歌もお芝居も、どっちも大好き! すべてを詰め込んだ1stシングルを語る――鈴木みのりインタビュー

アニメ・マンガ

2018/1/23

 まさに、待望のソロデビューである。『マクロスΔ』のフレイア・ヴィオン役、そして戦術音楽ユニット「ワルキューレ」のエース・ボーカルのひとりとして活躍を繰り広げてきた声優、鈴木みのり。自身名義での1stシングルで、現在放送中のTVアニメ『ラーメン大好き小泉さん』のオープニング主題歌でもある『FEELING AROUND』(1月24日リリース)は、本人も「わたしにとってこれ以上ない、最高なデビューシングル」と語る通り、「鈴木みのりらしさ」が存分に詰まった1枚になっている。表現の世界に飛び込んでから、およそ2年。昨年10月には20歳という節目を迎えた彼女を動かすのは、「歌もお芝居も、どっちも大好き!」という純粋かつ強靭な想いだ。大切なものを両手いっぱいに抱えながら進む鈴木みのりの未来には、きっとたくさんの忘れられない出会いが待っている。今後の躍進が楽しみな歌い手の登場だ。

自分の武器は、印象に残る笑顔だと思っています

――まずは、初めて自身の名前で出すシングルが完成した今感じていることを教えてください。

鈴木:最初は、「みのりちゃんは何を歌ってもフレイアだよね」って思われることが、少し怖かったんです。でも、音楽って人それぞれが楽しむものだから、わたしの曲を通してキャラクターを感じてもらうのも、声優が歌手活動をすることの醍醐味のひとつなのかなって、今は思っていて。1stシングルを作っているときにそれを感じるようになってきて、皆さんの楽しみ方を早く知りたいし、それがすごく楽しみです。

――もともと、「自分の名義で歌を歌いたい」っていう想いはずっとあったと思うんですけど、実際そうなったときにどんな表現者になりたい、とイメージしましたか。

鈴木:やっぱり、わたしは坂本真綾さんが大好きだったので、「真綾さんのように」とか、「誰々のように」っていう思いが強かったです。その上で、「できればこういう歌を歌いたいなあ」というイメージがあったんですけど、デビューして、いろいろな活動をやらせていただいているうちに、「自分がいいと思ったことだけが自分のすべてじゃないんだな」って、すごく感じて。今は、まわりの方が「みのりちゃん、これもやってみたら面白いんじゃない?」って言ってくださることに挑戦していきたいし、皆さんが与えてくださったものを通して新しい自分を発見していくことが目標であり、なりたいアーティスト像です。今はまだ、「こういうふうに」って決めないほうがいいのかなって思っていて。自分にとって大事なのは、「歌とお芝居が大好き!」っていう気持ちと、歌を通して自分の楽しい気持ちを歌っていることで、聴いてくれる人に笑顔になってもらいたいです。自分の武器は印象に残る笑顔だと思っているので、それをずっと忘れずに、皆さんに向けて表現を届けていけたらいいな、と思います。

――自分の武器に気づいたのって、いつ頃だったんですか?

鈴木:昔から、「みのりちゃんの笑顔はすごく印象に残るし、元気をもらえる」って言っていただくことが多くて。高校生のときに、声優の養成所みたいなところに1年間通ってたんですけど、そのときの先生も「笑顔が武器だし、楽しんでやってることがすごく伝わってくるから、その楽しさを忘れちゃいけないよ」って言ってくださって。(『マクロスΔ』の)歌姫オーディション以外にもいろいろ受けたりして、「自分の売りは笑顔です」とか「表現することが大好きで楽しいです」ってアピールして落ちてしまったこともあったので、「楽しいだけじゃダメなのかな」って悩んだときもあったんですけど、歌姫オーディションのときに「自分の武器は笑顔と楽しむことだ!」って思って挑んだら、フレイアとマッチングすることができて。「わたしはわたしらしくいればいいんだ」って強く思えたので、自分の武器は笑顔なのかなって思うようになりました。

――“FEELING AROUND”は、前のめりな感じが新鮮でもあり、初々しいところもありつつ、「歌いたい!」という気持ちが飛び出してきたような曲だなあ、と思います。レコーディングのときは、どんなことをポイントにしたんでしょうか。

鈴木:やっぱり、最初に曲を聴いたときは「ラーメンだあ」っていう気持ちで(笑)。「ラーメンだなあ」っていうことと、歌詞が自分自身の思いにもつながるな、と思いました。アニメ作品のタイアップなので、一番は『ラーメン大好き小泉さん』の小泉さんのことを思って歌ったんですけど、歌詞と自分の心情がマッチしているところもあって、小泉さんのことを頭に置きつつも、自分らしく歌えたなって思います。

――まさに今言ってくれたとおり、歌とか音楽に対して感じている気持ちが託せる歌詞なんだろうな、と思ったし、だからこそ気持ちよく歌えたんじゃないですか。

鈴木:そうですね。好きなものへの強い思いが歌詞に出ていて、小泉さんだったらラーメンだけど、わたしにとってはそれが歌だったりお芝居だったりするので、両方の気持ちを混ぜて、明るく前向きに、楽しく歌えたなって思います。最初は「ラーメンの曲かあ。どうなるんだろう?」って思ってたんですけど(笑)、完成してみると、MVやジャケットも全部含めて、わたしにとってこれ以上ない、最高のデビューシングルだなあってすごく思います。食べることが好きだし、歌うことも大好きだし、好きなものと自分が今まで感じていた自分の武器がすごく詰まっているし、わたしらしいところも全部詰まっているので、「これが鈴木みのりです」っていうご挨拶としても、これしかないっていう1枚になったなって思います。

フレイアが歌に対して思っていることと、わたしが歌とお芝居に対して思ってることは、いつまでも一緒じゃないといけないなって思う

――ここで、ワルキューレとしての経験の話も聞いてみたいと思います。これから劇場版やライブもあって、活動は続いているけど、TVアニメの収録からは1年以上経ってるじゃないですか。ワルキューレとして活動してきた時間が、今の自分に与えてくれた一番大きなことって何だと感じていますか。

鈴木:ワルキューレもそうですし、『マクロスΔ』全体もそうですけど、先輩たちの立ち居振る舞いを見て、「こういうときはこうしたほうがいいんだな」っていうことを学んだりしました。『Δ』の収録が終わったときに小清水(亜美、美雲・ギンヌメール役)さんに「みのちゃんは今のままでいてね」って言われたことが印象に残っていて、そのときは「今のままってどういうことだろう」って考えていたんですけど、TVアニメの収録が終わってからいろんな作品や他の現場に行ったりして、歌とお芝居をすることがある意味当たり前の状況になってきて。それってすごく幸せなことだけど、最初の気持ちを忘れそうになってしまうこともあるのかなって思って。わたしは、お仕事として歌とお芝居をやっているわけではなくて――もちろんお仕事としてやるって思うことも大事だとは思うんですけど――楽しむことと、「大好きだからやってるんだって一番に思ってなきゃいけないんだな」っていうことを、ワルキューレや『Δ』と少し離れてみたことで、改めて感じて。それは、結果的に今回のソロにも活かせる部分もありました。

――『マクロスΔ』が動き始めた頃の約2年前に話を聞いたときに、ひとつ印象的なことがあって。『Δ』の先のことをすごく考えているんだなって思ったんですよ。つまり、今やっていることを大事しつつ、その経験だったり、作品やキャラクターから受け取ったものも全部持っていく、連れていくんだよっていう気持ちをすごく大事にしてる人なのかなあ、と思ってたんですけども。

