「長谷川芳明」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ

公開日:2016/5/26

長谷川芳明

編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第123回となる今回は、「ハンドレッド」の如月ハヤト役、「迷家-マヨイガ-」の美影ユラ役などを演じる長谷川芳明さんです。

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――アニメ「ハンドレッド」の如月ハヤトはどんなキャラクターですか?

長谷川:性格的には一般的な思春期の男の子だと思うんですけど、何か大変なことがあったときに大切な人のことを本気で守れるところがすごいと思ってます。仲間のためにいざ地球外生命体と戦うとなっても、なかなか命はかけれないと思うので。

――さすがは主人公ですね。

長谷川:女の子に優しいっていう演技も、僕にとっては鬼門でした(笑)。僕は性格上、ストレートにしか表現できないほうなので。たとえば女の子に抱きつかれた時に、言葉ではイヤがってるんだけど、根本では拒否していないっていう優しさみたいなところとか。演じながら、もっと優しく、優しく、と念じてましたね。

――たくさんの女性キャラクターに囲まれたハヤトがうらやましいと思うことも…?

長谷川:どうでしょう…あれだけたくさん女性がいるのに、誰かひとりに決めることもしないとは…。思春期の男子にとっては、いいこともあり、時に苦しいこともあると思います(笑)。

――アニメ公式サイトで公開されている「出演者リレー100問100答」によると、ハヤトとの共通点は「押しに弱いこと」だとか。

長谷川:(笑)。単純に「好き好き〜」って寄ってくる女性よりも、自分が追いかけたいほうなので。そういう意味で「押しに弱い」んです(笑)。

――他に、ハヤト役で挑戦になったことはありますか?

長谷川:もともと、俳優としてこの世界に入った頃は、自分の体を使って役を演じていたので、31歳になって「じゃあ今日から高校生です」って言われた時の気持ちの切り替えがなんともむずかしいですね。そこが声優の面白さでもありますけど。ただ、周りの方がハヤトとして俺を扱ってくれるので、そのおかげでハヤトになれるっていう部分は大きいです。

長谷川芳明

――長谷川さんが、ハヤトのようにプライベートで戦っていることは?

長谷川:お芝居です! 負け戦が多いですけど(笑)。戦わないとつぶれちゃいますからね。うまくこなすっていうことができない仕事だと思ってるんですよ。全力で戦わないと、人の心は動かせないんでしょうね、きっと。

――「迷家-マヨイガ-」の美影ユラ役はどんなキャラクターですか?

長谷川:クールな上に斜に構えている男。ハヤトとは真逆といっても過言ではないかもしれませんね。少し達観していて、自分の意見をはっきりと言うタイプ。オリジナルアニメで、今後彼がどうなっていくのかわからないので、役作りに関しては毎回手探りです。

――クールで斜に構えている…自分とは違うタイプ?

長谷川:いや…僕、あんまり性格よくないので(笑)。人を質問攻めにしたり、人の揚げ足をとるクセがあるので、そういう部分は少し似ているというか。

――質問攻めとは!?

長谷川:たとえば、事務所の後輩としゃべる時に、次から次へと質問をして追い詰めちゃうんですよ。そうすると相手が焦ってきて、途中で矛盾した答えを言う瞬間があって。すかさず「そこ、おかしくない?」って突っ込むと、あたふたして、その子の人間らしい部分が見えてくるっていう。その人の素の部分を知りたかったり、人間らしい部分を見たかったりするんですよね。

――「迷家-マヨイガ-」のどんなところに注目して観てほしいですか?

長谷川:キャラクターが30人以上いるのに、それぞれの個性がたっていて、脚本とお芝居の妙ですかね。中でも、僕が気になっているキャラクターは、ダーハラさん。作中のバスツアー参加者は、基本的に戻るつもりがない人たちなんですけど、バスの主催者である彼も戻るつもりがないのか、その目的は何なのかって。

長谷川芳明

――今後の展開を楽しみにしています! そして、「カードファイト!! ヴァンガードG ストライドゲート編」では、江西サトル役を。

長谷川:アニメのレギュラーとしては初めての敵役なんですよね。しかも幹部で。彼なりに抱えた物があるけど、目的のために自分を押し殺して行動するタイプなんですが、その押し殺した中にも人間味が見えるお芝居が出来ると魅力なキャラクターになるのかなって。

――長谷川さんは、声のお仕事をする前は俳優として活動されていましたね。

長谷川:高校までしていた陸上が人生で初めてがんばったことだったんですけど、これでご飯を食べていくほどのポテンシャルはないよなと思って、結局何も目的を持たずに大学に進学したんですよね。大学に入ってからは、授業もそこそこに(笑)、学校の図書館でず〜っと本を読んでいるか、家に帰ってからもずっと映画を観ているか。その頃、映画に出てる人たちが魅力的に見えたんですよね、僕にはない日常を送ってるんだなと。

ある時、「地雷を踏んだらサヨウナラ」っていう戦場カメラマンの映画で、カンボジアの内戦を撮るために「カメラ!カメラ!」って言いながらアンコールワットに向かって走っていくシーンを観た時に、そこまで夢中になれることがあるなんて…とすごく熱くなって。それまでは、何もしてないのに何か面白いことないかなって考えてる“ザ・現代っ子”だったんですけど、気持ちが動いちゃって、何かしなきゃダメだと。

――それが俳優を目指すきっかけになったと。

長谷川:そう思わせてくれた映画に関わりたいと思いましたね。まずは雑草魂でやってみようと舞台の養成所に入って、ハタチの時に初めて舞台に立って。その1回だけで演じることの高揚感を覚えましたね。舞台だからお客さんの反応もあって、笑ってくれるし泣いてもくれるし、日常とはかけ離れた感情が襲ってきたというか。

――声の仕事に転向されたのは…?

