櫻川めぐ「自信がない10年前の私から見れば、今の自分は奇跡です」【声優図鑑】

アニメ部

2020/4/24

櫻川めぐ"

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第238回目に登場するのは、『ラブライブ!』綺羅ツバサ役(A-RISE)、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』宇田川あこ役(Roselia)などで声優としての存在感を見せながら、歌やドラムでも唯一無二のアプローチをしている櫻川めぐさん。

今だから言えるエピソードを含め、2009年の声優デビューから現在までの足取りをたっぷりと語っていただきました。挫折感を味わいながらも、とにかく必死でぶつかってきた櫻川さんが、今つかんでいるものは…。元気をもらえるパワフルなインタビュー、ぜひ一読を。

——声優デビューからキャリアは10年以上。もともとの興味は歌だったとか。歌はいつから好きだったんですか?

櫻川:中学生の頃です。あまり周りと馴染めず、なかなか友だちができなくって。そこでモーニング娘。さんの曲を振り付きで歌ったら「あれ、こいつ面白いぞ」と思ってもらったみたいで、少しずつ友だちができるようになったんですね。引っ込み思案で勉強だけが大好きな女の子だったのに、歌の力ってすごいんだなって。

田舎だったので、高校でバイク通学になってから地元から少し遠くにあるカラオケに行くようになりました。友だちはみんな歌が上手でこれはいかん!と。練習するようになったら、もっと友だちが増えまして、「いつかは歌をお仕事にできたら」と思うように。週5回くらいカラオケに行ってレンタルショップで毎週新譜を借りて、高校3年間のオリコントップ10の曲はほぼ歌えるようになっている中、トップ10の中にアニソンが入っていて。声優アーティストっていう人たちがいることを知りました。

——それからは声優アーティストを目指して?

櫻川:大学になった時にレコード会社にデモテープを送ったら「歌ってみないか?」と。「あなたの声は声優にも合うと思うから」と言われたのが声優を始めたきっかけになっています。歌の修業をしながら、声優の養成所に通い始めました。

——最初に声優としてデビューした作品は?

櫻川:テレビアニメ『WHITE ALBUM』です。セリフ以外にアドリブをいただいてしまって、アドリブというもの自体、その時始めて知ったんですよ。大御所のみなさんがいる中で何回もリテイクして、その日は泣いて帰りました。不甲斐ないし、なんでもっとやっていかなかったんだろうと。でもそれをきっかけに、これからプロとしてやっていくんだなと実感しました。

——今までの転機となる作品は何でしょうか。

櫻川:『ラブライブ!』ですね。綺羅ツバサはμ’sのライバルグループのセンターで、自分の中にはないカリスマ性を持った理想像。最初はなかなか自分とリンクしなくて苦労しました。それに、台詞をたくさんいただいた2期になる頃にはすごく作品が大きくなっていたから、プレッシャーがものすごくて! リテイクばかりだったけど、その甲斐あってか、たくさんの方に知っていただく機会になりましたし、ハートも強くなりました。

——歌の方面では、2012年のテレビアニメ『カンピオーネ! 〜まつろわぬ神々と神殺しの魔王〜』でついにメジャーデビュー。当時はどんな気持ちでしたか?

櫻川:そうですね…その頃の自分に「こら!」って怒りたいくらい、もっと自分を鼓舞して歌にもっと向き合っていたかったなと今は思います。その頃は心のキャパシティがいっぱいいっぱいで、うれしくて舞い上がって「ここからやるぞ!」と思ってはいましたけど、振り返るとやっぱり力が足りなかった。でもその反面、今でも私の代名詞的な曲になっていろんなところで歌わせていただいているので、作品を世に残していくためにももっと大切に歌っていきたいです。

——現在はバンドリでRoseliaのドラム担当、というイメージが強いです。活動を始めてから今年で4年目になりますね。

櫻川:最初にライブで演奏を披露した時はサプライズ登場で、応援してくださるスタッフさんやメンバーのためだけに練習していたようなものが、今では何万人ものファンの方が応援してくださるようになって、最初とは全然重みが違ってきています。それがいい意味でプレッシャーになって、どんどん難しいことにも挑戦できているんですよ。「バンドリと出会えて良かった、うれしい、幸せ」という気持ちはもちろんですが、それに加えてファンのみなさんの顔がすごく見えているような気がして心強いですね。

——サプライズ披露のため、半年間かけてドラムを猛練習したそうですが。その時の思い出は?

櫻川:こそこそと練習していました(笑)。ほぼドラム未経験だった私が一番足を引っ張っていて、本当に大好きなメンバーのためだけに練習していたような気がしますね。寝ても冷めてもドラムのことを考えて、でもどんどん時間は迫ってきて。練習しすぎて足に怪我をしてしまったことがあって、もうみんなとステージに立てないかも、と考えていた時はつらかった…。半年後に向けて一直線だったものがポキッとおられてしまった気がして。そうやって追い込まれたこともあったけど、みんなでワイワイと楽しく励まし合いながら、怪我も完治させることができ、あっという間に初登場を迎えましたね。

——アーティストとしてひとりで歌うこともあれば、バンドとしてステージに立つこともあって。同じステージでも気持ちの違いはありますか?

