生理のときは、男も女も、少しだけ折れたらいい。5歳さんインタビュー
公開日:2020/11/10
4人家族の日常のつぶやきが人気のライター・コラムニストの5歳さん。愛妻家でもあり、奥さんのPMSや生理についてのコラムも度々話題を呼び、“生理コラムニスト”としても活動中。そんな5歳さんに、ご自身の家庭での奥さんとの向き合い方、執筆やユーザーの声を通して感じたことなど、男性側から考えるPMSとの付き合い方についてお話を伺いました。

妻の一言で知識と生活が結びついた
――5歳さんがPMSや生理について文章を書くようになったきっかけについて教えてください。
5歳:嫁からの一言ですね。よく怒りをぶつけられることがあったのですが、結婚をして数年、あるときになぜそんなに怒っているのか聞いたら、「生理前なんだよ!」と返されたんです。そのときやっと僕は「ああ、これが例のあれか」と腑に落ちたというか、納得できました。
――生理前、精神的に不安定になりやすいということは知っていたんですね。
5歳:生理になるとお腹が痛くなったり、生理前にイライラしやすくなったり、そういうことはどこかで聞きかじっていたから知識としては知っていました。でも、知識と生活が結びついていなかったんですよね。相手がイライラしていると、「何が理由でイライラしているんだろう。何かしてしまったかな。どんなことがあったっけ」と原因や因果関係を探ろうというか、論理的に考えようとしてしまっていた。
でも、PMSって別にそういう論理的なところに原因があるわけじゃないんですよね。ホルモンバランスの崩れで、普段はスルーできていたことが怒りのトリガーになってしまったりする。一緒に暮らして数年経って、やっとそのことに気づけたんです。
それからは、当時から僕はライターやコラムニストの仕事をしていたので、その様子を書くようになりました。仕事柄、自分の私生活に起こることは調べて文章にまとめたくなる。PMSについても本や記事を沢山読んで勉強しました。そしたら、確かに嫁は生理前になると甘いものを食べたがるな、とか沢山発見がありました。男性で生理について書く人がいなかったこともあるのか、情報発信をしていたらだんだんと僕の記事が読まれたり、ちょっと広げられたりするようになったんですよね。
――男性としてPMSと向き合ってきて、何か気づきのようなものはありましたか。
5歳:まず大切なのは、「理解すること」だと思っています。本当は義務教育の時点で徹底的に勉強するべきなのかな、なんて最近は考えるのですが、それくらい大切です。そして最近は、ケアも大切だけど、ちょっと離れることも大事なのかなと思うようになりました。ときと場合にもよるんですけど、相手もPMSのイライラで八つ当たりしてしまったときに、それが自己嫌悪になってさらにイライラするみたいな負のサイクルが起こってしまうんじゃないか、って。だから、いま一緒にいるべきかどうかまで考えるのがいいのかなって。うーん、ただ難しいですね。PMSって勉強すればするほど人によって違うなってことがわかるから、画一的なものとしてしゃべることができないんですよね。知れば知るほど語れなくなる。だから書く時は、内容にすごく気を付けて執筆しています。

お互いに気持ちを想像しあう大切さ
――5歳さんは奥さんとの結婚生活も長い分、PMSや生理期間との付き合い方も沢山行錯誤されてきたと思うのですが、男性側から、そういった時期のパートナーシップの築き方をどう考えますか。
5歳:正直、僕もうまくいくことばかりじゃないし、対処しきれないこともあります。逆にそろそろ嫁の生理だなと思い、来るべき生理前のホルモンバランスの乱れに向けてお菓子や良い香りのマッサージオイルなどご機嫌取りグッズを用意して『さぁ! PMSどっからでもかかってこい!』と準備万端で待ち構えてたら、なんの前触れもなくあっさり生理が来て、肩透かしなんてことも笑。そしてまた、来月に向けて準備を始めるんです。
現在進行形で毎月くるものだし、人によって症状が違うことはもちろん、個人でも月によって重たかったり軽かったり症状が変わったり、本当に様々ですよね。ただ、その中でひとつ「こうなればいいな」と思うことはあります。
まず、男性側に言いたいこと。それはまずPMSや生理についてきちんとした知識を得ることです。そして、相手の体調が悪そうだったり、精神的に不安定な様子があったりしたときに、頭のかたすみに「PMSかもしれない」ということを置いておくこと。人によって症状も違うので、自分のパートナーはどういうタイプなのか、研究しろとまでは言わないけど、よく観察してみるのもいいと思います。僕は毎月嫁の様子で気づいたことがあればメモをしていました。
そして、女性に言いたいこと。正直これは言いにくいのですが、たとえばPMSや生理の期間が終わって、もし相手に当たったりささいなことに腹が立って喧嘩をしたりしたのなら、心身ともにゆとりが出てきたあたりで、一言「ごめんね」と言ってほしいんです。
――なるほど。
5歳:いや、正直PMSや生理の当事者として苦しんでいる女性に「謝れ」と言うのはかなり心苦しいんです。それに、そもそも生理前に不安定になってしまうのは、ホルモンのせいであることは重々承知しています。ただ、PMSだからしょうがないでしょという態度をとられてしまうと、男性側もけっこう辛いこともあると思うんですよ。
女性は、自分が求めていないのにPMSがやってきちゃうわけで、それはすごく気の毒だと思います。でも、パートナーの男性もよくわからない波に飲み込まれてしまっているのは一緒なわけです。一番辛いのは女性であることは確かに言えることなのですが、もしその男性と末長く付き合っていこうと思っているのであれば、ありがとうとごめんなさいを使い分けていくことは大切だと思います。「ごめんなさい」って、相手にすごく効く言葉だと思うんです。
生理のときは、男も女もちょっと折れるとうまくいくかも
――男性にとっては、自分の体験できないことで振り回されているような気分なわけで、そこで納得できる言葉を積み上げていくことで相互理解も深まるというか。
5歳:そうですね。これはもはやコミュニケーションの話になってしまいますけど、意地をはっていると大体うまくいかないんです。別れるときって、意地の張り合いが多いじゃないですか。逆に長く続くカップルや夫婦はどちらかが折れている。お互いに硬いガラスみたいだと、ぶつかっているうちに割れちゃいますよね。たぶん、いまこの記事で「ごめんなさいと言ってみたら」という言葉にカチンときている人もいるかもしれないけど、だとしたら、それが喧嘩の原因だよ、と言いたい。
――5歳さんが言っているのは、女性の身体が楽になったときでいいから、理不尽なことを言ってしまったのなら一言謝っておこう、という話ですよね。
5歳:そうです。いまって、生理とかPMSについて男性側も次第に理解し始めているフェーズだと思うんです。そうすると、理不尽だと思っていたことが、実は理不尽ではなくて身体の仕組みのせいだったことがわかってくる。原因があるとわかって、なんとか耐えたり気遣ったりしようとすると思うんですけど、それでも心がモヤモヤすることってあると思うんです。
僕の経験で言えば、何も悪いことしていないのに、過去の話を引っ張り出されて怒られるとかね。そこで女性側から、一言「生理中でイライラしやすいの、ごめんね」とか「来月も同じようなことがあるかもしれないけどごめん」と言ってくれるだけで、ずっと救われる心は沢山あると思う。
これは男性側も同じですよ。生理とか関係なく、変に「謝ったら負けだ」みたいなプライドで意地はってる人いますけど、もう少し柔軟に、譲り合って生きていけばええやん、という話です。ちょっと謝って、きちんとお礼を言って、そういうことなんじゃないの、パートナーシップって、って思う。
――PMSや生理を機にパートナーシップのあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
5歳:そうですね。ただ、やっぱりまだ女性は自分の生理のことを相手に言いづらいのかなとも思っていて。というのも、僕のコラムにはよく、女性から「これをパートナーに読んでもらいます」といった感想をもらうんです。つまり、僕が代弁者のような役割になっているんですよね。自分のことを話せばいいのに、って思っちゃうんだけど、それがたぶん難しいんだろうな、と。
僕がワンクッション入ることで対話が成り立つというのを目の当たりにしているので、自分事化して話し合うのはまだハードルが高いんだろうなと感じるのも事実です。女の人は僕の書いたものを通して伝えてくれればいいし、それが僕の役割なのかなとも思っています。
あとは、くどいようですけど、男女ともにちょっと折れること。変なプライドは捨てて、意地の張り合いをやめて、冷静に正しい知識を得られるように話し合うこと。そういうパートナーシップのあり方が当然になったらどういう世界が訪れるんだろう、って僕はちょっと見てみたいんです。このインタビューが5年後とかに読まれたときに「PMS? 知ってるよ、そんなん当たり前でしょ」って言われていたら嬉しいなって。
取材・文=園田もなか