長谷川:今の事務所に入ったのがきっかけですね。舞台に出ていた時の集団を離れてフリーになった頃、バーで知り合った友人から今の事務所を紹介してもらったんです。

長谷川芳明

――事務所に入るための条件はあったんですか?

長谷川:即戦力が欲しいから、という話は聞いていました。3回は事務所に出向いたと思います。一度はセリフを読んで、次はナレーションの原稿を読んで、かなり期間が空いてから「じゃあ、うちで」っていう連絡をいただいて。紹介だからといって簡単には入れてもらえなかったですね(笑)。俳優も歌手も脚本家もいるマルチな事務所なので、俳優方面の仕事をする、ということで入れていただきました。

――初めて声の仕事をしたのは?

長谷川:「あ、安部礼司」っていうラジオドラマです。10年以上続いている作品で、今でもたまに呼んでいただくんですけど。8時間の朗読劇でギネスを目指せ! みたいなすごいことをしていて(笑)。

――今まで経験した中で忘れられない現場はありますか?

長谷川:どの現場もそうですけど…「Gのレコンギスタ」とか。最初はモブキャラだったのが、次にルアンっていう兵士の役で呼んでいただいて。もともとガンダムが好きだったから、役者を始める前に全部観ていたんですよ。だから、「俺、ガンダムに出れるんだ!」っていう男の子特有の喜びを感じて、すごく嬉しかったですね。ああ、何かひとつ残せたなと。

しかも、富野(由悠季)さんが作った作品なので、ガンダム節とも言えるセリフを自分がしゃべることにすごく興奮しました。男なのに、「何よ!」って言ったりするのがガンダムっぽい! みたいな(笑)。

長谷川芳明

――仲がいい声優はいますか?

長谷川:竹内栄治さんとか、手塚ヒロミチさんとか。このお2人は、吹き替えでご一緒させていただいて、一緒に飲みに行くことが多いですね。くだらない話を延々してるんですが、けっこうパーソナルに突っ込んだ話もできる相手なので、どこかで言われてはまずい僕の話も彼らは知ってますね(笑)。逆に、僕も知ってるのでお互い出しませんけど(笑)。

――お酒をたくさん呑める感じがします(笑)。

長谷川:バーテンをしていた頃もあったので、それなりに呑めますよ。

――時にはお酒で失敗することも?

長谷川:たくさんありますね〜。朝起きて、水買ったよな〜って冷蔵庫を開けたら、その中で財布がきんきんに冷えてたとか(笑)。家に帰ったところまでは覚えてるんですけど、その記憶だけはないんですよね。

長谷川芳明

――女性の好きな仕草は?

長谷川:女性らしい人が好きですね。あとは、あざとくても、その人にあっていればいいと思います(笑)。

――「ハンドレット」で「はっせ」と呼ばれていますが、他にもあだ名は?

長谷川:昔は「よしくん」だったんですけど、中学の体育の先生から「よしあき」って呼ばれたのが、一人前の男として扱われているようで嬉しくて。高校に入ってから「よしあき」っていう呼び方を浸透させたんですけど、いつの間にかまた「よしくん」に戻ってましたね(笑)。

「はっせ」は、大坪(由佳)さんと大久保(瑠美)さんにつけていただいたので、このあだ名で呼んでいただくのは嬉しいですねえ。

――1日のうち、いちばん好きな時間は?

長谷川:映画を観てる時間です。最近、周りの人にすすめているのは「きっと、うまくいく」っていうインド映画。すごい素敵な3人組の話で、3時間くらいあるんですけど、もっと3人のことを観ていたいって思うような映画なんです。

――声優としてチャレンジしたいことはありますか?

長谷川:1回1回がチャレンジで、常に違う人間の新しい時間を演じていくので、チャレンジするというよりは常にチャレンジの場を与えてもらえる役者でありたいです。

――読者へのメッセージをお願いします!

長谷川:これからいろんな作品に出させていただいて、みなさんに少しでも楽しんでいただけるように精進していきますので、いいなと思ったら声を大にして応援してくださると、より魅力的な役者になっていけると思います。全力で頑張りますので。今後の長谷川をお楽しみに!

【声優図鑑】長谷川芳明さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

長谷川芳明

長谷川芳明(アクロスエンタテインメント)

長谷川芳明 Twitter

取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト