「大河元気」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ部

2017/6/9

大河元気

 編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第163回となる今回は、「ラブ米 -WE LOVE RICE-」のCARRY役、「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」の緋室キラ役、「B-PROJECT〜鼓動*アンビシャス〜」の野目龍広役などを演じている大河元気さんです。

――「ラブ米 -WE LOVE RICE-」ではCARRY役を。ギャグやオマージュがちりばめられて驚きの多い作品ですが、出演されてみて周りの反響はいかがですか?

大河:僕自身への反響はそんなにないですが、作品自体はいろいろ衝撃を呼んでいるみたいです。とにかく飛び抜けているので、そこにみんなが注目して、作品自体に面白いという反響があるのは、すごくいいことだなと。でも、いつか怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしております(笑)。

――台本を読むたびに驚きがありそうです。

大河:台本もそうですし、現場では、先輩の津田健次郎さんを含め、アドリブがすごいんですよ。少しもかすってないじゃん!っていうアドリブもあって(笑)。そんな先輩方の背中を見ながら、あぁ負けてられないなと思いながら収録させていただきました。制作の方も、面白い作品にするためにどんどんアドリブを入れていきましょうということで、完成したものを見るとやっぱり面白いなと思いますね。

――アドリブ次第で仕上がりがガラリと変わるというのも面白いですね。

大河:そうですね。ただ、収録中に笑えないのがつらくて(笑)。画面を見れないから、みんな下向いて笑いを堪えてるんですよ(笑)。アドリブといってもふざけているわけではなく、笑いを取りにいくというよりお芝居をしている中で、僕自身も一歩下がってちゃいけないとすごく感じますね。

――大河さんはもともとスーツアクターに憧れていたそうですが、小さいころはどんな子どもでしたか?

大河:かっこいいことがしたい子でした。岩を叩き割りたいし、10メートルくらい空を飛びたいんですよ、男の子って。それは今も変わってませんけど(笑)。

――高校生の時に劇団ひまわりの特待生になり、お芝居を学び始めたんですね。

大河:一度、スーツアクターを見学した時に挫折というものを味わって、スーツアクターへの夢はそこで途切れてしまったんですよ。その後に入った養成所は、友だちが勧めてくれて運良く受かっただけで、実際には舞台で役を降ろされた経験もありますし…。だから、自分に芝居ができるなんて一度も思ったことがないです。いろんな作品を見ながら、周りの人に助けられながら、少しずつ学んできましたね。

――少しずつ。

大河:当時はわかりませんでしたけど、もうダメだーって挫折してた時期でさえ、その時に見てたものは全部勉強になってた気はしますね。

――最近は「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」の緋室キラ役、「B-PROJECT〜鼓動*アンビシャス〜」の野目龍広役などを演じられています。舞台や映画にも多数出演してきた大河さんが、声のお芝居に感じている魅力とは?

大河:逃げられないところじゃないですか。それから、ごまかせない。舞台は幕が開けたら必ず下りるけど、それが声だけだとスピーカーに乗った声を聴いた時、できていない部分が如実に表れてしまう。もう、それが楽しくて。

――楽しくて?

大河:もう本当に、楽しいんですよ。

――落ち込んでしまう気もしますが。

大河:落ち込むのも含めて楽しいんですよね。これができてないって気づくから、また課題ができる。たぶん、これからもずっとその繰り返しなんでしょうね。

――出演作のうち、特に大きな発見があった作品は?

大河:「ナンバカ」っていう作品では、自分も含めて若手も多かったけど、それこそ津田健次郎さんをはじめとする先輩方も多かったんですよ。収録しながら、今この人たちと同じ土俵でお仕事をしてるんだから、同じことができないといけないんだなと思いました。観る側からしたら同じ役者だし、若手だからといって甘えることはできない。そう思ったときに一段と身が引き締まりました。

――何か行動に移したりしましたか?

大河:収録では絶対に緊張するし、逆に緊張しなくなるほうが怖いんだけど、とにかくそこでビビらないようにしようと。緊張すれば集中しようと思えるし、集中すればビビらないでいられるし。

――収録に向かう前に必ずしていることはありますか?

