テレワーク普及の今、一番売り出すべき商品は「自分」。加齢が“老いか、渋みか”の分かれ目/大人男子の「超」清潔感ハック③
公開日:2021/1/21
「年齢を理由にあきらめる」のはもう古い。今や男性でもスキンケアをして、肌の手入れをする時代。現役美容師であり、YouTubeチャンネル登録数10万人を超す宮永えいと氏が、アラサーから意識するべき「大人男子の身だしなみ」の新常識をご紹介!

自分が「商品」になる時代に一番やるべきこと
ほぼ毎日、東京23区内を出歩いているのに、「この人、素敵な身だしなみだなあ」と思える人を目にするのは、1日で数人程度。非常に少ないです。そのたびに「これはチャンスでしかない!」と、身だしなみに対するモチベーションが上がります。
なぜなら、身だしなみに気を使う人が少ないということは、「最大のビジネスツールを磨けていない人が多い」ということを意味しているからです。ライバルが身だしなみを整えていない可能性が高いからこそ、今が絶好のチャンスなのです。
今ではテレワークが増え、ズームなどのオンラインで商談やプレゼン、会議などをする人が増えたと思います。そのとき、パソコン画面に映った自分を見て、「俺は普段、こんな顔をしてプレゼンしていたのか……」と愕然とした方は少なくないはずです。
リアルの世界だと自分の姿を見ることは少ないですが、オンラインといった画面の世界だと自分を俯瞰して見ることができますよね。肌の調子や目の下のクマ、ヒゲの剃り残しなど、普段気にしていなかったことをまざまざと見せつけられる格好になるでしょう。
「こんな顔をしていて結果は出せるのか?」
自分を客観視することで、思わずそう感じてしまうような不潔要素が見えてきます。そのときに「自分こそ最大のビジネスツールだから」と、気にして見るとよいきっかけになります。
何か商品を買うとき、広告の写真より実際のものがチープだと、「あれ……?」と違和感を覚えませんか? それが広告の写真ではなく人の場合であっても、「写真と違うんだけど……」はよく聞く話ですよね(笑)。要は、信頼を置けないものは大体、外見と中身が合っていません。
いくらよいプレゼン内容でも、疲れ顔でシャツがクシャクシャでは「最高だね!」とはならないと思いますし、逆に清潔感があってハキハキした挨拶から始まれば、相手も「しっかり聞きたい」と思ってくれるはずです。
かつて『人は見た目が9割』(新潮新書)という本が流行りましたが、まさにこの題名は事実なのです。心理学では「メラビアンの法則」というものがあり、人が相手の第一印象を判断するうえで、「視覚情報(見ためなど)」と「聴覚情報(声など)」による影響は合計93%にも及び、「言語情報(話の内容など)」はたった7%にすぎないと証明されています。
少し極端ですが、プレゼン資料や商材の精度を高めるよりも、自分の身なりを整え、自信をつけることで声や言動にも反映させていくほうが、仕事の結果が出るということです。
かつては芸能人しか許されなかった「画面に映る人」に、誰もがなることができるのが今という時代です。一番売り出すべき商品は自分であり、こだわりを持って手塩にかけて育てるべきです。
男が鏡を見てもナルシストではない
僕が長年、美容師をしていて感じるのは「鏡を見られない男性の多さ」です。お客様が来店してきてカウンセリングを行うとき、伸びきった髪の状態ではほとんどの人が下を向いて自信なさそうにしています。
そもそも、男性は生きているあいだに鏡を見る時間が圧倒的に少ないのです。それもそのはず、学生時代の休み時間に鏡を見ていると、「お前ナルシストか?」と茶化されますよね。さらに服装や髪型を変えれば「どうした? 失恋した?」とイジられる始末です。ほとんどの男性にこうしたマイナスの記憶が刷り込まれすぎていて、鏡を見る文化が奪われています。
僕も服オタクだったとき、鏡を見ながら「服装」を見ているつもりでしたが、それでもナルシストと散々言われてきました。しかし女性は真逆です。鏡を見ない生活を続けると「女子力足りなくない?」と言われ、服装や髪型を変えれば「かわいい! どこで買ったの?」と共感してもらえます。
女性は日々、鏡とにらめっこしながら「見ためPDCA」(Plan〔計画〕→Do〔実行〕→Check〔評価〕→Action〔改善〕)を回し、改善点や伸ばす部分を理解して、レベルアップしています。男性に比べて女性で不潔な人が少ないのは、鏡を見る文化の違いに由来すると感じています。
さて、我々はもうすっかり大人になりました。前述の「モテるためのファッション」ではなく、「仕事のための身だしなみ」にシフトチェンジしています。お風呂や洗面台など、1人でいるときでかまいませんので、自分を観察するところから始めましょう。
自分の嫌なところを発見し、どんどん改善していきましょう。1週間見つめていれば、「あ、クマが深くなってる!」とか、「ニキビが治ってきた」など、これまでは気づきもしなかった自分のことををたくさん知ることになるでしょう。
「老いか、渋みか」は自分の捉え方で変わる
僕たちは日々、年をとりながら生きています。それは間違いのない事実であり、抗いようがありません。加齢による見ための変化を「老い」とするか「渋さ」とするかは、向き合い方次第で変えることができます。「老い」は残念ながらあきらめてしまった人が歩む道であり、「渋み」は年々増していく価値です。
男性には革製品が好きな方が多いですが、経年変化こそ日々のメンテナンスの賜で、年月をかけた分だけ愛着が湧いてきます。
清潔感を保ち、身だしなみを常に整え続ける習慣を身につければ、一生愛せる自分づくりと、自信を得た者の持つ仕事術が生まれます。 見ためと心はつながっていますから。さあ、今こそ自分を見つめ直し、身だしなみを磨きましょう。
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