キボウカンパニーへようこそ! アニメ『シャチバト!』を語る③――堀江由衣(ガイドさん役)インタビュー

マンガ・アニメ

2020/4/20

『社長、バトルの時間です!』 AT-X、TOKYO MXほかにて毎週日曜放送中 (C)KADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS/「シャチバト!」製作委員会

 現在放送中のTVアニメ『社長、バトルの時間です!』(以下、『シャチバト!』)。荒廃が続いていた世界に、巨大な「門」が出現。その「門」の中に、世界を維持する奇跡のエネルギー「キラクリ」を発見した人々の中から、「キラクリ」を採取するトレジャーハンターが登場し、それぞれの組織が「会社」として「門」のダンジョンに挑んでいく――これが、『シャチバト!』の世界のあらまし。物語は、先代が行方をくらましてしまったことで、突如主人公のミナトが「キボウカンパニー」の次期社長に指名されるところから始まる。「異世界もの」でありつつ、冒険者が「会社」に所属するというツイストを加えた『シャチバト!』は、キャラクター同士が織り成す会話劇がとにかく楽しいアニメーションだ。その面白さを、キャスト・スタッフへのインタビューを通して、紹介していきたい。

 第3回は、キボウカンパニー設立時から先代社長を支えてきた、ガイドさん役の堀江由衣にインタビュー。穏やかでにこやかだけど、実はキボウカンパニーの誰よりも実力者なのでは?という底知れなさも感じさせるガイドさんを、どのように演じているのだろうか。

(ガイドさんは)穏やかでかわいらしいんだけど、実は強くて、裏がありそうなところを秘めている

――堀江さんはゲームから引き続きTVアニメ『シャチバト!』にも参加されているわけですが、作品全体にどのような印象を持っていますが?

堀江:ゲームの収録のときは、タイトルの通りビジネスっぽいお話なのかな?と思ってたんですけど、アニメになって視覚で世界観がわかりやすくなりました。ファンタジーの世界っぽい世界観の中で、会社で使うワードが出てきたりするので、いろんな人が観やすい感じで、お仕事のことがわかるアニメなのかな、という印象があります。

――収録が進んでいく中で、新たに気づいた『シャチバト!』の面白さとは?

堀江:キャラクターそれぞれの立ち位置とか、会社同士のカンパニー感もだんだんでき上がってきて、新たな仲間が増えたりすることで会社が活気づいていく様子が見られるので、そこが会社のサクセスっぽくて面白いです。あと、楽しみ方のひとつとして、「ユトリアとミナトがどうなるのか?」とか、ミナトのお父さんはキボウカンパニーの元社長で、旅に出ちゃってるんですけど、その先代とアニメの世界全体に関する謎もあったりするので、飽きさせない展開だし、毎回勉強にもなるなあ、と思います。

――堀江さんが演じるガイドさんは、人物像がわりとはっきりしているようでいて、「実はこういう人なんじゃないか」」っていう想像を呼びやすいキャラクターだと思います。ガイドさんの第一印象と、やっていくうちに気づいた「もしかしたらこういう人かも?」みたいな発見について教えていただけますか。

堀江:最初の印象は、やっぱりかわいらしい女の子で、ガイドさんという名前だから、ガイドする役目なのかなって単純に思っていました(笑)。でもアニメになって、キャラクターのことを音響監督さんから伺ったり、いろんな人の話を伺ううちに、ガイドさんはちょっと得体の知れないキャラクターなのかな、と。一見にこやかで優しそうなんだけど、底が見えない感じもしていて。実はキボウカンパニーにも一番長くいたり、年齢不詳な部分があったり。穏やかでかわいらしいんだけど、実は強くて、裏がありそうなところを秘めているキャラクターです。どんなときも動じずに、穏やかでニコニコしているのが逆に怖い、みたいな(笑)。上坂(すみれ)さんが演じているヴァル美ちゃんも、語尾がおっとりしている口調のキャラクターなんですけど、そのふたりの差が出るようにっていうディレクションがあって、ヴァル美ちゃんはまだ中堅の冒険者だから感情が出てしまうところがあるけど、ガイドさんはもうそのレベルじゃなくて、もう一段高いところにいるから、あまり感情が出ないんです、いつも穏やかなんです、というディレクションがあったので、「なるほど、底が知れない」と思いながら演じています。

――キャラクターを作って演じるというときに、その人物の背景を想像する作業があると思うんですけど、堀江さんはガイドさんの内面をどう想像しているんでしょう。

堀江:やっぱり、いろんな体験をしてきたんだろうな、と思います。もしかしたら、実は百戦錬磨で、もともとは戦っていたかもしれない。会社でも、そういう人がいたりするじゃないですか。話を聞いてみたら、実はいろんな会社で仕事をしてきていたり、いろんなスキルを持ってたり。その百戦錬磨感というか、いろんな経験をしてきた中で、たぶんめちゃくちゃスキル高いんだろうなって。とんでもない処理速度で事務処理しているシーンもあるし、きっと見た目よりも長いこと仕事してるんだろうな、と想像しています(笑)。普段は会社のみんなをあまり何も言わずに見守ってますけど。ほんとはたぶん、ひとりでいろんなことができちゃう。だけど、あえてきっと見守ってやらせているんだろうな、と思っています。

――今のお話を伺っても、ガイドさんはキボウカンパニーを俯瞰で、客観的に見ている人なんだろうなって思うんですけど、堀江さん自身も収録では視野を広く、他の方を見ていたりするんですか。

堀江:いや、そんなこともないですよ? 普通です(笑)。今回はじめましての役者さんも多かったので、ちょっとずつお話させていただいたりしてます。でも、ガイドさんはちょっと俯瞰で見ていたり、冒険についていかないときもあったりするので、物理的な自分の出番という意味でも、皆さんがマイク前に立っているところを、「かわいいなあ」とか「面白いなあ」と思いながら見ていたりします(笑)。

――(笑)特集を作っていて感じるんですけど。『シャチバト!』はキャラクターが魅力ですよね、たとえばキボウカンパニーの面々について、堀江さんが「この子、こういうところがいいなあ」と感じる部分は、どんなところですか?

堀江:キボウカンパニーは、それぞれがけっこうキャラクターが立っているなあ、と。ライバル会社のみんなも含めて、キャラクターがほんとにいいですよね。わたしが一番好きなのは――う~ん、みんなかわいいけど、マコトくんかな。かわいいです。ガイドさんとちょっと似ている感じがしていて、いつもわりと笑顔で、穏やかな男の子だけど、実は変わったマジューとか植物が好きなので、心の中にマッドサイエンティスト的な部分を秘めているんじゃないかなって(笑)。穏やかなキャラクターって、裏に何かありそうな感じがするので、見ていて「いいな」って思います。

――そうなんですよね。序盤で言うと、キボウカンパニーとサイエッジあわせてメインキャラクターが7人だとすると、パッと見穏やかだけど、実際はどんな人なのかわからないのがガイドさん、マコト、ヴァル美の3人で。3/7が想像をかき立てる存在である、という(笑)。

堀江:確かに(笑)。実はミナトさんもやり手なんじゃないか説があって、ちょっとその片鱗が見え隠れする話数もあるんですね。けっこう伏線がちゃんと張られているので、のちのち「実はこうだったんだ」って明かされることもあると思います。

――ガイドさんを演じるときは一定の枠があって、そこからあまり出てはいけない役柄なのかなって思うんですけど、そこから少しはみ出すことでいろんな面が見えてくる、みたいな感じもありますか?

堀江:たぶん、ずっと穏やかな人のほうが、逆に強そう、怖そうな感じを出しやすいと思っていて。顔は笑ってるんだけど圧!とか(笑)。

――(笑)そういう役って、やっていて難しいものなんですか。

堀江:そうですね。だから、ピンチになって誰かを心配してるときも、それを出しすぎてしまうとガイドさんっぽくないですし、経験してきたことの多さを踏まえるとそこまで慌てないですよね、となったりするので、そのあたりは音響監督さんの指示に従っています。でも、やっぱり実は~みたいなキャラクターは、演じるときはけっこう難しかったりしますね。ピンチのときでもちょっと余裕があるように、とか、そのさじ加減が難しいのかな、と。あとはやっぱり、心の中にちょっと「別格」みたいな感じを常に持っていて。みんなと同じように慌てたり、リアクションをするときも、つられないようにしています。

