ルパン一味が異世界召喚された? 大泥棒と仲間が異世界で危機を乗り越えていく『ルパン三世 異世界の姫君(ネイバーワールドプリンセス)』
公開日:2022/2/24

「ばっかもん! そいつがルパンだ!!」「あばよ、とっつぁん」もはやおなじみのセリフから始まる『ルパン三世』。今回ルパン一味が活躍する舞台は……なんと異世界!
2021年はアニメ版の第1シリーズ放映から50年というアニバーサリー・イヤーだった。そんな年の夏、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)39号から連載が開始となったのが、『ルパン三世 異世界の姫君(ネイバーワールドプリンセス)』原作:モンキー・パンチ/エム・ピー・ワークス、漫画:内々けやき、脚本:佐伯庸介、オリジナルキャラクターデザイン:白狼/発行:秋田書店)だ。
待望のコミックス第1巻が2022年の2月に発売となった本作は、2月24日(木)発売の『週刊少年チャンピオン』13号より連載再開、、そして3月8日(火)には2か月連続となるコミックス第2巻の発売を控えている。このタイミングで本作を紹介させてもらおう。
「剣と魔法のファンタジー世界」で、ルパンたちは果たして通用するのか?
ルパン一味が異世界へ! 狙う獲物は……?

物語はルパンが、数千万ドルの価値をもつ「存在しない国の金貨」を狙うところから始まる。「伊海家(いかいけ)に代々伝わるその金貨をいただく」とルパンから予告状が届くのだ。ICPOの銭形警部が金貨の警備につくが、間もなくもう一人の銭形警部がやって来る。最初に到着した銭形警部と部下の正体こそルパン一味だった。
逃げ出すルパン三世、次元大介、峰不二子、石川五ェ門。彼らは、銭形警部に追われて、不思議な路地へ迷い込む。4人と銭形がそれぞれ扉の奥へ進むと、扉は消失した。

気付くと、ルパンはオーク、ゴブリン、そしてドラゴンが存在する異世界にいた。命からがら町にたどり着くと、そこでは全世界を股にかけてきた彼も知らない文字と言葉が使われている……が、なぜか読むことができ、聞きとって話すこともできた。さらに盗んだあの金貨が使えたのだ。
不思議なその世界で、ルパンはひょんなことから少女・アイシュを助ける。そのとき彼女はこう言った。
あなた
私を連れて行きなさい
泥棒なのでしょう?

実は彼女はその国――アイソプミア王国の王女だった。。アイシュは救出してくれたルパンに「国を魔女から盗んでほしい」と依頼する。いま国は、王が気付かぬうちに魔女が支配しつつあり、ルパンに“異世界から来た勇者として”国を救ってほしいというのだ。
そのころ次元は、同じ世界のドワーフの集落へ召喚され、現れた怪物を正確無比な銃の腕で倒していた。そこで357マグナム弾を作れるドワーフの娘・スムンナと出会う。
また五ェ門は、同じこの世界でさまよい、倒れているところをハーフエルフのキシャラに助けられ、襲い来るスライムを斬鉄剣で斬り刻む。

彼ら3組は、各々別の理由で異世界の住人と共に王都を目指すことになる。盗みの腕、銃の腕前、剣術……おなじみの特技を生かして。ネタバレはできるだけしないので、ぜひ本編を読んでみてほしい。とにもかくにも目的地は同じだ。そこで待つ者とは……?
ヘビーなファンもニヤリの匂わせ多数! 異世界活劇ルパンをお楽しみあれ

1967年にマンガとして登場し、それから半世紀以上にわたって愛されてきたルパン三世。本作は、数多くいるファンへのサービスも忘れていない。
「なんだろーなこりゃ、明らかに日本じゃない、昔行った偽札造っていた国に似てっけども」(『ルパン三世 カリオストロの城』)
「昔にタイムスリップしたことあっけども、それも違うみてえだなあ」(『ルパン三世 霧のエリューシヴ』)
「元の世界でも魔術師とは縁があったけどもな?」(『ルパン三世 生きていた魔術師』)
……と、ところどころで過去の作品を匂わせているので、ファンは「あれのことか?」と予想するのも楽しい。他にも次元大介の「旨いタバコも吸いてえ」や五ェ門の「またつまらぬものを斬ってしまった」などの名ゼリフもおさえられており、思わずニヤリとさせられた。
ルパンたちが異世界で暴れるのはおそらく初めてのこと。しかし、もともと「ルパン三世」が無国籍活劇であるからか、舞台が異世界でも違和感はほとんどない。
よくわからないまま異世界に召喚されたルパン一味。異世界に行っても頼りになる、彼らの運命やいかに?
文=古林恭