劇場中編アニメーション公開!『BLEACH』の久保帯人が描く最新作『BURN THE WITCH』

アニメ

公開日:2020/10/6

劇場アニメ『BURN THE WITCH』
(c)久保帯人/集英社・「BURN THE WITCH」製作委員会

『BLEACH』完結から4年。新たな作品が動き出す。久保帯人が新たに描く物語は、現代のロンドンを舞台に魔女たちが戦うファンタジー。マンガとアニメでそれぞれ紡がれる物語に込めた、次の一歩とは? いま少女たちの戦いが始まる。

待望の新作はマンガとアニメ連動プロジェクト

 世界累計発行数1億2000万部を記録したマンガ『BLEACH』。その傑作を生みだした久保帯人が満を持して世に放つ新作が魔女とドラゴンの物語『BURN THE WITCH』(以下『BTW』)だ。

 物語の舞台は現代のイギリス・ロンドン。そこには目に見えない異形の存在・ドラゴンが存在している。魔女と魔法使いたちは世界の裏側にあるリバース・ロンドンで日夜そのドラゴンたちと対峙していた。本作の主人公であるニニー・スパンコールと新橋のえるはリバース・ロンドンで活躍する魔女のコンビ。彼女たちは、意図せず自分のまわりにドラゴンを呼び寄せてしまう「ドラゴン憑き」の青年バルゴの保護をしていた。やがて、その彼の存在がリバース・ロンドンを震撼させる事件を呼び寄せてしまう……。

 本作は2018年『週刊少年ジャンプ』50周年記念号に読み切り作品として掲載され、今年の3月に「『BLEACH』20周年プロジェクト」の一環として『週刊少年ジャンプ』誌上のシリーズ連載と、アニメ化が発表された。現在『週刊少年ジャンプ』のシリーズ連載は全4話で一旦終了を迎えたが、次はいよいよアニメ版が劇場公開を迎える。ニニーとのえるがついに銀幕デビューするときが来た。

 ロンドンを舞台にしたスタイリッシュなビジュアルとアクション。クールでキュートな魔女たちと、緻密に設定された魔法の世界。そして謎に満ちた生物、ドラゴンの正体。マンガとアニメが同時進行で展開するビッグプロジェクトがついに動きだす。ファン待望の新たな久保帯人ワールドの開幕だ。

 

CHARACTER

ニニー・スパンコール

ニニー・スパンコール(CV:田野アサミ)
ウイング・バインド2等保護官。笛吹き隊所属。ドラゴンを退治する戦術隊にあこがれている。人気アイドルグループ「セシルは2度死ぬ(セシル・ダイ・トゥワイス)」のリーダーでもある。

新橋のえる

新橋のえる(CV:山田唯菜)
ウイング・バインド1等保護官。笛吹き隊所属。フロント・ロンドンではサウス・ブラクストン校に通う女子学生。同じ学校の先輩バルゴ・パークスの世話役を務めている。

バルゴ・パークス

バルゴ・パークス(左)(CV:土屋神葉)
サウス・ブラクストン校に通う学生だったが、ドラゴン憑きになってしまう。現在はリバース・ロンドンにて、ニニーとのえるの保護下に置かれている。ペットのオスシちゃんを溺愛。

オスシちゃん(右)(CV:引坂理絵)
覆面竜がなりすましたドラゴン犬。普段は大人しいがバルゴに危険が迫った時など、特定の状況で突然ドラゴンのハネを生やす。

チーフ

チーフ(CV:平田広明)
笛吹き隊のチーフで、ニニーとのえるの上司。現場に出ることはほとんどなく、いつも軽い態度なため、部下のニニーからは言われたい放題になっている。だが、その実力は……。

メイシー・バルジャー

メイシー・バルジャー(CV:早見沙織)
ニニーと同じアイドルグループに所属していた元メンバー。フロント・ロンドンの住人のはずが、強力なドラゴンと共にリバース・ロンドンにあらわれて……。

 

『BURN THE WITCH』マンガ&アニメの見どころを徹底解剖!

マンガ◆スタイリッシュでミステリアスなリバース・ロンドン

 マンガ家・久保帯人の魅力が存分に詰まったマンガ版。本作の舞台はリバース・ロンドン。フロント・ロンドンの裏側に存在し、ドラゴンの姿を見ることができる住民が暮らしている。魔女と魔法使いたちはドラゴンに接触できない住人たちに代わってドラゴンと向き合っており、ドラゴンを発見すると、住民が接触しないようにそのドラゴンを保護しているのだ。

 魔女というファンタジックな存在と現代ロンドンというリアルな世界のミクスチャーが本作の最大の魅力。ニニーは人気ガールズグループのリーダー、のえるはクールでマイペースな女子高生。彼女たちはリバース・ロンドンへ行くと、魔女として個人乗用ドラゴンのブルームバギーに乗り、魔法を使う。キャラクターたちの日常と非日常がスタイリッシュに描かれ、キレキレのセリフを交わすのが実に気持ちいい。謎に満ちた世界観も、久保作品のファンにはたまらないポイント。考察するのも楽しそうだ。

アニメ◆美しい背景と臨場感たっぷりの空中アクション

 久保帯人のビジュアルがそのまま動く、飛ぶ、しゃべる! ストーリーやキャラクターはマンガ版と同じだが、アニメ版ではキャラクターが躍動し、キャストによる演技によって、新たな魂が宿されている。

 とくにリバース・ロンドンの街中を縦横無尽に飛び交う、ニニーとのえるのアクションは、アニメ版ならではの注目ポイントだ。圧倒的な浮遊感とスピード感。巨大なドラゴンが街を破壊しながらうごめく圧倒的な迫力。若手アニメスタッフたちが意欲的な画づくりを行い、この作品に新しい魂を吹き込んでいる。自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」の最高意思決定機関「トップ・オブ・ホーンズ」の面々も豪華キャストによるボイスとともに登場。その迫力はアニメならではのもの。ぜひ、マンガ版と合わせて楽しんでほしい一作だ。

『BURN THE WITCH』アニメカット

『BURN THE WITCH』アニメカット
アニメの華はやはりアクションシーン。本作では空を舞うドラゴンたちの飛行アクションが存分に描かれる。魔法シーンも迫力満点!

『BURN THE WITCH』アニメカット

『BURN THE WITCH』アニメカット

『BURN THE WITCH』アニメカット
自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」8つの部隊の長官が集う「トップ・オブ・ホーンズ」。キャスト陣の重厚な演技は見どころだ。

 

「久保帯人リスペクト」をテーマに圧倒的な世界観をつくり上げる新進気鋭のアニメーター 監督・川野達朗インタビュー

「久保帯人リスペクト」をテーマに、アニメ制作に挑んだのは、川野監督とスタジオコロリドのteamヤマヒツヂ。彼らは、マンガ版と同時進行でアニメ版を制作し、原作者久保帯人と二人三脚で『BURN THE WITCH』の世界観をつくり上げた。その制作の裏側を川野監督に伺った。

“民主主義のアニメ”を突破する、久保帯人の個性

『BURN THE WITCH』アニメカット

『BURN THE WITCH』のアニメ版を手掛けたのは川野達朗。TVアニメ『甲鉄城のカバネリ』でアクション作画監督を手掛け、映画『ペンギン・ハイウェイ』で絵コンテ、原画を手掛けた新進気鋭のアニメ監督だ。

「久保帯人先生の作品にはカッコよさやスタイリッシュな印象がありました。でも、今回はあまりそこを意識せずにつくろうと思ったんです。いわゆる『BLEACH2』みたいなつくりにしてもおもしろくない。久保先生の過去の作品に縛られず、この作品にふさわしいルック(見た目)や音楽にしようと考えていました」

 アニメの制作を開始したころは、まだネーム(マンガの下描き)の段階だったという。

「久保先生のネームはすごく綺麗で、キャラクターの表情も描きこまれているんです。だから、わかりやすかったですね。久保先生とは顔合わせをしたときに、LINEを交換して。そのあとは、主にLINEでやり取りをしていきました。たとえば『この魔法ってどういう理屈ですか?』と尋ねると、ひとつひとつ丁寧に説明をしてくださるんです。かなり明確にお答えをいただけるので、久保先生の中では世界観を細部まで設定されているんだなと思いましたね」

 絵コンテを描くにあたり、川野監督たちは物語の舞台となるイギリスにロケハンへ向かったという。

「ロンドンとエディンバラへロケハンに行きました。ロンドンはフロント・ロンドン(人間たちの世界)、エディンバラは古都なのでリバース・ロンドン(魔女とドラゴンたちの世界)のイメージです。事前にあまり決め込まずに、とにかく良い場所があったら、そこで資料写真を撮影するということで、いろいろな場所に行かせていただいて。本編内にも実在の場所をたくさん使わせてもらいました。背景に関しては、僕らのほうが先行して構築していったので、WB(ウイング・バインド/魔女たちが所属する組織)の本部は僕らがロケハンに行ったときにロンドン塔を使おうと思って。そのロンドン塔に城壁を足して設定をつくったんです。そうしたら、久保先生がマンガでその設定を取り入れてくださって。僕らもびっくりしました」

 マンガとアニメの二人三脚で世界観をつくりこんでいく。リアルなロンドンの街並みを飛ぶ魔女とドラゴン。ニューヒロインのニニー・スパンコールと新橋のえるのが華麗に躍動する。

『BURN THE WITCH』アニメカット

「今回はふたりの関係性を描いていくことができればと思っていました。ニニーは今回のテーマとなるセリフを言う女の子。あまり重すぎず、無邪気に見えるように描こうと。そんなニニーを、のえるは母親のような目線で見ていて、子どもを相手にするように接しているんです。優しすぎず、冷たすぎず、声質で表現してもらいました」

 ふたりはドラゴンに乗り、ダークドラゴンと空中戦を繰り広げる。その鮮やかなアクションは本作の見どころのひとつだ。

「ドラゴンに乗って魔女たちが空を飛ぶアクションは、アニメで描くのは大変なのですが、立体的な動きをすることでとても映える映像がつくれる良さがあるんです。第1話のアクションは、作品全体のリアリティのラインを決めるために僕もかなり描いています」

 川野監督は学生時代に短編アニメ『フミコの告白』の作画を担当。圧倒的な浮遊感とスピード感あふれるアニメーションを描いて、アニメファンやプロのアニメ関係者を驚かせたアニメーターでもある。

「以前、パラグライダーを体験しに行ったことがあって、あの重力から解き放たれるような浮遊感を映像から出せれば理想だなと思っていました」

 今回のアニメの制作はスタジオコロリドの中にある制作チーム、川野監督が率いるteamヤマヒツヂが担当している。

「ヤマヒツヂのメンバーは、新人時代に僕が作画を教えた若手が中心なんです。だから、契約という関係でつながっているというよりも、友達に近い距離感のメンバーなんですよね。だから、僕のやり方もよく知っているし、問題意識も共有できている。そういう意味では、ほかのアニメーション制作スタジオとはちょっと違う雰囲気のチームだと思います」

 彼らの抱える問題意識とは、アニメ制作の構造的な問題だ。

「アニメの現場は、どうしても多人数による集団作業なので、民主主義になりやすい。決めることがあると多数決で決まることが多いんです。そうすると、どうしても作品が平均化してしまうんですよね。でも、久保先生はマンガをひとりでお描きになっているから、すごく突出した部分がある。その尖った部分のにおいは、この作品になるべく取り入れたいと思ったんですよね。なので、現場ではキャラクターデザインの担当スタッフにも、ドラゴンデザインの担当スタッフにも、とにかく『久保先生リスペクト』に徹してもらいました。作品としても、まずは久保先生に喜んでもらえるものをつくる。そうすれば、おのずとお客さんが喜んでくれるものになるだろうと。それくらい久保先生を信頼して僕らは制作していました」

『BURN THE WITCH』アニメカット

 アフレコには久保先生も同席。音響調整室で監督の隣に座り、キャストの芝居だけでなく、作品の中身まで深く話し合った。

「原作者という構えた感じではなく、もはやアニメスタッフのひとりと言ってもいいくらい現場に入っていただきました。さまざまなことをお話しする中で、作品としても掘り下げができたのでありがたかったです」

 さて、気になるのは今回の物語では描かれなかった謎の数々だ。観終わったとき、語られなかった要素に、思わず続きが気になってしまうはずだ。「いちおう、語られなかった要素については久保先生から聞いてはいます。ただ、謎の答えをすべて知った状態でつくると、描き方が変わってしまう気がして、あえて答えを聞かずにつくるようにしていました。『BTW』のこれからの展開を僕らも楽しみにしています」

 いよいよ動き出した『BTW』の世界。マンガ版では語られていない設定が、アニメ版では語られているところもある。マンガとアニメ両方を観ながら楽しむ作品になりそうだ。

「マンガにはマンガの、アニメにはアニメでしか描けないものがあると思います。たとえば音楽、動きのように、それぞれの良さを楽しんでほしいです。あと、歴史ある建造物やイギリスらしい雰囲気を描いているので、海外に行ったような気持ちになってもらえれば嬉しいです」

 

川野監督が語るマンガ『BURN THE WITCH』

最初のコマでテーマをつぶやく主人公

「『おとぎ話なんかクソでしょ』というニニーの最初のセリフには、この作品のテーマ性があるなと思っていました。このセリフを核にして、今回のアニメをつくっています。しかも、重々しくなく、あくまでニニーの個人的な葛藤として描いている。そのバランスは久保先生も意識して描いているんだろうなと思っていました」

独特の会話のリズム感と、ふたりの関係性

「のえるのケータイに表示されるニニーのアイコンは、ニニーの変な顔になっているんですよね。そういうところにふたりのかわいらしい関係があって。お互いに相手のことが好きなんだなと感じるんです。このアイコンの話を久保先生にしたら『わかってくれました!?』と嬉しそうにしてくださったのが印象的でした」

取材・文:志田英邦

かわの・たつろう●京都精華大学在籍中に「第二回・新人アニメーター大賞」で大賞を受賞。2018年よりスタジオコロリド内でアニメーションチーム「teamヤマヒツヂ」を結成した。参加作品に『甲鉄城のカバネリ』アクション作画監督、「カロリーメイト『すすめ、カロリーナ。』」アニメーションディレクター、原画など。

劇場アニメ『BURN THE WITCH』

原作:久保帯人 監督:川野達朗 副監督:清水勇司 脚本:涼村千夏
声の出演:田野アサミ、山田唯菜、土屋神葉、平田広明、引坂理絵、早見沙織ほか
キャラクターデザイン:山田奈月 ドラゴンデザイン:大倉啓右 背景美術:スタジオコロリド美術部 美術監督:稲葉邦彦 色彩設計:田中美穂 CGI監督:さいとうつかさ 撮影監督:東郷香澄 音楽:井内啓二 音響監督:三好慶一郎 アニメーション制作:teamヤマヒツヂ/スタジオコロリド
*10月2日より新宿ピカデリーほか全国35館にて2週間限定イベント上映中
*Amazon Prime Video、ひかりTVにて編集版を配信