堀田茜が選んだ1冊は?「偏見や思想の違いから生まれるテロや争い。読みながら考えさせられることばかりです」

あの人と本の話 and more

更新日:2024/4/17

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年5月号からの転載になります。

堀田茜さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、堀田茜さん。

(取材・文=倉田モトキ 写真=諸井純二)

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「以前、魚にも痛点があるかもしれないという話を聞いたことがあって。その流れでベジタリアンの方の思考に興味を抱いたんです。肯定や否定をするわけではなく、純粋にどんな考えをお持ちなのかなと。そんな時、偶然出会ったのがこの本でした」

 人間とチンパンジーの混血「ヒューマンジー」のチャーリーを巡る物語を描いた話題作『ダーウィン事変』。新たな生命体を前に、“人間”たちによる差別や偏見などを多面的に見せた社会派ドラマだ。

「本当に考えさせられることばかりなんです。チャーリーを仲間にしようとするテロ組織にも正義があり、一言で悪とは言えないところがある。一方で、本来は博愛主義なのに、動物を守りたいがために無差別に人間を殺害する人たちも現れたり。もしかしたら、戦争もこうしたところから起きていくのかもと思いましたね」

 価値観や思想の相違がやがて生み出す暴力。しかし、そうした中、チャーリーだけは自分の愛する者を本能的に守ろうとする。

「そこがすごく素敵なんです。それに、いつも飄々としていて無表情だから、場面によってかわいく見えたり、怖くも見える。いろんな想像を掻き立てられるのも魅力の一つです」

 堀田さんが現在出演中のドラマ『好きなオトコと別れたい』。この原作マンガも彼女がのめり込んだ一冊だ。アラサーの郁子の前に現れた甲斐性のないダメ男の浩次。彼と一緒では幸せになれないと思っていても、郁子は“沼”から抜け出せない。

「傍から見れば本当にダメな二人なんです(笑)。でも、彼らには裏表がなく、純粋に“この人といたい”という気持ちで繋がっている。そこにかわいらしさや愛おしさを感じました」

 浩次役には毎熊克哉。醸し出す優しい空気感に、「本当に浩次がいるような気持ちになります」と絶賛する。

「第一話に彼が郁子の帰りを待っているシーンがあるのですが、その姿にキュンとしました。“この人なら何でも許しちゃうかも”って(笑)」

「きっと二人の相性は完璧なんです」と堀田さん。しかし、そんな郁子は将来を見据えて婚活にも励む。

「その気持ちも分かりますよね(笑)。現実的には浩次みたいな人と一緒になるのは不安ですから。ただ、口では『嫌い』と言いながらも、郁子にとっては自分の全てをさらけ出せる相手だし、平凡な朝食のシーンからも彼女が幸せに包まれているのが伝わってくる。出会うべくして出会った二人なんだろうなって思いますね」

ほった・あかね●1992年、東京都生まれ。2013年にデビュー。モデル活動をはじめ、バラエティ番組やラジオのナビゲーターも務めている。主な出演作にドラマ『恋と友情のあいだで』『インビジブル』、配信ドラマ『私と夫と夫の彼氏』など。

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ドラマ『好きなオトコと別れたい』

ドラマ『好きなオトコと別れたい』

原作:藤緒あい「好きなオトコと別れたい」(講談社「comic tint」) 監督:湯浅弘章、田口 桂、松浦健志 脚本:川﨑いづみ 出演:堀田 茜、毎熊克哉、木村慧人(FANTASTICS)、紺野彩夏、柏木 悠(超特急)ほか 毎週水曜24時30分よりテレ東系で放送中
●将来に不安を持ち始めたアラサー会社員の郁子。そんな彼女は、ダメ男だけど誰よりも心を許せる彼氏・浩次の沼にハマっている。好きな人といることが幸せなのか、それとも安定した未来を選ぶべきか……。ループな恋を続けてしまう葛藤ラブコメ。
(c)「好きなオトコと別れたい」製作委員会