「沢城千春」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑+】

アニメ

公開日:2018/1/5

沢城千春

 編集部が注目する声優に、仕事に向き合う気持ちからプライベートまでをじっくり伺い、撮り下ろしのミニグラビアを交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。【声優図鑑+(プラス)】では、これまでに「声優図鑑」を飾ってきた声優たちが2度目の登場! 前回を振り返りつつ、成長したことや新たな目標をインタビューし、今の素顔に迫ります。

第1回となる今回は、2014年4月に「声優図鑑」に登場し、最近では「A3!」の摂津万里役、「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」の滝丸アルト役、「TSUKIPRO THE ANIMATION」の七瀬望役などを演じている沢城千春さんです。

――2017年に入ってから、アニメ作品への出演が一気に増えていますね。今までやってきたことが実になっているという実感はありますか?

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沢城:実感はありますね。でも、まだ楽しめるところまではいってないかな。目の前の仕事をこなすことにいっぱいいっぱいですね。

――作品数が増えているから、それぞれを精一杯こなすことが大変ということ?

沢城:僕は準備に時間がかかるほうなので。おかげさまで作品が増えて、まだ余裕があるはずなんですけど、自分で自分を忙しくしてるのかもしれません。アフレコ前に、台本を何度も何度も読むんですよ。現場で漢字が読めないとか、ストーリーが理解できていないのはプロとして許されないじゃないですか。自分の中でOKラインが出るまで練習するんですけど、どれが正解なのかわからなくて、気づいたときには前日の深夜になっていることもあります。

――思いつくだけの準備をすべてやっていくと。今、声優として課題になっていることは?

沢城:理想の芝居をするための技術がまだまだ足りないと思うんですよ。自分がイメージしているお芝居と、アウトプットしたものが一致しないというか。どうしたら自分が考えている通りの芝居ができるのか、それをいつも模索しています。作品としては成立しているので、自分の理想を追い求めるなんて自己満足かもしれないけど、それができるようになれば、もっといいお芝居を皆様にお届けできるんじゃないかなと思うんですよね。

――最近の作品についても伺っていきますが、本当に振り幅が広いですよね。「遊☆戯☆王VRAINS(ヴレインズ)」の島直樹役は、ご自身のビジュアルとはまったく違うイメージ。そういう意味で、声を出すときの難しさはありますか?

沢城:島くんって、とっちゃん坊やみたいな少年なんですよ (笑)。他の作品でイケメンキャラを演じさせていただくことが多いので、それとはまったく違う声が出ていると思います。苦戦しましたけど、この役を演じることで新しい扉が開いたというか、自分の幅が広がった気がします。

――「ラブ米-We LOVE RICE-」のささにしき役は、どちらかというとクールなキャラ。パロディが多いコメディタッチの作品で、現場ではベテラン陣によるアドリブも多かったそうですね。

沢城:杉田智和さんや津田健次郎さんの演技を拝見していると、技術があるからこそ、自分の殻を破れるのかなと思いました。ここまでやってもいいんだ!と。小手先ではなく、自分の声をしっかり生かしながらキャラクターに寄せていくというか。

――そういった演技やアドリブによって、そのチームにしか作れない作品が出来上がっていくという。

沢城:僕ももともと舞台をやっていたので、ヨーイスタートで芝居を始めて、みんなでバトンを受け渡しながら、生のお芝居が生まれてくっていうのは、やっぱり楽しいですね。

――「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」では、滝丸アルト役を。以前から出演していた作品がアニメ化されて、うれしかったですか?

沢城:本当にうれしかったです! 声優を始めたばかりの頃から演じさせていただいて、初めてキャラソンを歌わせていただいた役でもあるので、育てていただいたっていう意識があるんですよね。歌ったりドラマCDで演じているうちに、どんどん役への理解が深まっていくのも楽しくて。

――もともと感情を表に出すことが少ないキャラクターですけど、役への理解が深まると、お芝居も変わってきた?