自分のキャラクターの総合的なイメージから鳴る音、聞こえてくる音をすくい、拾って、それに近づける

――ガイドさんを演じていて、今までに演じてきた役柄や作品の経験が活きているなって感じる瞬間はありますか。

堀江:『シャチバト!』は吉崎(観音)先生がキャラクターデザインをされているんですけど、実はだいぶ前に、吉崎先生がデザインした別のキャラクターを演じさせていただいたことがあって。そのキャラクターにちょっと似たイメージで、というお話があったので、その子がベースになっていたりします。

――役者さんにお話を伺うと、大きく分けるとふたつのタイプの方がいらっしゃるのかな、と感じるんです。ひとつは、役柄ごとに必ずリセットされて、すべての1個1個と向き合って、その役を見つけていくタイプ。一方で、自分の気持ちとかを作っていくよりも、いろんな役を経験した引き出しがたくさんあって、「どこを開けるのか」を考えて、役を作っていかれるタイプ。堀江さんは、ご自身のお芝居についてどう考えていますか。

堀江:わたしがいつも「こうありたい」と考えているのは、やっぱりアニメって絵が8割、9割だと思っているんですね。アニメーションは、絵の部分がすごく大きいなあ、と。なので、絵を見たり、台本でお話を読んだり、キャラクターの説明を見たり、原作がある場合は原作を読んで、視覚から受ける印象を大事にしています。漫画や小説を読んでいると、いつの間にか「こういう感じの声」みたいな感じで音が勝手に鳴っていたり、普通にお話の世界に入っていたりするじゃないですか。そのときに聞こえる音を拾って、それに近づけるイメージなんですよね。なので、毎回別々の作品で別々のキャラクターなので、自分のキャラクターの総合的なイメージから鳴る音、聞こえてくる音をすくい、拾って、それに近づける作業ですね。

――ガイドさんは、わりとすぐにその音が聞こえてきたキャラクターですか。

堀江:そうですね。ガイドさんは昔やったキャラクターがベースになっている部分もあるので。だから逆に、昔どうやって演じていたのかを思い出す、みたいな(笑)。そこをベースに、得体の知れないやわらかさみたいなものが出せたらいいなあ、と思いました。

――『シャチバト!』はキボウカンパニーのキャラクターの見ていて楽しい感じが、作品を観続ける理由になっていくんじゃないかな、と思います。たとえば会社に全然お金がなかったり、明らかにハンデを背負った状態に置かれながらも前向きに明るく振る舞っている彼らの姿がとてもいいなあ、と思うんですけど、堀江さんから見てキボウカンパニーのよさとは何だと思いますか?

堀江:やっぱり、基本的にみんな明るいところなのかなあ、と思います。会社って、よく家族経営みたいなことを言いますけど、ほんとにその言葉が当てはまりそうな会社だなあって。会社の中で、お父さん、お母さんじゃないですけど、役割がきちっとできていて、それぞれがそれぞれのことを補い合えるバランスのよさが、キボウカンパニーのよさだと思います。まだ深刻な事態に陥っていない――まあ、「お金がない」は企業としたら深刻ですけど(笑)、それも前向きに解決していこうとしているので、そういう会社っていいなあ、と思います。

――収録はすでに終盤にさしかかっていますが、アニメ『シャチバト!』の物語はまだ始まったばかりです。この作品を、どのように楽しんでほしいと思いますか。

堀江:実際に働いていらっしゃる方にとっては、決算がどう、とか、お金がない、とか、自分の体験と重なる部分もけっこうあるのかな、と思います。「ホウレンソウをしっかり」とか(笑)。そういう意味で、すごく楽しんでいただける作品だと思います。まだ働いたことがない学生の皆さんにとっても、一見ファンタジーのようで、出てくるワードはたぶん今後耳にするであろう言葉だったりもしますし。リアルな会社ものということではないんですけど、会社の仕組みのようなものがすごく入りやすくライトに描かれていると思うので、会社入門編のような感じでこのアニメを観て、何か1個ワードを覚えておくと、のちのち困らないかもしれないです(笑)。

『社長、バトルの時間です!』公式サイト

取材・文=清水大輔