FODの“中の人”の熱量がブームを牽引? 奇跡の実写BLドラマ『ポルノグラファー』公式ファンブックを後押ししたもの【後編】

マンガ・アニメ

2020/1/13

(前編はこちらから)

写真左から、フジテレビジョン総合事業局 コンテンツ事業センター コンテンツ事業室 企画担当部長 清水一幸さん、オンブルー編集部 デスク小林 愛さん(シュークリーム)、祥伝社 コミック出版部 コミック編集 飽浦 怜さん

■公式アカウントの盛り上がりは自然発生の熱だった

――初めてドラマの『ポルノグラファー』や『ポルノグラファー~インディゴの気分~』を見た人がさらに情報が欲しくなってたどりつくのがFODの公式Twitterだと思うのですが、何か“中の人”に指示を出されましたか?

清水 実は、最初はFOD公式アカウントの中で「こういうドラマ始めますよ」という告知ぐらいでいいんじゃないかと思っていました。なんですけど、たまたまFODの公式アカウントを運営してくれているスタッフがこの作品が大好きで。

――確かにTwitterをのぞいてみるとつぶやきに熱量が感じとれます。

清水 まさに自分のもつ熱量をぶつけてくれた、そのことも運が良かった。もしこれが作品にまったく興味のない人間が担当だったら「来週からこういうドラマが始まります。主演はだれだれです」という感じで写真が出て「以上」で終わっていたと思うんです。

 それがたまたま“中の人”が見てくださる方と同じような目線や感覚で自分も楽しみたいと思ってつぶやいたり反応したりしていたので、それが視聴者のみなさんにも響いて盛り上がりにつながったんじゃないかと思っています。

小林 FODの公式さんのTweetはリプライがめちゃくちゃ多いんですよ。きっと、ドラマを一緒に横で見ている友達みたいな感じでつぶやいてくださっているので話しかけたくなるんでしょうね。

――ある程度戦略的にSNSを仕掛けたドラマプロデューサーの談話を読んだことがあるのですが、こちらはたまたま担当の方が熱量のある人だったという、実は自然発生的な盛り上がりだったと。

清水 そう、僕はそこにのっかっただけで(笑)。当初は本人からすべての投稿内容のチェックを頼まれていました。でも途中から「任せる」と預けてみたら「わー」とか「きゃー」とか、感情だけつぶやいたりしてるんですよ(笑)。

 僕よりも目線が視聴者寄りのスタッフが担当したことが功を奏したんでしょうね。ありがたかったのはそのことによって“FODの公式さん”という肩書きがみなさんに浸透したこと。結果としてよかったなと思っていることのひとつです。

――ちなみにRT回数やいいね数が最も多かった投稿は何でしたか?

清水 続編の『インディゴの気分』のドラマ化決定(2019年2月配信)がいちばんだったらしいですよ。RTが644、いいねが1371。2位はキャストのコメント動画でRTが376、いいねが1189(※)あったようです。(※2019年12月取材時)

――FODの中では再生回数もSNSのリアクションもいちばんだったと。

清水 よかったんじゃないかと思いますよ。何よりもこのコンテンツに騒いでくれている人たちのことを公式本人もとても気にしていたと思います。たとえばみんながまだ見られていないものを先んじて自分だけ見ていいのかとか、そういうところまで感情移入しながら運営を務めていた感じです。

■視聴者のリプライや声がコンテンツの後押しをする時代

――そこまで一体感をもちながら運営されていたことがいわゆる視聴熱のような熱を牽引した形になるんですね。公式さんによって引き出される視聴者のみなさんのリアクションは、続編のドラマ化やDVDやその発売イベント開催などを決める要因としてやはり大きいものですか?

清水 もちろん気にしますよ。それがあってここまで来た作品だと思うので。あおるわけじゃないですけど、やっぱり見てくれているファンの方たちがここまでのフィールドに押し上げてくださったと、役者も僕たちも感謝しています。

 ドラマ化の際に配信と地上波放送までは決めていましたが、DVD発売については未定でした。配信事業とDVDやブルーレイの事業って、実は競合なんですよ。でも、この作品はたぶんコレクションとして大切にしたいと思ってくれているお客さんがいると思うから、じゃあパッケージ化もしようねと。

 発売イベントの告知は3日程度だったのに100人の募集に対して600人近くの方から応募があって、それもうれしい驚きでした。出演してくれた竹財くんたちは今や国内はもちろんですけど、アジアのファンもすごく増えたみたいです。

――こうした多方面の盛り上がりの流れを受けての“ドラマの公式ファンブック”の制作はいつぐらいから話が出始めたんですか?

