榊原優希「ネガティブが巡り巡ってポジティブになっているのが僕(笑)」【声優図鑑】

アニメ部

2020/4/20

榊原優希"

キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第237回目に登場するのは、『Readyyy!』(上條雅楽役)、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(坊城梧桐役、四十物十四役)、『アルゴナビス from BanG Dream! AAside』(宇治川紫夕)などで多様なキャラクターを演じ分け、音楽面でも大きな注目を浴びる榊原優希さん。

今回お伺いしたのは、学生時代の思い出や作品との出会い、そしてキャラクターになりきるためにしていることなど。プライベートでは、よく現れる場所が喫茶店で、よく読んでいるのは“まとめ本”だとか。最後は、自身にまつわるインタビューだからこそのメッセージも伝えてくれました。

——小学校から中学校にかけて、文章の音読や演技に興味を持っていたそうですね。

榊原:母親が音読の宿題にめちゃくちゃ厳しくて。うまくできると、「気持ちがこもっていて良かった」と認めてもらえてうれしかったのを覚えています。演技は、僕が通っていた小学校は全校生徒が12人くらいだったから、文化祭は全員3役か4役演じないと回らなくて。自分の意志で挑戦したことではないけど、いろんな役を演じ分けることに楽しさを感じていましたね。映画の吹き替えを見ながら、「おい、何やってるんだトム……」とか声を真似していたこともありました。

——小さい頃から自然と演技にふれる機会があったと。高校はどうですか?

榊原:新しい同級生が増えて、声をいじられることが多くなったんですよ。「声、高いな」とか「変わった声してるな」とか。父親から「声が高いから音程を下げたほうがいい」と言われたことはあったけど、本気にしていなかったから、「あ、そうなんだ」と気づいて。そんな頃に、友人から「特徴のある声だから声優に向いているんじゃないか」と言われたり、生徒会長をやっていた再従兄弟から文化祭のムービーに声を入れるように頼まれたりして、声優への興味がどんどんふくらんでいきました。

——声優を目指すきっかけになる出来事が重なったんですね。それからアミューズメントメディア総合学院に?

榊原:はい。「声優になりたい!」と突然言い出して親や先生を混乱させてしまいましたけど、当時NHKで放送されていた「声優スタジアム」というオーディションでいいところまで言ったら声優の道に進みたいと伝えて。結果、決勝まで進みました。母親の強い希望で大学にも進学することになり、昼間は大学に、夜間はアミューズメントメディアに通いました。

——そして声優になられたと。大学に行っておいて良かったことはありますか?

榊原:大学って専門学校に比べると、何をするにしても人数が多いんですよ。授業によって関わる人たちが変わるので、いろんな人の価値観にふれる機会が多くて。自分と同じ心を持つ人なんて一人もいないから、相手の気持ちを想像するしかないじゃないですか。こういう人だからこういう行動をするのかなとか、表面ではこうだけどその奥底にあるのは何だろうとか。表面に見えていることだけがその人を表しているんじゃないんだって考えるようになったのは、大学の影響ですね。今となっては行っていて良かったなと思います。

——声優になってから早い段階で『Readyyy!』(上條雅楽役)に出演しています。スタートした当時を振り返ると、どんな思い出がありますか?

榊原:事務所の所属にひっぱりあげてくれた作品だし、継続して同じ役を演じたのも初めてで、何もかもが思い出深いです。演技、歌唱、ダンスと新人ながらいろんなことを学ばせていただいています。特にダンスは大変でした。人生ひたすら体を動かすことから逃げてきたんですけど、逃げられない環境で向き合わないといけなくて。一人で泣きながら練習したのも、今となってはいい思い出です(笑)。

——『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(坊城梧桐役、四十物十四役)は、榊原さんが参加された2019年には、すごい人気になっていましたよね。

榊原: Bad Ass TempleとしてドラマCDは出ていますが本格的なライブはこれからですし(※インタビュー時)、まだ本格参入できていない意識が強いです。先輩方が築き上げてきたものを傷つけないように、「あいつらが入ってきて良かったな」と言われるものを見せられるように、修行を続けていきたいなと、いい意味でプレッシャーを感じています。

——それなりの覚悟が必要だと。

榊原:すでに推しているキャラクターがいる方々にとっては、自分たちが新たに入っていく意味を求められると思うので。気持ちよく迎えてもらうには、相当なものが必要だぞと。今僕に求められているのは何だろう、作品が求めている新しい要素は何だろうと不安を感じつつも、「よしやるぞ!」と。

——そんななか、メンバーの一員として活動するBad Ass Templeですが。榊原さんが考える、このユニットの魅力とは?

榊原:楽曲を見ても「正面から殴り込んでいくぜ」みたいなものが多くて、その熱さがチームカラーになっているのかなと。3人ともタイプが違う“ごった煮”ですけど、攻撃力が高い部分は一貫していて。とにかく枠に収まりきらないエネルギーが魅力だと思います。僕と竹内(栄治)さんが退いちゃいがちなところをリーダーの葉山(翔太)さんが引っ張ってくださって。「みんなで爆発していこう!」という気持ちでいます。

——『アルゴナビス from BanG Dream! AAside』では、εpsilonΦ(イプシロンファイ)のメンバーである宇治川紫夕役を。この作品に参加してみて感想は?

