渡邉美穂&齊藤なぎさ「INI・木村柾哉は蝉取りに行きそうなくらい無邪気」映画『あたしの!』の撮影現場の雰囲気とは?【インタビュー】
公開日:2024/11/14

人気少女漫画家・幸田もも子氏の漫画『あたしの!』(集英社)が映画化され、11月8日(金)に公開されます。学校イチの王子様・直己(木村柾哉)を好きになってしまった親友同士の、恋と友情をテーマにした青春ストーリー。公開に先駆け親友同士を演じる渡邉美穂さんと齊藤なぎささんにインタビューを行いました。プライベートでも本当に仲がいいというふたり。関川あこ子(渡邉)、谷口充希(齊藤)というそれぞれが演じた役について、とても雰囲気がよかったという撮影現場について、和気あいあい語ってくれました。
齊藤なぎささん(以下、齊藤):美穂ちゃんと一緒のインタビュー、ほんとに安心感ある!
渡邉美穂さん(以下、渡邉):あはは! おかんみたいな?(笑)
――すごく仲良しなんですね。
齊藤:そうなんですよ、この間も一緒にお台場行ったもんね。ボウリングして、カラオケ2時間。
渡邉:そうそう、ディズニーも行ったし、ご飯もかなり行ってるよね。
――仲良くなったのは本作の共演がきっかけですか?
齊藤:そうです。撮影が始まる前に一緒に餃子を食べに行ったんですけど、そこで美穂ちゃんの考え方がすごく好きだなと思って。特に仕事に対してとてもストイックで、熱意というか気持ちの向け方が自分と似ているなと感じました。
渡邉:アイドルとか、同じことを経験してきた共通点もあるしね。
齊藤:そう。だから一緒にいると落ち着くし、「会いたいな」って思わせてくれる人です。
渡邉:え、告白された?(笑)でもほんとに気づいたら仲良くなっていましたね。撮影中もカメラが回ってないときはずっと喋っていた気がするし、終わってからもなんだかんだと会うことが続いて。なぎさちゃんは裏表がないんですよ。お仕事の現場ではいつも明るくてハッピーなオーラが出ているんですけど、プライベートでもそのまんま。そこが変に気を遣わなくていいというか、何でも話しやすいんです。

INI木村柾哉はいたずらっ子? 同世代が集まった撮影現場
――『あたしの!』には原作漫画がありますが、読んだことはありますか?
渡邉:もちろんです! 最初に読んだときはとにかくあこ子も充希もかわいすぎるし、直己くんも成田くんもイケメンで。幸田先生が書くキャラクターってみんな好きになっちゃいますよね。それぞれのキャラクターに感情移入できるところがすごいなと思います。
齊藤:私は出演が決まる前から読んでいて、その時はあこ子がかわいいなと思ったんです。私自身も猪突猛進型というか、気持ちをストレートに表現するタイプなのであこ子に共感して読んでいました。それが今回充希役をやらせていただくことになって、充希の視点で読み直してみたんです。そうすると全然感じ方が違って。充希はあこ子に救われつつも、どこかでちょっと劣等感みたいなものを持っていたんだろうなと感じました。そう考えると充希の気持ちもわかる気がして、また違った読み方ができて。あと成田がやばい。かっこいい!
渡邉:そう、あの余裕のある感じがずるいよね
齊藤:そう! 俯瞰で見てる感じ!
渡邉:そう! こっちが余裕ないときに「どうしたんだよ」って現れる感じ。
齊藤:そう! ドキッとしちゃうよね。
――(笑)。実際のおふたりは成田派なんですね。今回はおふたりを含め同世代の方が多い現場だったと思うのですが、どんな雰囲気でしたか?
齊藤:もう超楽しかったよね。
渡邉:あそこまでワイワイする現場ってなかなかないよね。奇跡的に同世代が集まって、性格的にもおっとりというか平和主義な人が集まったからこそ雰囲気の良い現場だったと思います。
――みなさんでどんなお話をしていたんですか?
齊藤:いやほんとにくだらない話ばっかりです(笑)。私MBTI診断が好きなんですけど、最初に4人で会ったとき話したのはその話で。
――相性は良かったんですか?
齊藤:よかったです! 特に美穂ちゃんは私の一番好きなMBTIタイプの人でした。
渡邉:え、そうなの? それは嬉しい。あとスタジオ撮影のときに観葉植物がいっぱい飾ってあったんですけど、木村さんが「これの名前知ってる?」って言い出して。みんなが「知らない」って言ったら、聞いたことない名前をいくつもスラスラ言うので「すごい! 博士だね!」って盛り上がったんです。そしたら後で「存在しないよ、そんな名前」って言われて……。
齊藤:あれ、びっくりしたよね。
――(笑)。木村さんはいたずらっ子なんですね。
渡邉:それで私たち仕返ししようとして、録音部の方に私の姉の元彼氏という設定でやり取りしてもらったんです。木村さんの前で「あの時いろいろありましたよね……」みたいな。
――それは騙せたんですか?
渡邉:大成功でした! 「嘘だよ」って言ったら「なんだよ!」って(笑)。
齊藤:あれ面白かった!(笑) 木村さんはほんとに不思議な人なんですよ。
渡邉:ね。出会ったことないタイプ。
齊藤:少年って感じです、蝉取りに行きそうな。
渡邉:わかる。小学生みたいな無邪気さがあるよね。こんな成人男性がいるんだってくらい純粋な方です。