沢城:最初はクールなイメージが強かったけど、役の内面がわかってきてからは、ボソボソという感じの喋り方は変わらないとしても、より感情を入れられるようになりました。

――10月から放送されていた「TSUKIPRO THE ANIMATION」(七瀬望役)もまた、以前から出演している作品のアニメ化です。

沢城:そうなんですよ! この作品は、初めてドラマCDに出演させていただいた思い出が。「MARGINAL#4」とあわせて、思い入れが強いですね。最初のドラマCDのとき、まだ舞台でしか演技をやったことがなくて、「沢城さんだけ、宿題でお願いします」ってアフレコから帰されたんですよ。そのときが11月で、次の収録が1か月後だったから、そのまま年をまたいで…(笑)。

――次までの時間が長い分、悶々としそうですね…。

沢城:しましたね(笑)。先輩たちがいろいろ教えてくれる舞台の稽古とは違って、声優の仕事は誰も教えてくれないから、自分で役作りをしていくしかなくて。お正月なのに初詣っていう気分でもなく、毎日台本とにらめっこしていました。でも、その1か月間があったからこそ自分の中に広がりができて、この作品には感謝しています。

――アニメには4つのユニットが登場していますが、それぞれの主題歌CDが4週連続で発売されます。七瀬望が所属するSOARAが歌う主題歌「エリアル -ALIEL-」はどんな曲?

沢城:SOARAは夢を追いかけて活動している高校生バンドで、「エリアル -ALIEL-」はそんな彼ららしい、夢に向かって走り出すような爽快感がある曲。これから夢に向けて一歩踏み出そうとしている人の背中を押すような曲ですね。自分でいいのかな…って自信が持てない人にも聴いてほしいです。

――歌うときに、キャラクターを演じながら、歌詞を意識するのは大変じゃないですか?

沢城:じつは、この曲を歌ったときに、気持ちを意識すると声まで変わってくるんだなってことに気づいたんですよね。気持ちを変えるだけで、出てくる音が変わるというか。

――なるほど。「A3!」の摂津万里役も、すごく人気のキャラクターです! ひとクセある演技や歌が話題になっていますが、これはどんなところから生まれたんですか?

沢城:すごく丁寧に、時間をかけて収録していただきました。その結果、自分の最初のイメージとは違っていましたが「すごくいい!」という声に仕上がっていて。自分のイメージを固めすぎるべきではないんだなと、摂津万里には教えてもらいました。

――クセになりすぎて中毒になると言われている、摂津万里のソロ曲「スーパーウルトライージーモード」も、そんな役作りの中から生まれた?

沢城:これは、武内駿輔くんとデュエットを歌うことになったとき、武内くんはすごく歌がうまいし声もいいので、自分自身、キャラクターソングとして臨むだけじゃない意気込みで歌いました。

――タイプの異なるキャラクターをたくさん演じていますが、その中で得意とする役柄ってあるんですか?

沢城:摂津万里みたいな役は、自分としては演じやすかったですね。普段から「喋り方が気だるそう」って言われるので、良くも悪くも(笑)、そういう自分らしい雰囲気が出せた役なんじゃないかと思います。

――さて、「声優図鑑」2度目の登場!というテーマに沿って、プライベートについても伺います。3年半前から変わっていることも多いと思うんですよ。

沢城:そうですね…。お仕事以外という意味では、3年半前は、アルバイトで「声優図鑑」のスタッフをやってました。仕事がまだ多くなかったから。カメラマンさんが外に撮影に行くときの車番として、車のいちばん後ろの席に座って、そこでは何をしてもいいと言われていたので、magic tone studio (「声優図鑑」の取材が行われている音楽スタジオ)に置いてあるギターを借りて、「チハ生」(不定期配信されているニコ生放送)で披露する曲の練習したり、曲を作ったりしてましたね。

――そんなこともありましたね。写真を見ると、ファッションもずいぶん変わってます。

沢城:あの頃はスキニーパンツをよく履いていました。でも最近はスキニーを履くことはないかな。流行りもありますけど、太いタイプのパンツが多いです。当時も本当は、ジーパンとTシャツに、キャップを後ろにかぶって、スケボーとか持って撮影したいと思ってたくらい(笑)。でもやっぱり、その職業に合った服装ってありますよね。

――今はミュージシャンっぽい格好というか。

沢城:収録のときは違いますけど、普段はボロボロのジーパンにTシャツとか。地元の友だちがヒップホップをやっていたり、「チハ生」でバンドマンに囲まれてたりするので、影響を受けてるかもしれません。

――気になったんですが、右手の爪は伸ばしているんですか?

沢城:伸ばし始めました! じつは、この3年のうちにオーイシマサヨシさんと仲良くなりまして。オーイシさんのギターってすごいじゃないですか。練習の仕方を聞いたときに、ピックを使わないで爪でつまびく奏法を教わったんです。難しいんですけどね。ギターを弾いてると、弦が鉄だから爪がどんどん削れていっちゃうんですよ。だから、それを保護するために。オーイシさんからグラスネイルっていうマニキュアがいいよと教えていただきました。

――家で、夜な夜なマニキュアを塗ったりしているわけですね(笑)。

沢城:塗ってますね(笑)。一週間に1度くらい。

――ずっと続けているギターにも変化があったと。前回、「けっこうドジな一面を持っている」という話も伺いましたが、最近は?

沢城:この前、ケータイを役所に忘れて、取りに行ったことがありました。しかも、その帰りにお店に寄ったとき、またケータイがないことに気づいて! お店に実家の電話番号を教えたりして散々探したのですが、帰りにカバンの中を見たら、そこに入ってました(笑)。そしたらその日、家に帰って友だちの車に乗ったら、またケータイがなくて。今度は家に忘れてました(笑)。

――それは間違いなくドジっ子エピソードですね(笑)。

沢城:この日は不思議なくらい。普段はそんなことないんですけど(笑)。

――音楽好きの沢城さんが、最近気になっている音楽は?

沢城:小倉唯さんの「エンジョイ!」という曲です。友だちが「ダンスがすごい!」と話していて、そのダンスを見たときに、曲がとても良くて。

――さっきからちょこちょこ話に出てくる、ニコニコ生放送「チハ生」についても。長く続いている番組ですが、最近はイベントを開催するほどの人気ぶりです。

沢城:最初は、SEPTALUCKっていうバンドのフィンさんと出会い、意気投合して一緒に何かできたらいいねと。そんな話から、この番組ができたんですよ。それから、どんどんメンバーが増えていって、ELLEGARDENの高田メタルさんまで参加してくださるようになって。今はこの4人で活動していて、月に1回くらい番組を更新してますね。

――番組内では曲を披露していて、タワレコのインストアイベントも!

沢城:CDも出していないのに、このイベントのためにポスターを作りました(笑)。最近は自分たちでデザインした缶バッジとか、グッズも売っているんですよ。個人で活動しているから、何をやるのも自由だし、グッズひとつ喜んでもらえただけで本当にうれしいです。これからは、オリジナルのCDを作って、大きいステージでライブをすることが目標です。

――「チハ生」も、とてもいい方向に向かっているんですね。声優を始めてから「やっててよかった!」と思うことは?

沢城:以前、舞台をしているときに、照明の方のお子さんが遊びに来ていたのですが、その子が高校生になって、僕のファンになってくれたこと!そんな風に自分のことを知ってもらえるのはうれしいし、以前からずっと関わりたいと思っていた、「遊☆戯☆王」みたいに、自分が小さいときに見ていたような子ども向けのアニメにも出られて。声優って、子どもたちに夢を提供できる仕事だと思うんですよ。近所で仲良しの家族の子どもから「見てるよ!」と言われると、やっててよかったな〜って思います。

――最後に、沢城さんを応援している方々にメッセージを。

沢城:前回はここで「みなさんに笑顔を届けられるように頑張りたい」と言ってたんですよね。今では、みなさんの笑顔が僕のエネルギーになってます。本当に感謝しています。これからも応援してもらえたら、うれしく思います。よろしくお願いいたします!

【声優図鑑+】沢城千春さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑+」をお楽しみに!

沢城千春

「沢城千春」声優インタビュー&撮り下ろしグラビア【声優図鑑】(2014/4/11)

沢城千春(さわしろ ちはる) オブジェクト所属

沢城千春 Twitter

◆撮影協力
magic tone studio

取材・文=吉田有希、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト