アリ? ナシ? ご飯で繋がる、アラサーOLと年下男子の同居生活!
公開日:2021/1/17

1人暮らしをしていると、「誰かと一緒にごはんを食べたい」「せっかく作った料理を1人で食べるのはなんだか味気ない」と思うことがある。そんなとき、一緒に食事ができる相手がいたら…。『合鍵くんと幸せごはん』(黒麦はぢめ/KADOKAWA)は、友達とも恋人とも少し違う、「一緒にご飯を食べる同居人」というちょっと変わった関係を描いた物語。
本作品の主人公は、1人暮らしをしていたアラサーOL・安藤渚。あるとき渚は、昔馴染みの男子・西尾浩と再会する。浩は高卒ですぐに独り立ちしたもののその日暮らし状態になっていて、何とか生活を立て直したいと渚に相談。ここから、浩が独り立ちできるようになるまで渚が面倒を見ることになったのだった。


浩は運送のドライバーで遠方へ行くことが多く、家を空けがち。そのため金銭面だけでなく、家事など家のこともほとんど渚が負担している。こんな状況のため、友人たちには「ヒモってやつじゃないのそれ?」なんて言われてしまう始末。しかし外から見るとただのヒモでも、渚にとっては美味しくご飯を食べるために必要な存在。1人だとついつい適当になってしまう食事も、浩がいることで楽しい時間となるのだ。

筆者も料理が好きなので、誰か食べてくれる人がいればなーと思う気持ちはよく分かる。1人分だと作りづらい料理もあるし、食材も、何人分かまとめて作った方が圧倒的に効率よく回すことができる。それにやっぱり、誰かが「美味しい」と言ってくれるのは嬉しいものだ。渚もきっと、こういう気持ちを味わいたいのではなかろうか。
また、浩の食べっぷりにも注目したい。カツ丼を2杯分完食したり、山盛りハンバーグをあっという間にたいらげたりと、とにかく気持ちよく食べてくれる。

そして「止まんなかったから…」「うまい…」「夢みたいだなー…って」と素直な感想を幸せそうな表情でどんどんぶつけてくる。こんな反応をされたら、作る側もやみつきになってしまいそうだ。

また、渚が疲れていることを察知し、浩がご飯を作る回も。

渚の指示を聞きながら浩が調理する様子は、もはや家族のよう。そしてバリバリと仕事をこなす仕事人間だった渚は、この件がきっかけで「心置きなく一緒にご飯食べたいしね」と2人で生活しているという現実、自らの体も気遣う大切さを意識することになる。そして第7話では、ついに2人の関係が一歩前進――!?
食事を中心とした同居生活を続けていく中で、2人の関係性も少しずつ深まっていく。2人はこれからどういう道を歩んでいくのだろうか。結ばれるのか、もしくは別々の道を歩むのか…展開が非常に気になるところ。『合鍵くんと幸せごはん』は、まだまだ道半ば。美味しそうな“幸せご飯”とともに、今後の展開を見守りたい。
文=月乃雫