榊原:『Readyyy!』『ヒプマイ』で歌う機会が多くて、自分は歌うのも好きなんだなと自覚が出てきた頃にバンドリに出会って。これからの活動で新たな可能性を模索するようになりました。かつ、中性的でちょっと性格がわるい宇治川紫夕っていうキャラクターが、ちょうど演じてみたいと思っていたタイプの子で。いろんなタイプのキャラクターが増えるのは楽しいことだし、新しい分野を開拓するつもりで演じています。

——εpsilonΦが歌う『光の悪魔』は中毒性の高い楽曲。特に、宇治川紫夕というキャラクターと歌唱のマッチ感とか、声域の広さが話題になっているようですが。

榊原:自分ではよくわからないんですけど(笑)。収録で「キャラ感を出すのがうまい」と褒めていただいたことがあって、紫夕っぽさは出せたのかなと思っています。求められたものに応えるのが好きなんですよ。逆にいえば、自分自身で歌うのは難しいんですけど。キャラクターとして歌う時は、いつも楽しんでいますね。歌うってことは何かしらの想いがあるわけで、歌っているうちに「彼らは今こういう気持ちなんだ!」と感極まるというか。キャラクターと一体になれる感じは好きですね。

——キャラクターに自分を寄せていくのが好きなのですね。そのために何か工夫していることはあるのでしょうか。

榊原:それこそ十四くんでいえば、ビジュアル系バンドマンなので実際のビジュアル系の音楽をたくさん聴いてみたり。紫夕くんは京都出身なので、紫夕くんの見ていた風景や聞いていた言葉にふれてみたいと思って、京都を巡ったこともあります。こういう風景を見ながら育ったうえで東京に出たら、どう感じるんだろうなと。その子の根幹に関わる部分を知りたいというか。その子が知っていて自分が知らないことを極力なくしたいと思っています。

——歌がうまいのは、学生時代に習っていたということではなく?

榊原:習ったことはなかったです。僕の実家は岡山県の山奥の奥の奥で。カラオケに行こうと思ったら、一ヶ月前くらいに予定を組んで、当日は一時間かけて私鉄の駅まで行き、そこから40分ほどかけてJRの駅に着いて、さらに移動してカラオケ屋に到着するくらいの感覚。大学生になってからは、カラオケってこんなに気軽に行けるんだ!と感動しました。ひとりでボックスにこもって歌ったりしていたので、好きっていう気持ちはもともとあったのかもしれないです。

——歌が好きなことを実感できるようになったのが、最近だったということなのですね。休日のプライベートは何をしていますか?

榊原:カフェや喫茶店が好きで、休日はコーヒーを読みながらひたすら本を読んでいますね。本屋さんと併設しているカフェも好きで。パソコンを持ち込んでゲームをしていることもあります。

——本はどんなものを?

榊原:東野圭吾さんのガリレオシリーズが好きで、小説はよく読みます。“まとめ本”みたいなのも好き。ワインとか時計とか、何かの知識についてひたすら書いてある本。最近面白かったのは“変な兵器”みたいなのをまとめたもの。曲がってる銃とか。開発されたものの曲がっているせいで威力がなかった…って読んで、「そりゃあそうだろ!」と(笑)。あの本は楽しかったですね。

——確かにそりゃあそうですね(笑)。へ〜、まとめ本ですか。

榊原:もともと説明書を読むのが好きなんですよ。最近はネットで読むものが多くて残念ですけど。説明書が読みたくてゲームを買い、なんなら本体は弟に渡して自分は説明書を読んでいることもあるくらい。結局は仕事とつながっているのかもしれないですね。キャラクターに関わるものを調べているうちにハマるというか。全部知りたいと思ってしまうほうなので。

——まとめ本が、キャラクターになりきるための手段の一つにもなっていると。よく一緒にご飯に行くような声優仲間は?

榊原:作品内でユニットを組んでいる方々はみなさんそうですし、ラジオを一緒にやっている鵜澤正太郎くんとは2人とも麺好きで、いろんな店に行ってます。『Readyyy!』で一緒だった梅田修一朗くんともラーメンを食べに行きますね。ラーメンは麺が好きなので、具は少なめのほうが好き。野菜がたくさん盛られていると「その分、麺が食べたい」と思っちゃいます(笑)。麺とスープのバランスが一番気になるので、バランスがよければ付け合わせがなくてもいいくらい。でも正直、声優業界の中では、ひとり行動が多いほうだと思いますね。周りのみなさんも、それをなんとなく感じていらっしゃるかも!?

——これから声優としてもっと頑張りたいことは何ですか?

榊原:声優になるぞって思った時に、漠然と立てた目標が一つあって、それが最近叶ったんです。まだ言えないので、またいずれお話させていただきます! 2019年の年末くらいに歌の面白さに目覚め、今年はいっぱい歌う年になりそうな気がしています。演技という主軸があるうえで、歌も頑張りたいなと思います。

——最後に、この記事を読んでくれたファンに伝えたいことを。

榊原:自分は、意外って言われることが多いんですけど、ものすごくネガティブなんです。何もしていない自分が誰かに認められることは絶対にない、という感覚が漠然とあって。だから、もっと自分を強化しないとダメだってすごく思うし、何かにかじりついて「良かったよ」と認めてもらえていないと生きていけない。

テンションの高いポジティブな人って思われることが多いと思うんですが、なんだったら仕事をしている時は常に落ち込んでいて、ネガティブが巡り巡ってアクティブになっているのが僕です(笑)。

そういう一面もあるので、お手紙やツイッターで「良かったです」「応援しています」と言っていただけるとうれしくて。「○○の○○な気持ちがすごく表現されているのを感じて刺さりました!」なんて言われると、「そうなんです、それをやりたいと思っていたんです!」って喜んでしまいます。たぶんみなさんが想像しているより遥かに、僕はみなさんの応援に支えられています。だから、もっと褒めてください(笑)。みなさんからいただいたエネルギーが生きる源です!

――榊原さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】榊原優希さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

榊原優希

榊原優希(さかきはら・ゆうき) 81プロデュース所属

榊原優希(さかきはら・ゆうき) Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト