知っておきたい性感染症「淋病」のこと

健康・美容

公開日:2019/8/28

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

 淋菌という細菌が、子宮の出口や尿道に感染して起こる性感染症です。感染のほとんどが性行為によって起こるもので、性行為以外の感染経路は非常にまれです。性器だけではなく、オーラルセックスによって喉の奥に感染することもあります。

 クラミジア感染症に次いで頻度の高い性感染症ですが、クラミジアは女性に多いのに対して、淋菌感染症は男性に多くみられます。男性は、排尿時の痛みや尿道口からの排膿など比較的症状が出やすいのですが、女性はほとんど症状が出ないため感染に気付きにくいという特徴があります。女性の場合、症状が出るとしたら、濁った色のおりものが増える・おりものの臭いが強くなる・おりものに出血が混ざるなどです。感染がお腹の中まで広がると、腹痛や発熱などの強い症状が出たり、炎症が原因で卵管の通りが悪くなってしまい将来の不妊リスクになることもあります。咽頭感染の場合もほとんど自覚症状はなく、風邪のようなのどの痛みや違和感などが出ることもあります。

 検査の方法は、男性の場合は尿検査、女性の場合は子宮の出口の粘液をこすり取る検査になります。咽頭感染を調べたい場合は、のどの奥を綿棒でこするか、うがい液による検査になります。検査で陽性が出た場合は、必ずパートナーの治療も必要です。

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 治療方法は、基本的には抗菌薬の点滴か筋肉注射です。内服薬もまったく効果がないわけではありませんが「耐性菌」といって薬が効かないタイプの淋菌が増えてきており、内服薬では十分な効果が得られるものがほとんどなくなってきているのが現状です。内服薬で中途半端な治療を行うと、かえって治りにくくなったり、感染を広げてしまうことになります。適切な治療をきちんと受けて、治療後3週間後以降に、きちんと治っているかどうかの再検査を受けるようにしましょう。また、お互いが完治を確認するまでは性行為は絶対に控える必要があります。

 性感染症は、性行為のパートナーを1人に絞る・毎回コンドームを正しく使うといったセーファーセックスを心がけることによってリスクを低くすることはできますが、完全にゼロにすることはできません。早期発見のためにも、パートナーが変わったり少しでも気になる症状が出た場合は、早めに検査を受けるようにしましょう。