あこ子も充希も、悪者にはしたくない
――齊藤さんから見て、渡邉さんとあこ子の共通点はどこかありますか?
齊藤:常に明るくてかっこいいところですね。美穂ちゃんは私のできない部分をカバーしてくれることがすごく多くて。あこ子も面倒見がいいタイプだと思うし、一緒にいると本当に笑いが絶えないので、そこもあこ子だなと思います。
渡邉:嬉しい! 私から見たなぎさちゃんと充希の共通点はちょっと、素の齊藤なぎさを見過ぎていて……(笑)。
齊藤:(笑)。充希は私と逆だもんね。
渡邉:でも闘争心というか、自分の中でちゃんと意志を持っているところは似てるかな。充希は表には出さないけどちゃんと意志を持っていて、青い炎が心の中でメラメラ燃えているイメージ。なぎさちゃんもお仕事の野望とかがきっとあるタイプだと思うので、そこは似ているかなと思います。
――今、逆とおっしゃいましたが、齊藤さん自身は充希との共通点は感じていないということですか?
齊藤:いや、私自身は裏表ないし、猪突猛進タイプだからあまりないなと思いましたが、充希みたいに人の顔色をうかがってしまうというか、嫌われないように生きようとするところは今考えると似ているのかもしれないです。
――ふたりの友情は、いつもあこ子が充希よりも先を行っているような部分など、女の子同士の複雑な関係がリアルに描かれていると感じました。自分自身の体験と照らし合わせて共感する部分はありましたか?
齊藤:私は友達に憧れるというか、尊敬できる人と友達になることがすごく多いです。だからといって劣等感を持つことはないですけど、その意味だと充希側なのかな?
渡邉:作中、あこ子が“ずっと私の方が先を走ってたつもりが、気づいたら充希が横にいて抜かされそうになってた”みたいに充希との仲を捉えるシーンがあるんです。私自身6歳くらいからずっとバスケットボールをやっていたのですが、最初は周りよりも上手だったものの、中学・高校になるとどんどん猛者たちが現れてきて。その時自分は広い世界を知らなかったんだなって心が折れた経験があったので、そのシーンはすごくわかるなって思いました。
――演じる上で重視したところを教えてください。
齊藤:私自身、喋るのがすごく早いんですよ。すぐに話変わるし、早口だし。でも充希はおっとりしているので、最初の段階で「もう少しゆっくり話してもいいかも」と言われてしまって。演じた役柄もまくしたてるタイプやハイテンションなタイプばかりで充希みたいにおっとりしておとなしい女の子は初めてだったので、そこが苦戦しました。
渡邉:逆にあこ子は一番ハイテンションで声も大きいし、周りの目を気にせずに何事も直球。そういうところが観る人にしっかり伝わるように、身振り手振りもあえて大げさなくらい大きくしたりと工夫はしました。
――渡邉さんの演技は動き方を幸田先生からも絶賛されたそうですね。
渡邉:あこ子って、がに股というかいつでも俊敏に動けそうな構え方をしているイメージがあったので、そういうところですかね。そこまで意識していた部分ではなかったのですが、嬉しかったです。
――演じるのが難しかった部分はありますか?
齊藤:あこ子との友情に亀裂が入ってからのシーンは難しかったですね、一言一言どう言ったらいいのか。みんなで充希を悪者にはしたくないと話していたので、監督と細かく相談しながら進めていきました。
渡邉:そうだよね。あこ子も充希もただ性格が悪くて頑固な子に見えてしまったらそれは違うから。若くてまだ経験が少ないからこそ譲れないところが出てきたりして、それが一生懸命でかわいいところでもあると思ってもらえるようにしたいなと思っていました。ふたりの友情も、なんだかんだ喧嘩をしても簡単には離れられないし、どこかでお互いがお互いを必要としているんだなというのは見え隠れして欲しかったし。そのあたりの見え方は言葉のちょっとしたニュアンス次第で変わってきちゃうから悩んだし、だからこそやりがいがありました。
――もしまたおふたりが共演するとしたらどんな役をやってみたいですか?
齊藤:なんだろう…姉妹がいいですね。私が型破りな妹で、美穂ちゃんがそれを見守るしっかり者のお姉さんみたいな。
渡邉:年齢的にもね。確かにやってみたいかも姉妹役。私は同僚がいいな。昼ご飯一緒に食べながら愚痴ったりするOLみたいな。そういう役柄だったらお芝居ももっとラフにできるから、絶対楽しいんだろうなって思います。
取材・文=原智香


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