椎名桔平「このドラマが、生命というものを深く考えるきっかけになればいいと思います」

あの人と本の話 and more

2019/6/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりの一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、主演ドラマ『神の手』がまもなく放送を開始する椎名桔平さん。選んでくださった本『仮面と生きた男』やドラマで演じた役柄・医師について聞いた。

椎名桔平さん
椎名桔平
しいな・きっぺい●1964年、三重県生まれ。93年の映画『ヌードの夜』で注目を集め、2016年には『Darc』でハリウッド映画デビュー。近年の主な出演作に、映画『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』『アウトサイダー』、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』など。
スタイリスト:中川原寛(CaNN) ヘアメイク:知野香那子

『仮面と生きた男』は、昭和40年代の特撮ブームの金字塔『仮面の忍者 赤影』で、ヒーロー赤影を演じた俳優・坂口祐三郎がモデルとなっている。30年以上役者として第一線を走ってきた椎名さんは、この一人の俳優の物語をどう感じたのか。

「僕は『赤影』みたいな代表作はもちろんないから、坂口さんとは全然状況が違いますよね。でもやはり、自分だったらどうだったかなとは思いました。ただ僕は、結局楽天的なんです。ナイーブというか細かいことに悩んだりするんだけど、次の日には忘れちゃう(笑)。経験の積み重ねは役者にとって非常に大事なので、それも長続きの秘訣かもしれません」

『連続ドラマW 神の手』で演じる外科医・人物の人間像を作り上げるにあたっては、椎名さん自身がよく知っているお医者さんが念頭にあったという。

「医師として、人間として、すごく魅力的な方なんです。医療に真剣に従事して学ぶことを続けているからこそ、日常の道楽なんかは頭の中から消えてしまっている。だから医療現場以外のところでは、ちょっと頼りなかったりするんですよね。でも人の生死につねに向き合っている、人間的な強さを感じます。そのイメージを白川に重ねました」

 このドラマは、安楽死という終末期医療における究極的な問いを題材にしているが、それに対して明確な答えを出すことがテーマではない、と椎名さんは語る。

「むしろ観てくださる方、みなさんに答えを探していただきたい。考えていただくきっかけになればいいと思います。僕自身、いつか必ず終わる生命というものについて考えることが、これまで幾度もありました。長年飼っていた犬を亡くしたり、役者の大切な先輩とお別れしたり、それが白川という人間を演じて、物語の世界を疑似体験して、さらに深く考えるようになった。このドラマは、そんなふうに大切なものを投げかけてくれる作品だと思います」

(取材・文:松井美緒 写真:江森康之)

 

『連続ドラマW 神の手』

『連続ドラマW 神の手』

原作:久坂部 羊『神の手』(幻冬舎文庫) 監督:兼重 淳 出演:椎名桔平、杉本哲太、鈴木砂羽、北村有起哉、星野真里、近藤正臣ほか WOWOWプライムにて 6月23日より毎週日曜22時放送(第1話無料放送) 
●外科医の白川は、21歳のがん患者・章太郎を診ていた。堪え難い痛みに苦しむ彼に付き添う伯母の晶子は、白川に安楽死の処置を懇願する。やがて白川は、安楽死法案をめぐる医学界や政界の激流にのみ込まれていく。