自分の中の『よつばと!』に気づく3つのキーワード①よつばの自由なこころ――雑誌『ダ・ヴィンチ』2008年3月号の「よつばと!特集」を特別公開
更新日:2021/6/30

約3年ぶり、『よつばと!』最新15巻発売を記念して、雑誌『ダ・ヴィンチ』2008年3月号に掲載した「あなたのこころの“よつば”は元気ですか? 大人になった今だから、『よつばと!』」特集を大公開!
口コミからじわじわ広がって、いつの間にやら話題作になってしまった『よつばと!』。このなんとも不思議な“普通”の傑作を3つのキーワードから大分析! これを読めば『よつばと!』のヒミツがわかるかも(わからないかも)。
キーワード①よつばの自由なこころ
思いっきり笑って泣いて、そしてまた笑う。天真爛漫なよつばの毎日は、いつでもどこでも刺激がいっぱい。どんなにささいなコトでも、よつばにかかれば、あっという間にステキなワンシーンへと変身してしまう。それもすべて、よつばの“自由なこころ”のおかげ。ここではそんな忘れられない名場面をピックアップしてみよう。
平凡な日常を変えてくれるちょっと不思議な女のコ

『よつばと!』は、いつどこで読んでも楽しいけれど、でも一番ぴったりくるシチュエーションは就寝前。ベットに寝転がって、電気スタンドをつけ、思いつくままにページをを開く。すると、そこから広がるごく普通で、でも自由な世界。その瞬間ほど、この作品に出会えてよかった、と思えるときはない。
そう、『よつばと!』の魅力は、私たちのすぐそばに転がっている“日常”を、繊細に丁寧に拾い上げる、その手つきにある。誰もが毎日、顔を突き合わせている退屈な日常。でも、その日常の一瞬一瞬が、実はとっても大切な、かけがえのない時間なのだと――そう気づかせてくれる力が、『よつばと!』にはあるのだ。
そしてその力の源にあるのは、よつばという名前の、ちょっと不思議な女のコ。彼女の視点を通すことで、ごく普通の日常が、ステキな贈り物へと変身する。よつばの父親代わりである、とーちゃんは言う。「大丈夫大丈夫、あいつは何でも楽しめるからな。よつばは無敵だ」と。
まったく、とーちゃんの言う通り。よつばの自由な心と、いつでも元気いっぱいの行動は、疲れ切ってベッドにもぐり込む、私たちの心をすっかりときほぐしてくれるのだ。
よつばのまいにち
朝日が昇って、また日が暮れる。ただひたすら繰り返される、当たり前の毎日。でもそれはまた、かけがえのない日々でもある。お隣さん家に遊びに行ったり、お出かけしたり……。よつばにとっては、毎日が大冒険なのだ。
1日のはじまり


小岩井家の朝は、のんびりスタート。すっきり目覚めたあとは、さっそく朝ごはん、よつばいわく「ごはんごはんごはんごはんごはんごはん、パン」くらいの割合らしい(週に一度はパンの日?)。そして、よつばと切っても切り離せない大好物といえば、“牛乳”。朝ご飯のときにも、しっかり1杯いただいて、お腹がいっぱいになったら準備万端。ただし、徹夜明けのとーちゃんは、このまま布団に逆戻り……なんてこともよくある模様。
とーちゃんとの時間



よつばの一番の遊び相手といえば、やっぱりとーちゃん。自宅で仕事をしているせいか、空いている時間を見つけては、よつばと町に出かけたり、ちょっと遠出してみたり。本当の親子ではないよう(よつばはとーちゃんが拾った子供らしい)だが、「そんなの関係ねぇ」とばかりに大の仲良し。神社の階段で本気の競走をしたり、まるで友達のような関係でもある。そんなふたりの姿をうらやましく感じる人も、きっと多いのでは?
よつばの日常



とーちゃんが仕事で忙しいとき、よつばが遊びに出かける先といえば、お隣の綾瀬さん家、アイス目当てに押しかけたり手伝いをするといいながら豪快に昼寝をしちゃったり。けっこう傍若無人だけど、綾瀬家のかーちゃんは笑って見守ってあげているよう、3姉妹のなかでは、特に三女の恵那と仲良しで、友達のみうらを加えて、3人で遊びに出かけることもしばしば。その一方で、折り紙したり映画を見たり、昼寝をしているとーちゃんの顔に落書きをしたり……と、ひとりで遊んでいることも多い。思いっきり遊んで、思いっきりはしゃいで、疲れて電池が切れたら眠る。そんな子供らしさも、よつばの魅力。
よつばのすきときらい
人間なら誰しも“好き嫌い”があるのは当たり前。だけど、よつばの好き嫌いは、ちょっと人とは違っているようで……。ここではそんな、よつばの好き&嫌いアイテムをご紹介。ほかにも探してみると、いろいろ発見があるかも?
きらい
よつばの最大の敵といえば、やっぱり「ヤンダ」。嫌いというか相性が悪いというか、顔を合わせては、ケンカを繰り広げちゃうあたり、なんだかとても微笑ましい。そして、よつばが最も苦手としているのが、田んぼなどでよく見かける「目玉かかし」。大きな目玉から逃げまくる姿には、思わず「お前はカラスか!?」とツッコミたくなってしまう。どうやらよつば的には、にらまれてると思うようなのだが……。この弱点を克服する日は来るのか?
鳥よけの凧(目玉かかし)


ヤンダ(?)

すき
まつり

セミ

アイスクリーム

牛乳、とーちゃん、せみ、アイス……。好きなモノには脇目もふらず一直線なところもまた、よつばのチャームポイント。素直かつストレートな行動の数々は、見ていて思わずニヤリとしてしまうこともしばしば。その一方で、アイスを食べたいばっかりに、お隣さんに押しかけたり、目当てのカップラーメンを取るために、コンビニの商品を散らかしたり、果てはお祭りで迷子になりかけたり。行動力があり余っているのも、困りものです。
よつばのうた
鼻歌とハミングとか、うろ覚えの歌を唄っていることってないですか? ここでは、そんな“よつば、うろ覚えソング”のなかから、忘れられない名曲をセレクト。
だれが教えた?


うたで説明


よつばが時おり繰り出す、珍妙な替え歌の数々も『よつばと!』の見逃せないポイントのひとつ。「僕らはみんな生きている」が、なんだかとっても哀しい真実を言い当ててしまったり、牧場ソングをアドリブで作っちゃったり……。自由奔放なよつばらしいアレンジに、クスクス笑ってしまう人も、きっと多いハズ。でもただ笑えるだけじゃなくて、ちょっと考えさせられるところもあったりして、よつばって意外に歌の才能があるのかも?
よつばのへんな行動
欲望にまっすぐなのは、子供のいいところ。やりたいことをやって、後悔しない。だけどよつばの場合は、ピュアを通り越して、むしろ“ヘン”?……かも。
思い立ったら……


すずしかった

こどものしごと?

ときどき突拍子もない行動をとるのも、よつばの特徴。その突拍子のなさは、とーちゃんに「変な奴だって思う子がいたらたぶんそれ」と言わせてしまうほどだったり……。ここに紹介した以外にも、バスが無料だと聞いて飛び乗ってみたり、牛に殴りかかろうとしたり。けっこう見ていてハラハラする場面も多数。それでもやっぱり愛嬌たっぷりなのが、よつばのいいところなのです。