飽浦 怜さん(以下、飽浦) 2019年の初めあたりに公式ファンブックをつくる話が出まして、DVD発売のタイミングに合わせようと秋を目指して計画しました。コミック最新刊の『續・ポルノグラファー プレイバック』も同時期に発売をそろえることができてよかったなと思っています。

■ファンのニーズに応えられるコンテンツを

――オフショットやオフィシャルのスチールなどが多用されたビジュアルブックのような雰囲気ですが、どのように誌面構成されたのでしょうか。

飽浦 それぞれの作品を好きなファンの方々が公平に感じられるように、2作品の掲載写真点数のバランスにも留意しました。ファンの方に恥ずかしくないようなもの、ドラマの良さが伝わるようなものをと意識して制作しました。

――本を手にとったとき、表紙カバーに少し特別な質感が感じられたのですが、装丁のデザインについて特別にオーダーされた点はありましたか?

飽浦 まず主演のお三方の写真をできるだけ大きく使いたかったので、通常よりもかなり大きめの帯でメインビジュアルの写真をしっかりと見せました。また原作コミックの装丁に通じる文学的なイメージも取り入れたかったため、タイトルロゴも文学作品を連想するようなデザインにしていただきました。

 全体的にすっきりと簡素な見た目になりすぎないよう、表紙カバーの紙はデザイナーさんに手触りのよい特殊な紙を選んでいただいたのですが、この紙もよく小説本に使われるもので、作品の世界観にぴったりだなと思っています。

――FODの公式さんは“自らもファン”という熱量でパワーが倍増したと想像します。飽浦さんの場合はどうでしたか?

飽浦 実はおととし11月まで書店営業を担当していまして、BLを含めた弊社のコミック作品全般の営業・販促活動を行っていました。ですから連載中から雑誌のほうも単行本も全部読んで目を通していたので、異動して2作品の公式ファンブックを担当することになった際にはうれしい気持ちがありましたね。

小林 『ポルノグラファー』の単行本の装丁に手書きの文字が書かれた原稿用紙がデザインされているんですが、実はその文字を書いてくれたのが飽浦さんなんですよ。装丁に男の人の字が欲しいのでと、お願いしたんです。

飽浦 はい。僕の字をスキャンしたものを使っていただきました。コミックの中に出てくる官能小説の一文をテキストでいただいて「久住くんだったらどうやって書いているかな?」と想像しながら、恥ずかし楽し(笑)みたいな気持ちで書き起こしています。なのでわざと間違えている箇所もあるんですよ。

――こだわりがつまっているんですね。公式ファンブックでのいちばんの見どころはどんな部分ですか?

飽浦 この本のために竹財さん、猪塚さん、吉田さん、大石さんの4人に一問一答形式で“今だから語れるアフタートーク”に回答してもらったんですけど、それがみなさんものすごく個性的で。個人的には大石さんの回答がちゃめっ気があってかわいらしいと感じました。四者四様の文章をいただけて本当にお願いしてよかったなと思っています。役者陣のみなさんの想いのようなものが伝わってくるのでぜひ読んでいただきたいですね。ここでしか見られないお蔵出し写真もたくさん掲載したので楽しんでもらえたらうれしく思います。

――みなさんの連携の賜物ですね。最後に、おひとりひとことずつお願いします。

小林 “ドラマもいいし、原作もいい”と、両方楽しんでくれた方がすごくいらした奇跡のような作品です。どちらから入っても楽しめる相乗効果があるので、もっと大勢の方たちにこの作品の世界観に触れていただきたいですね。ぜひまわりの人にも薦めてください(笑)。

清水 みなさんがうまく助けてくださったおかげで、作品全体に盛り上がりが生まれました。視聴者の方々がSNSでコメントを書いてくださることによって、見る側がどう反応してくれているのかがわかったので、これからも“かゆいところに手が届くように”頑張ろうと思っています。

飽浦 相乗効果といえば、原作を販売している営業時代からドラマきっかけで原作に興味をもって買ってくださった方がいるのをすごく感じていました。配信以降、2作品とも何度も重版がかかって『ポルノグラファー』は現在11刷りを達成しました。世界観を愛していただいている作品なので、ファンブックについても同様に大切に手元に置いていただけるとうれしいなと思います。

清水 最後にもうひとつだけお伝えするとしたら、作品のファンのみなさんにはもっともっと騒いでください!と思っています。そうしたらみなさんの声に応えるべく、また次の何かにつながるかもしれません(笑)。

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『ポルノグラファー』
『ポルノグラファー~インディゴの気分~』

撮影=編集部
取材・文=タニハタ マユミ