恋愛は付き合ってからが勝負――浮かれてるの俺だけ!? 『一途ビッチちゃん4』にニヤニヤと涙が止まらない
公開日:2021/12/18

恋愛は成就してからが勝負である。
好きな人とめでたくお付き合いすることになる。毎日幸せでしょうがなく、週末のデートが待ちきれない。
……だが、どこにデートに行けばいいのだろう。何を着ればいいのだろう。どうやって手をつないで、どうやってキスすればいいのだろう。ありとあらゆる検索ワードを打ち込んでも悩みは尽きない。
ていうかこんなに浮かれてるの、もしかして俺だけ……?

そんな甘酸っぱくほろ苦い葛藤も描かれる『一途ビッチちゃん4』(KADOKAWA)は、恋愛成就の「その先」がリアリティたっぷりに描かれる人気ラブコメ最新刊。
初デートは水族館。もちろん最後に待ち受けているイベントは……。

このような可愛すぎるエピソードが次から次へと炸裂する本作だが、ただ甘々なだけではない。
真剣な恋愛関係であれば逃れられない苦しさ、他者との摩擦、そしてそれらを乗り越えた先にある成長。それこそが「一途ビッチちゃん」の真髄だ。
第4巻では「ご両親へのご挨拶」というカップル超重大イベントが描かれる。
先輩(悠生)の家族は、少し難しい。父は子育てを母親に丸投げし、母は神経過敏でヒステリーを起こしがち、兄はそんな両親に反発して家を出て、弟である悠生は家族が決定的に崩れないよう自分の願望を抑圧していた。
そんな悠生が、母親を失望させるリスクを冒しても、大切にしたいと思ったのが一途ビッチちゃん、もとい歩。
彼女を両親に否定されたくない。否定させない。子どもから大人になろうともがく青年の、切実な覚悟が胸を打つ。

家を出ていった兄貴がまたナイスガイなのである。チャラい振るまいをしながらも、弟と弟の恋人を守ろうと暗躍。
苦しみを越えた兄弟の成長が、親の、家族の呪いを解いていく。

なお、一途ビッチの名に恥じぬちょっとエッチなシーンも盛りだくさんであることも記しておく。
ずっと一緒にいようと決めた二人に、どのような勝負が待ち受けているのか。互いを大切に思い合う二人がどのように周囲を変えていくのか。
恋から愛へ。自分たちの幸せから、周囲の人の幸せへ。付き合っても、きっと結婚しても。考えるべきことは尽きないのだろう。恋愛は成就してから勝負。われわれも心して臨もう。
文:mamiana