「RiEMUSiC」の飽くなき探求は続く――村川梨衣インタビュー

エンタメ

2019/2/19

 声優・村川梨衣の、約9ヶ月ぶりとなる6枚目のシングル、『はじまりの場所』(2月20日リリース)。TVアニメ『ピアノの森』第2シリーズのエンディングテーマである表題曲は、一聴しただけで作品を代表する森のイメージがクリアに浮かび上がってくる、村川梨衣の豊かな表現力が披露された1曲となっている。インタビューで本人が語っている「いい意味でいつもどおり」「自分のペースで」という言葉は象徴的だが、音楽活動を始めた当初から自らの音楽を「RiEMUSiC」と称し、飽くなき探求心を抱えながら我が道を進んできた表現者・村川梨衣にとって、この曲はひとつの大きな成果なのではないか――“はじまりの場所”を聴いて、そんなことを思った。楽曲への想いや、今の自身の歌に感じることについて、「りえしょん節」を交えながら語ってもらった。

TVアニメ『ピアノの森』のエンディングに起用していただいたことが、すごく嬉しかった

――6枚目のシングル“はじまりの場所”を聴きました。名曲が誕生しましたね。何度も聴いてるうちにちょっとジワッときちゃう、みたいな(笑)。

村川:ありがとうございます(笑)。心に染み渡っちゃったってことですね? よかった、よかった。

――村川さん自身としては、どんな曲になったと感じていますか。

村川:今回はタイアップ曲で、もちろん毎回作品に寄り添った楽曲ではあるんですけど、“はじまりの場所”は曲として爽やかだし、壮大さもあるし、でもちゃんと熱さもあって。作品が第2シリーズに入って、物語も佳境に入ってどんどん盛り上がっていくので、本編の余韻がありつつ、エンディング曲として作品を盛り上げられるような感じの曲にしたい、という意図があるとお話を伺って。歌詞もお洒落で、サウンドと合わさることでよりスーッと皆さんの心に届くものになっているんじゃないかな、と思います。

――今、話してくれたように、サビに向けて大きな展開をしていく曲ではあるけれども、楽器がたくさん鳴っている曲ではなくて、わりと編成がシンプルですよね。歌う側としても、非常にやりがいのある曲だったのでは、と想像していたんですけども。

村川:そうですね。でもそんなに気負いすることもなく、いい意味でいつもどおり臨むだけだって思いながらやっていました。

――いつもどおりとは?

村川:気負ったりせず、もちろん気合いはありますけど、それと曲とはつなげず、自分のペースで、というところですかね。ちなみに今回のMVは、森のインサートとかを入れてもらうようにして、よりイメージが重なるようなものに仕上げていただきました。

――なるほど。森のイメージは、『ピアノの森』をアニメで観たことがある、マンガで読んだことがある、あるいはこの曲を聴いた人すべてに共有できるものかもしれないですね。

村川:そうですね、ちゃんと共有できると思います。

――『ピアノの森』と聞くと、森があって日が差している場所に、ピアノがドーンと置かれているビジュアルイメージを浮かべるじゃないですか。そのイメージが、歌う人にも聴く人にも意識の中で共有されていて、それが合致しているから、聴いていて気持ちのいい曲になるのかな、と。

村川:確かに、それはそうですね。よかった~(笑)。

――ちなみに、『ピアノの森』には声優としては出てないんですよね。

村川:一切出ておりません(笑)。どんな役でも、なんとか出られないかなあ、と思ってます(笑)。

――(笑)声優としては関わっていない中で主題歌を担当することになったときに、『ピアノの森』という作品について、どんなイメージを持って楽曲に臨んだんですか。

村川:大きなテーマとしては、やっぱり主人公のカイくんの成長があると思います。心も、外見的にも成長していきますけど、内面的な心理描写がとても丁寧な作品だなあ、と思っていて。そういう繊細な表現が観ている人の心を動かすんだなっていうことが伝わってくるというか。だからこそ、わたしは今回『ピアノの森』のエンディングに起用していただいたことが、すごく嬉しかったんですよね。もちろん、今まで関わってきた作品はどれも素晴らしい作品なんですけれども、『ピアノの森』のように心の繊細な部分を描いていて、人の心を動かせるような作品に、いちアーティストとして関われることがとても光栄だったし、ほんとに嬉しかったです。

