アラサー女子が“愛される実験”を始めてみたら…? LINE術やデート中のトークメソッドが学べる「恋愛の教科書」
公開日:2021/2/3

恋の仕方がよく分からない――。そんな悩みを抱え始めたのはいつのことだったのか忘れるほど、もうずっと恋に悩んでいる。モテ台詞と言われる「さしすせそ」で男心を満たそうとしたり、気の利く女を演じてみたりしても、結局その先には「誰にも愛されなかった私」しかいない。幸せになりたいだけなのに、好きな人から愛されるのはどうしてこんなにも難しいのか。
そんな憂鬱を抱えていた時、目にとまったのが『わたしは愛される実験をはじめた。』(KADOKAWA)。著者の浅田悠介さんは「フォローすると恋が叶うオンライン恋愛神社」と言われている、恋愛コラムニスト。
本書はアラサー女性の恋を通して愛されるコツが学べる、小説形式の恋愛テクニック本だ。
彼氏にフラれたアラサー女子が「恋愛認知学」を知ったら…?
ミホは4年付き合った彼氏にフラれ、傷心。合コンも上手くいかず、良い感じだった男性からはLINEを既読スルーされてしまい、途方に暮れていた。
そんなある日、パブでベニコと名乗る女性と出会い、「恋愛認知学」という独自のメソッドを学ぶことになる。
「とにかく黙って座りなさい。そうすればモテる女にしてあげるから」
そんな言葉を口にするベニコは、凛とした大人の女性。彼女の台詞は、自分のズルさを的確に突いてくる。
ほとんどの女は“私だけを愛して”なんて言うくせに他の女と同じことしかしようとしない。いまだに男が笑い飛ばすような雑誌の恋愛コラムを信じてる。(中略)そのくせ自分だけは違うとプライドばかり一人前。そんな女がたった一人の男性から愛されるわけないでしょう?
美人や若い子など、私たちの頭に浮かぶ「モテる女像」はさまざま。だが、ベニコは、自分はモテる女だと思わせられる女こそがモテるのだと語る。
この世界において“モテる女”と“モテそうな女”は同じ意味なの。相手の認知がそう判断した以上、それが真実なのよ。
自分の価値を自ら高めることで、男心を掴む恋愛認知学。それは、白馬の王子様などいないことを知ってしまった大人女子の心にこそ刺さる。
男心をエレガントに掴むLINE術&デートトークメソッド
本書内ではミホの恋の進行具合に応じ、さまざまな恋愛テクニックやメソッドが登場。中でも驚いたのが、デートにこぎつけるためのLINE術。疎遠になった関係を復活させるワンチャンLINEや絵文字カットの法則、ノン・クエスチョン・メソッドなど、数多くのテクニックに衝撃を受けたのはもちろんだが、一番心に響いたのが、既読スルーする上での心構え。
既読スルーは男心をやきもきさせるために行うのだと思っていたが、ベニコは自分の価値を高めて主導権を握るために行うのだと断言。読みたい時に読み、返したい時に返すというスタイルを貫くことは、自分の時間の使い方を自己決定しているということ。こうした凛とした姿勢は同性の目にもかっこよく映るからこそ、男性から「価値がある」と思われるのだろう。
こんな風に、知っている恋愛テクニックを違った視点から捉えられるようになるのも、本書の醍醐味だ。
また、デートの会話を4つの形に分け、恋愛を成功に導くトークメソッドも目からうろこだった。はじめはお店のインテリアなどに触れる「ライト・トーク・メソッド」を意識し、その後、相手の人生観に触れる「ディープ・トーク・メソッド」を用いる。「ディープ・トーク・メソッド」はアメリカの心理学者が考案した、1時間で深い関係になるための質問がもとになっているため、これまで知らなかった一面が知れ、相手に「理解してもらえた」と思わせることもできるのだそう。
そして、これらを終えたら、次は恋愛認知学の必殺技「ラブリー・トーク・メソッド」や「フューチャー・トーク・メソッド」を用いると、心の距離が自然に近づき、次のデートに繋がりやすくなる。こうしたテクニックを活かしていけば、性欲に火をつけるのではなく、エレガントに男心を掴める女性になれそうだ。
なお、本書は単なるハッピーエンドではないため、読み物としても面白い。ラストには脈ありサインのチェックリストやトークメソッドで使える例文など、明日から使える恋愛認知学が13条も綴られているので、こちらも要チェックだ。
好きな人に何かをしてもらうことで愛をはかっていたこれまでの私は、愛されたいと叫んでばかりな量産型女だった。でも、これからは恋愛認知学という心強い味方がいる。早速、本書をお守りにしながらこの足で、白馬の王子様を探しにいきたい。
文=古川諭香