大河:…お腹が鳴らないようにしてる(笑)。練習していくのは当たり前だと思うから、それ以外だと、そういうこととか、他の人の邪魔にならないようにっていうことになっちゃうんじゃないかなと。

――いろいろやり尽くしているから、言えることなんでしょうね。

大河:どんなに怖いなって思う現場でも、楽しみにはしていたいと思います。というか、いつも今から行く場所がすごく楽しみなので、そういう純粋さは忘れないでいたいと思いますね。

――2014年・2016年には、舞台「バカフキ!」で初めて脚本・演出を手がけられています。

大河:「バカフキ!」は、大人が本気でごっこ遊びをするという作品。忍者が派手な格好をして舞台をはしゃぎ回るような(笑)。お客さんに“こういうメッセージを受け取ってほしい”というものは一切なくて、子供が見てかっこいいなーっていう舞台を作りたかった。

――その想いを実際に実現してしまったという。

大河:それも周りの助けがあってのことなんですよ。僕は自分に才能なんてないと思っていて、最初からできることなんて1つもないけど、1つだけ持っているとすると、人と出会える運がバカみたいにいいんです。これだけは周りからも羨ましがられますよ。

――「バカフキ!」の企画はどんなところからスタートしたんですか?

大河:友だちとコーヒーを飲みながら「やりたい!」って話していたら、友だちが「やればいいじゃん」と言ってくれて。そうか、やればいいのか!と。それから知り合いを訪ねて、劇場を借りて…。「一緒にやろう!」って言ってくれる人たちが周りにいたんですよね。

――しかも、1作目の上演は全労済ホールスペースゼロ。600人ほど入れる大きな劇場です。

大河:借りられると思わなかった(笑)。

――脚本や演出だけでなく、殺陣の振り付けやグッズのデザインまで手掛けられて。

大河:僕がイメージしたものを誰かに伝えて形にしてもらうよりも、ダイレクトにいけたほうがいいと思ったし、それができると思ったので。

――賛同したというキャストも豪華でした。

大河:ほぼ全員、事務所を通したんじゃなくて、本人に電話するなり会いに行って打診をしたら、2つ返事で「うん、出る!」って。「どんな役?」「うん、わからん」「でも、出る!」って(笑)。

――当て書きなんですか?

大河:当て書きですね。ただ、その人の性格を模写したものではなくて、この人のこういう役が見たいっていう役を書きました。

――2作目には、「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」のユニット・LAGRANGE POINTの相方でもある豊永利行さんも出演されていました。

大河:とっしーさんには絶対にラスボスを演じてもらいたくて! すごく優しいし、すごく楽しいし、仲もいいんですけど、あれだけ実力もオーラもある人がラスボスを演じたら、絶対に面白いじゃないですか(笑)。

――もし3作目を作るとしたら構想はありますか?

大河:1作目を作った時にラストまでの構想があったので、大まかな台本はあるんです。ただ、需要があって、みんなのスケジュールが取れたらやっていこうと思ってます。

――そして、大河さんといえば、ラジオ「大変恐れいりますが、大河元気のラジオです。」が昨年で10周年を迎えたという。

大河:2007年から始まって、今年の夏に500回を迎えますね。週に一度やってきて、500回(笑)。

――500回続くラジオ番組は多くないと思います。話題が尽きない、ということですね(笑)。

大河:放送自体は20分ちょっとですけど、実際は40分くらい喋ってることもありますから(笑)。

――フリートークで、喋る内容は事前に考えていくんですか?

大河:なんにも考えてない(笑)。たぶん喋るのが好きなんでしょうね。自分の身に起こったちょっとした出来事を見ているのが好きで。たとえば、どこかの店員さんの対応が面白かったら絶対覚えておきたくて、そのことを喋ったりとか。周りで起きることの1つ1つが面白くてしょうがないんです。

――なにげない日常に面白みを見出すというクリエイター気質なんだなと感じます。他にも「これだけはやっておきたい」ということはありますか?

大河:山のようにありすぎて…。とりあえず、スカイダイビングはやってみたいかな(笑)。高度何千メートルから飛ぶって、日常では考えられないじゃないですか。テレビで観てすごかったのは、酸素マスクをつけて、宇宙の手前ギリギリから飛んでたこと。僕もギリギリの大気圏内で飛んでみたい(笑)。

――趣味の話もお伺いします。大河さんはガンプラ好きとして知られていますね。

大河:模型はいちばんやりますね。でも、発売されるペースと作るペースが合わないんですよ。ちゃんと作ろうと思うと時間がかかっちゃうので。これから先、人生であと何体作れるかなって思うと、一個一個ちゃんと手をかけてあげたくて。

――模型と一生添い遂げるつもりなんですね(笑)。模型を作ることは、大河さんにとってどんな時間ですか。

大河:力が入りすぎると、ちょっとしたズレでパーツがダメになっちゃうし、かといってやり直すのもイヤなので、手元だけはすごく冷静なんですよ。そうすると、気持ちが落ち着かない時でも、思考がどんどん冷静になっていくんですよね。

――持っている模型は全部で何体くらい?

大河:完成してる作品自体は4〜5体くらい。作りかけは数え切れないほどあります。妥協点があって、まいっかって思わないと完成しないんですよ。サグラダ・ファミリアと一緒(笑)。完成してる作品は、僕らの一世代上の人が作ってたような昔のもの。最新のプラモデルは初心者が作ってもすごくかっこいいんですよ。でも、昔のものってそうでもない。それをしっかり手間暇かけて作るのは楽しいですね。

――そして、LINEブログの面白さもマネージャーさんのお墨付きで。文字の配置や写真のクオリティなどにこだわりを感じます。

大河:やっぱり読んでもらうからには時間をかけたいんです。平仮名の「ゆ」が書けない…とかどうでもいいことばっかりなのに、読むのに5分くらいかかりますからね(笑)。ファンの方から、「電車の中で読むんじゃなかった」ってよく言われます(笑)。

――もしお芝居をしていなかったら、どんなお仕事をしていたと思いますか?

大河:模型店! ぜったい、模型店! 工房みたいなところがあって、お客さんと一緒にプラモデルを作ったりしたら楽しいんじゃないかな。会話を楽しんだりして。やっぱり人と関わるのが好きなので、模型師ではなく模型店。

――今からでも、できそうな気がします(笑)。

大河:うん、やりましょうか(笑)。ただ、お店に来ていただくのはすごく嬉しいんですけど、がっかりされないといいですよね。「あいつ、こっちが何聞いてもヤスリの話されるんだよ」って(笑)。

――ヤスリ?

大河:僕の場合、プラモデルの作業の8割9割はヤスリですから。好きなんです、ちょっと波打ってる面をきれいにするのが。

――そういう男性がいいという女性もたくさんいると思いますが。

大河:いないいない(笑)。

――プラモデル好きの女の子はいかがですか。

大河:この趣味があるから素敵だなというより、本当に好きなことを持ってる人は素敵だなと思いますね。

――そろそろお時間ですのでまとめに入っていきます。声優という仕事でこれから目指していきたいところはありますか?

大河:頭に戻っちゃうのかもしれないけど、かっこいいことがやりたいです。これはどうしても譲れない。男で生まれて、精神年齢が小5で止まっちゃったので。「ドカーン!ウワー!かっこいいー!」っていうのが、いちばん好き。シンプルなものが好きなんでしょうね。

――挑戦したい役どころは?

大河:なんでもやってみたいです。あれもこれも。「かっこいい」の基準がすごく低いので、大抵のものがかっこいいんです。どんなキャラクターだってかっこいいと思うし、そうなると、なんでも挑戦してみたい。だから、そういうかっこいいことをいっぱいやることが、目指すところですね。それに、声優としてめっちゃ悩んでワーッてなりながら、現場が楽しいなと思えていたら、もうそれは幸せでしかないって思ってますね。

――じゃあ、まさに今は幸せと言えるかもしれない。

大河:もう楽しいんですよ、本当に楽しいんですよ。仕事してる時が今はいちばん楽しいかな。もちろん趣味もいろいろやってはいるけど。

――この場を通じて、ファンに伝えておきたいことをお聞かせください。

大河:僕は紆余曲折あって声のお仕事をしているので、いろんな見方で見られることもあると思うんですけれども、最終的にみんなが納得していただけるというか、楽しんでいただけたらいいなと思いながら、そのために必死に頑張っていかなきゃなと思っています。手放しに応援してくださいとは、僕は性格上言えないので、みなさんに応援していただけるように精一杯頑張っていきます。

【声優図鑑】大河元気さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

大河元気

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◆撮影協力
BC WORLD STUDIO

取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト