今年プロレス界をもっとも沸かせた男・内藤哲也 「1.4東京ドーム」について語る!【前編】

エンタメ

2017/12/1

■内藤哲也(新日本プロレス)インタビュー

 G1クライマックス(新日本プロレスの夏のシングルリーグ戦)で優勝、読者による人気投票『Numberプロレス総選挙』でも堂々の1位。ダ・ヴィンチ本誌の「BOOK OF THE YEAR 2017」でも「今年の顔」に選ばれ、ジャンルの壁を超え、まさに人気実力ともに最強であることを知らしめた内藤哲也選手。そんな彼は来たる「1.4東京ドーム」について、今どんな境地にあるのか。

2017年が特別だったという感じではない
ここ2年くらいにしてきたことの結果が出た

――2017年、最もプロレス界を沸かせたのは間違いなく内藤選手だったと思います。ご自身でこの1年を振り返ってどんなふうに思われますか?

内藤 僕としては2017年が特別だったという感じではないんですよ。2016年に東京スポーツの「プロレス大賞MVP」ももらったりしていましたし。2017年は、僕らのユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下L・I・J)」の勢いもそろそろ止まるだろうみたいなことも言われてはいましたが、僕自身はまだまだいけるなと思っていました。

 G1クライマックスの優勝も自信がありましたし、自分次第ではあったんですが、プロレス総選挙に関してはここ2年くらいにしてきたことの結果が出たのかな、と思います。

 自分の思いや自分のプロレスが、お客様にしっかり届いているな、どんどん浸透しているなというのを感じましたね。周りの目を気にするのをやめて、表現したいものを表現し始めて、それが徐々にお客様に伝わるようになった。その勢いが2017年も続いた、という感じですね。実際、東京に限らず、どの県に行っても、会場のお客様からの「内藤!」という声はどの選手に対してのものより大きく聞こえますし、僕らのユニットや、内藤のグッズを身につけている人がたくさんいらっしゃいます。

――とても忙しくなられたと思うのですが、体調管理などで気をつけていることはありますか?

内藤 やっぱり食事とトレーニングですかね。父親からも「30歳を超えたら、食事は気をつけろよ」って言われました。父親はレスラーでもなんでもないんですが(笑)。僕、少食なので、疲れていると食べなくていいやと思って寝ちゃうんですよ。若手のころはもっと体が小さかったので、どうやったらご飯をたくさん食べられるのかといつも考えていましたね。

――今もご飯をたくさん食べるようにされているんですか?

内藤 今は……蕎麦をよく食べています。好きなので(笑)。

――トレーニングはどのようにされていますか?

内藤 夜中にジムに行くんですよ。1時とか2時くらいに。G1の期間中に、試合で疲れていても夜ジムに行って軽くトレーニングするようにしたら、翌日疲れが残りにくくて体が楽だということに気づいて。今のシリーズ中(Road to POWER STRUGGLE)もそうしていますが、体が動きやすいと感じますね。

L・I・Jで一番僕を焦らせる可能性があるのは……

――今年1年で、L・I・Jのメンバーみなさんにもいろいろ変化があったかと思うのですが、内藤さんから見ていかがですか?

内藤 おそらく一番変化があったのはEVILですよね。僕の活躍に、一番刺激を受けているのもEVIL。10月の両国大会でもメインイベント(※10.9オカダ・カズチカ選手の保持するIWGPヘビー級王座をかけて戦った)でしたし、試合後にもマイクを持って”発信”するようになってきた。現状に満足せずに上を目指しているなというのを、4人の中で一番感じますね。

――今夏の『ダ・ヴィンチ』の座談会でもEVIL選手は「(プロレスを)世間に広めるよりも、まず俺が一番上に立って、新日本プロレスを支配することのほうをずっと考えている」と言っていらして、まさにそれを体現されたなと思いながら見ていました。

内藤 ああ、そう言っていましたね。

――同じくヘビー級のSANADA選手はいかがですか。

内藤 彼はあまり感情をあらわにしないですよね。コメントもほぼしないですし。それがいいのか悪いのか……。彼の心境に変化があるのかないのかは、近くにいてもよくわからない。ただ、そんなSANADAが何かを表現し始めた時に、一体どうなるのか、どんな変化があるのか。そういった部分が一番楽しみな選手ではあります。

――SANADA選手には、プロレスファンやプロレス業界全体からの期待もとても高いですよね。

内藤 高いですね。僕や EVILの活躍に刺激を受けていてほしいなとは思います。L・I・Jのメンバーは、みんなそれぞれが思うように動けばいいとは思っているので、僕から何か言ったりはしませんが。

――BUSHI選手と髙橋ヒロム選手は、ジュニアの中で頭角を現してきたと感じますが。

内藤 ヒロムの個性はすごいですよね。階級は違うんですけど、4人の中で一番僕を焦らせる可能性があるのはヒロムなんじゃないかと思うくらい、彼の個性はすごいです。おそらくBUSHIは、ヒロムにすごく刺激を受けてますね。BUSHIはどちらかというと僕らのユニットのまとめ役なんですよ。でも僕的には、もっと欲を出したBUSHIを見てみたい。ヒロムの登場によって変化してきているのをちょっと感じているので、それが来年あたりにドンと出てくるのではないかと。L・I・Jはユニット内で競い合ってこそいいユニットになるので、どんどん競い合っていきたいですね。

プロレスにとって一番大事な部分に関しては
オカダ・カズチカに負けていない

――内藤さんがかねてから目標の一つだと言ってきた、東京ドーム大会でのメインイベントへの登場が、いよいよ来年の1月4日(イッテンヨン)、オカダ・カズチカ選手とのIWGPヘビー級選手権試合で達成されます。今のお気持ちは?

内藤 2014年にもイッテンヨンで今回と同じカードでメインイベントに出ることが決まっていたのに、ファン投票でセミファイナルに落とされるという経験をしているので……今の時点(11月)では、まだ本当にやれるかどうか、信用してないです(笑)。まあたぶん、大丈夫だと思うんですけど。ドームのメインが夢なんて小さすぎると、オカダにも、お客様にも笑われましたけど、ここまで登り詰めても、僕の夢であることに変わりはないですから。東京ドームの花道、リング上からどんな景色が見えるかが楽しみです。

――10.9両国大会のメイン後、内藤選手がマイクで「(イッテンヨンのメインは)オカダ・カズチカVS内藤哲也でよろしいでしょうか」と4年前を想起させることをおっしゃって大歓声を浴びました。その時はどんなお気持ちでしたか?

内藤 まあ、予想通りの反応でしたね。お客様からそういう反応がくるだろうと思って聞いた部分があるので。4年前にセミファイナルに降格させられたのは、オカダではなくて明らかに内藤のせいでしたから、その内藤があらためてそれを聞いたら大歓声になった……オカダに対して、「俺はここまで上がってきたぞ」という気持ちもありました。

――内藤選手は、オカダ選手のことを「感情移入できないレスラー」だとおっしゃっていますね。そんなオカダ選手との対戦を、東京ドームのメインとしてより魅力的でおもしろい試合にするために、今どんなことを考えていらっしゃいますか?

内藤 僕は感情移入できるレスラーとして、東京ドームに向けてお客様を盛り上げていけますよね。どういう感じで……というのは、今言っちゃったら「そういう感じでやるんだね」と思われてしまうので言えませんが(笑)。じゃあオカダ・カズチカ、あなたはどれだけ盛り上げられるんですか、と。確かにあなたは強いけれど、もっと必要なものがあるんじゃないのと。そういう宿題を課す意味で「感情移入できないレスラー」と言った部分はあります。ただ、オカダとの対戦を盛り上げるというよりは、内藤が盛り上がればそれでいいとも思っていますよ。オカダが盛り上げたいなら、自分で何か作ればいい。「おもしろい試合」にするのが大事なんじゃなくて、東京ドームのメインで僕が「勝つ」ことが一番重要なことなので。

――なるほど……確かに「勝つこと」こそが重要ですよね。

内藤 正直、現時点ではオカダのことは見ていないんですよ。花道を歩くことと、試合に勝った後に、お客様と大合唱することだけに視線が向いている。オカダには、僕がオカダに視線を向けざるを得なくなるくらい、焦らせてほしいなと思いますね。

――観客が感情移入してしまうレスラーとはどんなレスラーなのでしょう。

内藤 どうやって感情移入させるか、ですよね。狙ってできるものではないかなあと思いますけどね。僕の場合でいうと、本音をさらけ出せるようになったからですよね。周りの目を気にして「本当はこう思っているけど、今はこう言ったほうがいいかな」というような選択をしていたんですけど、思っているまんま、やりたいまんまをストレートに表現するようになったら、僕の思いが皆様に届くようになった。それと、僕にあってオカダにないのは、レスラーとしての浮き沈みですね。オカダはどんどん上がって行くしかなかった。レスラーにとってはそれがベストだと思います。別に沈む必要はないし、僕も望んで沈んだわけではないので。でも感情移入できるかどうかという意味では、それは大きいかもしれない。実績も含めてオカダは素晴らしい選手です。でもお客様に感情移入していただくという、プロレスにとって一番大事な部分に関しては、僕は負けていない。そのあたりの差が、リングで向き合った時に出てくるんじゃないかと思っています。

インタビュー後半は、12月2日(土)公開

取材・文:門倉紫麻  写真:江森康之