櫻川:じつはバンドより歌のお仕事のほうがものすごく緊張して、いまだにブルブル震えながら歌っています(笑)。全員の目が自分だけに向けられるから責任重大だな!と。バンドだと震えてる場合ではなく、私がリズムを支えなきゃって思っているので。

——メンバーは心強いですね。いろんなことを乗り越えたからこそ、櫻川さんの中でバンドの存在が大きくなっているのだなと伝わります。

櫻川:メンバーだけでなく、身近にいるスタッフさんのみなさんにもすごくケアしていただいています。一人で一生懸命になりすぎてしまった4年前の自分に喝を入れたいですね、「そんなやり方してちゃダメ!」って。バンドとして4年目に入った今は、心と体のバランスがすごくうまくいっていて。バンドをやることによって心のキャパシティが増えたし、人間的にも成長できたなと思います。いい感じの大人になりました…(笑)。

——声優、ドラマー、アーティスト…すごいですね。

櫻川:声優という職業が多様化している中、やっと自分だけのスタイルはこれだ!って2019年あたりから見えてきて。今年はもう全部を楽しんでやろう!という気持ちになっていますね。

——声優を続けてきて良かったということは?

櫻川:2017年に、地元茨城県桜川市の「さくらがわ応援大使」に、そして2019年に、「いばらき大使」に任命していただいたことです。声優としてうまくいかない時期もありましたけど、続けてきて良かったです。桜川市の隣の笠間市にある「筑波海軍航空隊記念館」のナレーションをさせていただいたことをきっかけに、桜川市、それから茨城県にも私のことや活動を知っていただき、今に至ります。蓋を開けたら、市役所の方はうちの近所のおじちゃんでした(笑)。

——えぇ!? ずいぶん身近なところに(笑)。

櫻川:本当にびっくりでした!(笑)とはいえ、「大使」の任をいただいたからには、しっかりしないと!と思いますね。いつも面白いサプライズをお届けしたいとは思っていますけど、おふざけがすぎないようにしないと。ちゃんとしています、これでも!

——(笑)。プライベートではまっていることはありますか?

櫻川:YouTubeを見ることです。

——YouTuberデビューをしていますよね!?

櫻川:そうなんです!“声優チューバー”として、2019年から中島由貴ちゃんと「ゆきめぐTV」というゲーム実況をやらせていただいています。でも以前からYouTubeが好きで、家ではテレビよりYouTubeをずっと流して、都市伝説を見てみたり。オススメは、映画を10分くらいで解説してくれる番組がけっこうあって、映画を見なくても内容がわかるのでいいですよ(笑)。あとは、メイク動画を見て影響されて買ったコスメがすごく増えたので、どっかに出せないかなあと思ってインスタを始めてみたり。趣味で見ていたものがなんとな〜く仕事にもうまくつながって。いろんな影響を受けています。

——趣味と仕事がつながるっていいですよね。

櫻川:それこそ昔は、歌う自分と演じる自分がなかなかリンクしなかったんですけど、歯車を一個かけ変えたら全部がつながるようになったんです。たとえばゲーム実況を見ていても、自分や相手の様子を説明するようなスキルにつながっていると思うし。だから今、本当に楽しいです。以前は30歳って「いよいよ若さがなくなってしまう…」とかくだらないことを考えてましたけど、いざ30歳になったら少し大人になった自分をエンジョイするのが楽しくて!

——では声優でよくあっているお友だちを教えてください。

櫻川:Roseliaのメンバーとはありがたいことに、定期的にご飯に行かないと誰かが行こうって言い出すくらい、お仕事の枠を飛び越えて信頼しあえていますね。最近ですとニコ生のレギュラーを一緒に始めた秦佐和子ちゃん。同い年で、心に余裕ができてきた同世代として、何か楽しいことやりたいねということで、月1回の生放送を楽しくやっています。それから、豊田萌絵ちゃんともご飯に行く仲ですし、愛美ちゃんもご自身のバースデーイベントに呼んでくれたり。勝手に仲良しだと思っています。まだまだご飯に行きたい方々もたくさんいるので、積極的に誘っていきたいです。

——櫻川さんには、なんだか話しかけたくなる感じがわかります。

櫻川:いえいえ。同業のみなさんと対等にお話できるようになったのは最近なんですよ。それまでは、芝居はもちろん、自信を持てるものが何もなくて。ドラムに出会ってからようやく自信がついて、芝居も歌も自信を持ってできるようになったんです。それがみなさんと同じ目線で話せることにつながっている、とすごく感じます。

——すでにいろんなものを手に入れていると思いますが、これからのチャレンジは?

櫻川:やっと地に足がついてきたので、これからは様々な形で足跡を残していきたいですね。私を通して作品を知ってもらえるような声優でいたいと、今だから言えると思いますので、責任を持ってなおかつ楽しく、全部100%の元気でお仕事できたらなと思っています!

——そのパラフルさに吸い込まれそうです! そのモチベーションの源はなんでしょうか?

櫻川:やっぱりファンの皆さんの応援はものすごく大きいです。振り返ればお客さんが5人しかいなかった歌のライブもあったので、今こうして活動できているのはまさに奇跡だと思っています。5人…いや1人だったかもしれないし、その中に私のファンはいなかったかもしれないですけど、その時のことを思えば頑張れますね。わずかな方に知ってもらえていた私と、1万人の方に見ていただいている私、不思議なことに同じ人物なんですけど、気持ちは全然違っています。昔の自分に「頑張れ」と伝えたいですし、本当にあきらめずに頑張ってきて良かったです。

——本当に頑張った10年だったのだと伝わります。最後に、読者へのメッセージをぜひ。

櫻川:ここまで読んでくださったみなさん、いつも応援ありがとうございます。みなさんがいてくれたからこそ、今の私がいます。20代後半でドラムと出会って人生が変わった私ですが、まだまだ道半ばです。もっと挑戦できる!もっとやれる!もっともっと頑張れる!そう思って日々活動しています。他の誰にもない私だけのオリジナルの道をさらに突き進んで行きますので、これからも見守っていてくださいね!

――櫻川さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】櫻川めぐさんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

櫻川めぐ

櫻川めぐ(さくらがわ・めぐ) 株式会社S所属

櫻川めぐ(さくらがわ・めぐ) Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト