよ。
「冷たい」というのも、重要な要素です。よく、怒った人に「頭を冷やせ」という言葉を投げかけますが、それは正しい方法です。しかし、家の中や職場で、バケツに入れた水を頭からかぶるというわけにもいきません。せいぜい冷たい水を飲むことくらいしかできませんが、それでも怒りの炎をしずめるのには十分に役に立ちます。
カーッときたら、冷蔵庫を開けて、コップに氷と水を入れて、一気に飲むのも手です。食道から胃に、冷たい感覚が流れていくのを感じてください。怒っているときの状態を「頭にくる」とか「腹が立つ」といいます。水をかぶるのは頭を冷やすこと、水を飲むのは、腹を寝かせることです。甘いものが嫌いな人は、冷たいコーヒーでも紅茶でもいいでしょう。
副交感神経を優勢にしてみましょう
ラグビーのW杯で有名になった五郎丸歩選手は、興奮した状態を鎮静化するため、あるいは観客の声に惑わされないために、あのルーティンをやっているそうです。あの要領です。
お腹の中に何かを入れることは、医学的にも正しいことです。
胃を刺激することで、副交感神経が働くので、怒りが収まりやすくなります。副交感神経というのは自律神経のひとつで、これと対象的な働きをするのが交感神経です。怒っているときは、交感神経がバリバリに働いて、戦いのオーラが全開となっています。
副交感神経というのは、温泉に入ってゆっくりしたときなどに働く神経で、体も心もリラックスします。何かを食べることで、戦闘モードからリラックスモードに脳が切り替わり、怒りも収まっていきます。副交感神経を優勢にすることです。
また、食べたり飲んだりする行為は、感情が行動に直結しないためのクッション役になり、数分の間に気持ちも落ち着きます。
怒りが収まってしばらくしたら、なぜカーッとしたのか、冷静な脳のモードで考えてみてください。多くの場合、ごくささいなことで怒った自分に気づきます。それを繰り返していると、次に同じような場面に遭遇しても、学習効果が表れます。
カーッとしたら、口と胃に刺激を与えましょう。わずか3秒でできることです。
【次回に続きます】