――だけれども、あくまで臨み方はいつもどおりで。

村川:はい。変な気合いを入れない、ということですね。やっぱり、今までの村川梨衣の曲を知ってくださっている方に聴いていただくのであれば、その村川梨衣でいなければ意味がないというか。だからこそわたしは、いつもどおりでいる必要があるな、と思いました。

――自身を俯瞰した視点から見てもらったとして、「いつもどおりのアーティスト・村川梨衣」はどういう姿をしているんですか。

村川:う~ん、なんなんだろう……まあでも、よく形容していただくのは……でもちょっと恥ずかしいな(笑)。わたしが思っているわけじゃなくて、形容してもらってる言葉を借りると、歌声に芯があって、透明感があって、それでいて伸びやか、みたいな。かわいさもありカッコよさも秘めている、というようなことを言っていただくことが多いなって、ここ最近は実感します、「ああ、そうだったんだな」って思って――自覚はなかったんですけど(笑)

――では、実際に自身の歌の強みって何だと思います?

村川:やはり……表現力……ですかね?(笑)。もともと、わたしが持っていたポテンシャルかもしれないですけど(笑)。でも、そうですね……何かを持ってるな、とは思ってました(笑)。

――(笑)そういう星のもとに生まれちゃった?

村川:その星のもとに生まれちゃってるなっていうのはありましたね。そういう自覚はありました、はい。

――たぶんその自覚って、音楽活動を始めた頃からあったんじゃないですか。1stシングルの時点で「RiEMUSiC」を提唱してるわけで、それって自覚的な行動・言動ですよね。

村川:ははは。まあ、あったと思います。無自覚な自覚というか。

探求心は尽きないです

――2018年の2月に2ndアルバムの『RiESiNFONiA』をリリースして、当時「純度が高いものができた」っていう話をしてたじゃないですか。その後のワンマンライブを経て、2ndアルバムについてどのように総括しているんでしょうか。

村川:探求心は尽きないです。2ndに限らず、1stアルバムを振り返ってみても、別のアプローチの仕方や可能性を見いだしたくなっちゃうし。だからこそ、それを次に活かせたらいいなって思います。

――4月には、初のオーケストラコンサートも予定されていますね。

村川:オーケストラの主催の方が、1st、2ndとわたしのライブを観に来ていただいていて、やりたいって言ってくださったみたいで。そんなふうに言っていただけるだなんてとても光栄なことだと、とても嬉しかったです。まだどんな感じになるかはわからないのですが、1st、2ndライブとは、編成的にも雰囲気的にも、だいぶ違うものになることだけは間違いないです。とにかく、皆さんに楽しんでもらえるような空間にしたいですね。オーケストラの皆さまがいらっしゃるので、間違いなく満足していただけると思います。わたし自身も、楽曲をオーケストラバージョンで聴けるのが楽しみです。

――では最後に。1stシングルの頃から提唱しているRiEMUSiCという概念は今も続いていて、これからもどんどん進化していってほしいと思うんですけど、今はどんなビジョンが見えていますか。

村川:そうですね、ゆくゆくはいちジャンルにできたらいいなっていう思いは今も変わらないんですけど、そのためにはいろいろと頑張らないといけないなって思います。やっぱり、自分ひとりでは成し得ないことで、皆さんの協力や応援がなければ成り立たないと思うので、引き続き皆さんにたくさん応援していただきたいです(笑)。今までも応援してくださってる方には「いつもありがとうございます」って思っていますし、まだわたしの曲を知らない方々にも届くといいなあ、と思うので、そういう方々からも応援していただけるように頑張りたいなって思います。

取材・文=清水大輔