鈴木:そうですね、それはすごくあります。『Δ』のTVアニメが終わって1年経って、今でも「自分にとってフレイアってなんだろう?」ってすごく考えたりするんですけど、これからいろんな作品に出会っていきたいし、いろんなキャラクターに出会っていきたいし、今も出会う機会があって。やっぱりフレイアが一番ではあるんですけど、でもどのキャラクターも一番だなって思います。わたしはフレイアにピッタリだったっていうことでこの世界に入って、今思い返せばフレイアと似てない部分もあるのかなって思うし、自分も2年経って変わった部分はあると思うんですけど、でもやっぱりフレイアを演じているとお芝居が好きだし楽しい、歌が好きだし楽しいって思うし、フレイアもそう感じながら日々を生きていると思うんです。だから、フレイアが感じていたような気持ちを自分が忘れてしまったら、初心を忘れたことにもつながるんじゃないかなって今は思っていて。フレイアが歌に対して思っていることと、わたしが歌とお芝居に対して思ってることはいつまでも一緒じゃないといけないなって、最近はすごく思ってます。

――全部自分の中に残していくっていうことですよね。だから、今まで経験してきたすべてのことが、必然的に歌に入っていくことになる、というか。

鈴木:そうですね、そうありたいなって思います。大好きな真綾さんが、「すべてが今につながっている」っておっしゃっていたことがあって。わたしもオーディションの前日に、「今まで頑張ってきたことを全部つなげて歌姫になりたい」って思ったし、今も、「この経験が未来につながるように、今頑張ろう」って思っていて。やってきたことを全部何かにつなげていきたいので、ワルキューレとして活動してきたことも、他の作品を通して活動してきたことも、全部自分の歌に入ってたらいいなあって思います。これから、「こういう役に挑戦してみたいな」っていうイメージもいっぱいあるので、役者としても、歌手としても、次へ次へといろんな挑戦ができるようになりたいなって思います。

――今回のシングルに収録された“20才の約束”では作詞にもチャレンジしてますけど、この歌詞を書いたことで自分のことがわかったというか、整理された部分があるんじゃないかな、と思います。「これまで」と「これから」を、とても素直に言葉にできたんじゃないですか。

鈴木:はい。最初は、「せっかく二十歳という節目なんだから、今の自分が未来の自分にできる約束をしたらどうかな」ってプロデューサーさんに言われて、それはすごく素敵なことだなって思って。『マクロスΔ』やワルキューレを通して学んだことや、他の作品を通して思ったこと、あとは、ワルキューレの活動に一旦区切りがついて、触れてる作品が何もなかったときに感じた焦りや不安を覚えておきたかったので、その全部を書きたいって思いました。この2年間で感じたことと、声優になる前にいろんなライブを観て感じたことをメモしていたものがあって、それも全部含めて、今までの自分が思うことをまとめたいな、と思って書きました。自分は声優としてまだまだこれからなのに、歌手としての活動も始めてしまって、「いいのかな?」って悩んだりもしたんですけど、やっぱりどっちも同じくらい好きだから、「同じスタートでいいじゃん」って思って。自分はどっちも好きなんだ、っていう気持ちを信じようって思います。

――今後、ひとりでステージに立つこともあると思うんですけど、鈴木みのりとして歌を届ける自分を、どのようにイメージしてますか。

鈴木:声優になる前からいろんなライブを見てきて、「わたしだったらこうしたいな」っていうイメージがあるので、それを爆発させたいです(笑)。あとは、『マクロスΔ』や他の作品でも歌う機会があって、海外でも日本でも歌わせていただいたことで、ライブは自分だけで作るのではなくて、お客さんが雰囲気を作ってくださるからわたしも歌に気持ちが入るし、もっと盛り上がれるんだなって感じていて。だから、わたしにも「この歌はこう歌いたい」っていう気持ちはもちろんありつつ、お客さんが一緒に作ってくれたら嬉しいなあって思いますし、それがすごく楽しみです。

――では最後に。『マクロスΔ』で、フレイア・ヴィオンは「歌は元気!」と言ってました。鈴木みのりにとって、歌とはなんですか?

鈴木:なんだろう……自分が感じたことをそのまま歌に出しているので、「歌はわたし」です(笑)。

取材・文=清水大輔 撮影=小野啓
スタイリング=新 朋子 ヘアメイク=板津勝久